だれだっていつも他力本願
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ブログやインスタ投稿(から連動しているTwitterとFacebook)でぼくがとりあげる音楽家やアルバム、曲などを、どこでどうして知るか?というと、100%近くが他人のブログや各種投稿やお店のHPなどでです。つまりほぼ完全に他力本願。以前も言いましたが。
自分で見つけたことなんて、ほんとうにちっともない、というに等しいくらいなんですよね。だれ経由でもなく自力で見つけたというのは(おぼえている範囲では)上に画像をタイルしたアンガーム(エジプト)の2019年作、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン(パキスタン)のウォマド・ライヴ1985、ノナリア(インドネシア)の2020年新作とか、たぶんそれくらい。
それらはすべてSpotifyをブラブラしていて、アンガームならアンガームで検索してみたら(もちろんそれには理由があるわけですけど)、あっ、なんと、新作が出ているじゃないか!と気がついて、聴いてみたらとてもいいので驚いて、紹介したという次第でした。
サブスク・サービス徘徊で見つけるのを「自力」発見と言っていいかどうか微妙ですけどもね。レコードCDショップ店頭をぶらついていて見つけるのと同じことですから。路面店にはバイヤーがいて、輸入盤にしろ「これがよさそうだから仕入れてみよう」という他者判断が介在しています。そうじゃなきゃ店頭に並ばないわけで、サブスクにはそれがありませんけども、代わりにAIが自動でオススメしてきます。
そう、だから新着音楽を知るのに「他者の判断」が介在している/していないが、ぼくにはちょっぴり意味のあることなのかもしれません。といってもほぼ100%他人の紹介によってニュー・アルバムなど知っていますが、それがなく自分でたどりついて聴いてみてよかったと思えたものは、なんだかすがすがしい気分です。そんなことほぼないんですけど。
考えてみれば、他人の判断があいだに入らず、完全自力で、あたらしい音楽や音楽家、新作などを見つけるだとか、そんなことはたぶんどなたにとってもほぼ不可能なことなのかもしれないです。本人からでもまったく情報発信されていなければ見つかりようもないわけですから。
たいていはショップとかAIとか紹介者の案内で知る、それでよさそうだと自分でも思って(買うなりサブスクなりで)聴いてみる、それで感動したり一定の感想を持って、ごひいき作品になったりするというプロセスが一般的で、そこに他人の判断が介在しているからといって引け目を感じることもないんでしょうけど。
だから、まったくこの世で知られていないローカル歌手、ローカル・ミュージシャンというのが、世界各地にかなりたくさんいるだろうなと想像します。レコード、CD、カセット、配信、なんでもいいけど録音作品をリリースしているのなんて、実はほんの一握り、音楽の世界の氷山の一角であって、結婚式とか祭事など地元現場で歌ったりして生計を立てたり、あるいは副業であっても、活動しているというひとたちが、それこそ無数にいるでしょう。
しかし世界各地の音楽現場にまで足を運ばず日本に住んで部屋のなかで音楽を楽しんでいるぼくにとっては、つまりリリースされている録音音楽こそがすべてであって、リリースとなればそれなりの宣伝もされるし、情報が拡散して、いまのネット時代には世界のだれかが知る、ということになっています。結果ぼくの耳に届いたり(届かなかったりも)します。
そういうものを、ただ自宅の椅子にじっとすわりながらにして知る、ということなんですから、完全独力での情報獲得なんてありえないわけであって、ショップに足を運ぶにしたってそうで、この世にあふれかえっている録音音楽作品は、必ずだれか紹介者、輸入者の判断と介在があってこそぼくらのもとに届くということなんです。
ここまで考えれてくれば、いつもいつも他力本願で申し訳ないとぼくは感じることがあるけれども、そんなふうに感じる必要なんて実はぜんぜんない、本質的にほぼ全員がいつもだいたい他力本願なのだ、ともいえましょう。
どんな音楽が、どの作品が、自分向きか?ということに、あらかじめ他者の思考が介在してしまう、他者なくしては自己もありえない、というのはちょっとあれですけどね。自分の好みを自分で決めているわけじゃないかもなんですから。
(written 2021.10.9)
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