泣きのショーロ新作 〜 ダニーロ・ブリート
(2 min read)
Danilo Brito, João Luiz / Esquina de São Paulo
https://open.spotify.com/album/5JadOZCR15rLNXMaMsBnkz?si=GcZmIgzkSDaGEoehGtUjWg
ブラジル出身、現在はアメリカ合衆国で活動するショーロ・バンドリン奏者、ダニーロ・ブリートの新作『Esquina de São Paulo』(2021)は、やはり同国に拠点をおくクラシック・ギターリスト、ジョアン・ルイースとのデュオ作。
ピシンギーニャ、ジャコー・ド・バンドリン、オルランド・シルヴェイラらの曲をとりあげつつ、自作も混ぜているダニーロ。端正で典雅なのもいいけれど、個人的にはしっとりした泣きの情緒を聴かせているものがもっと好きです。
たとえば2曲目のアルバム・タイトル・ナンバー。ダニーロの自作ですが、これこそショーロの真骨頂といえるサウダージをなんともいえないフィーリングで表現していて、それでいてしつこくなく、さわやかな優雅さもただよっているという、ホント、いいですねえ。
アルバムにはそうした泣きのエレガント・ショーロがけっこうありますよ。5、6、9曲目なんかはかなりはっきりしているし、4曲目だってちょっとそうかな。メロディをつづりながら、ごく微細な音のニュアンスの変化をピッキングでつけていくダニーロの技巧がさりげなく発揮されていて、感心します。
ギターのジョアン・ルイースはほぼ伴奏に徹していて、ダニーロが弾く歌心たっぷりのメロディにからむ対位ラインを効果的に奏でる役目。堅実に脇を固めていますね。全九曲のうち六曲がしっとり湿った情緒の泣きのショーロで、バンドリンの硬質な音色がかえっていっそう哀感をきわだたせているようで、すばらしい。
(written 2022.1.5)
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