東欧音楽と中東音楽との接点をさぐる 〜 ハルヴァ
(2 min read)
Halva / Dinner in Sofia
https://open.spotify.com/album/4JohdQskTqBdETuKCXzRyR?si=b9urwzk4QpOwu7KTH53NSQ
ハルヴァというのはヴァイオリン奏者ニコラ・コトニーを中心とするベルギーのグループらしいんですが、五人組でインストルメンタル音楽をやっています。グループ名はイスラム圏のお菓子からとったものですね。
ヴァイオリン、クラリネット、アコーディオン&ピアノ、チェロ、打楽器という基本編成で東欧音楽と中東音楽との接点をさぐるといった音楽性で、アルバム『ディナー・イン・ソフィア』は2021年のもの。東欧と中東は地理的に近接しているし、音楽的にも通じるものがあることは、以前からさまざまな作品で証明されていたことではあります。
ハルヴァの『ディナー・イン・ソフィア』、東欧から中東にかけての諸都市名が多くの曲でタイトルに織り込まれています。それはたぶんきっかけみたいなものにすぎず、べつに都市の風景が音楽的なモチーフとして描写されているわけじゃありませんが、雰囲気はわかります。
クレズマーなどのイディッシュ・ミュージックと東欧音楽と中東音楽を混ぜこぜにし(中東風味はやや薄いけど)、それらのサウンドを積極的に取り入れているのがわかりますが、しかし中心になっているのはあくまで東欧的というか、ややバルカン的なサウンドスケープ。
トルコのハルクやルーマニアの羊飼いの音楽、レバノンのベリーダンス音楽、さらにクラシック調の小曲などもこのアルバムでは演奏されていて、それらを東欧〜バルカン的な音楽要素と有機的に結合させて、独自の世界観を構築しています。
ラスト11曲目には表示のない隠しトラックが仕込まれていて、いったん演奏が終わって数分してからSPレコードを再生するようなパチパチという露骨にレトロなロー・ファイ処理をほどこした別な曲が出てきます。
(written 2022.3.15)
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