ガウーチョがモチーフのデュオ・ショーロ 〜 ヤマンドゥ・コスタ&ベベ・クラメール
(2 min read)
Yamandu Costa, Bebê Kramer / Simpatia
https://open.spotify.com/album/0NtYWq3YYdZ4zm56aAGW9E?si=MroIt1xaQXqF42cHm83OoA
10日ほど前にまたまたヤマンドゥ・コスタ(七弦ギターリスト)の新作が出ましたが、だれもなんにも言わなくなったのは、要するに出しすぎて日常になってしまったということと、フィジカルがないからでしょうね。LPやCDで出すことを考えていたらこんなにどんどんリリースできないわけですけれども。
そう、ヤマンドゥはコロナ時代に入ってかえって活動が活発化している音楽家の一人。おそらくかなり軽い気分でホーム・セッションを重ねてはポンポン続々とリリースしすぎなので、もうだれもついていけないっていうことになっています。
そんなヤマンドゥの最新作『Simpatia』(2022)は、ブラジル南部出身のアコーディオン奏者ベベ・クラメール(アレサンドロ・クラメール)とのデュオ・ショーロ。どちらかというとヤマンドゥよりベベが主役を握っているようなサウンドです。
それはジャケット・デザインからもわかるようにブラジル南部〜ウルグアイ〜アルゼンチンのガウーチョ(ガウーショ)がモチーフになっているからでもありますね。実際ショーロというよりフォルクローレに近いような音楽にも聴こえ、サウス・アメリカ南部の粋を器楽演奏したという感じかも。
もちろんいずれもショーロ楽曲ではあります。なかではラダメス・ニャターリの曲が二つ、ピシンギーニャにささげた曲も二つ(うち一つはニャターリ)あるのが目立ちます。アストール・ピアソーラも一曲あり。それら以外はベベやヤマンドゥの自作が多いかなと見受けられます。
都会的洗練よりもやや野趣すら感じる演奏ぶりで、素朴な田舎ふうっていうか、ぼくにとってはアコーディオンの音色がそういったフィーリングなのかもしれません。明るくダンサブルな魅力もあって、室内楽的印象の強いショーロが、実は最初ストリート・ミュージックだったというのを思い起こさせるものです。
(written 2022.3.28)
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