R.I.P. to the iPod (2001-2022)
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唯一の現行機種iPod touchも製造をやめ在庫限りで販売を終了するというAppleの公式発表が先週ありましたね。大手マスコミなども報じたのでみなさんご存知でしょう。
これで2001年にはじまったiPodシリーズの歴史に約20年でピリオドが打たれることになりました。しかしこれといったショックも感慨も聞かれなかったのは、もはやとうに事実上役目を終えていた工業製品だとみんなわかっていたからでしょう。
AppleにとってiPodはiPhone(2007〜)開発への礎となり、そして皮肉なことにそれに取って代わられることになったわけです。音楽を持ち運ぶ作法も、CDからパソコン経由でインポートして or ダウンロード…というんじゃなく、スマホでストリーミング・サービスにアクセスしてどこででも聴けるというのがあたりまえになりましたから。
以前くわしく書きましたように、音楽を携帯する行為は1979年の初代ウォークマンで誕生したものでしたが、ウォークマンが樹立した思想を発展的に継承し、デジタル時代に普及させたのがiPodでしたね。個人的にはそのあいだにポータブルMDプレイヤーの時代がありましたが、iPodも2005年(だったはず)に買って便利に使いはじめました。
CDから音楽ファイルを入れるのにパソコンを必要とするものなので、だからそもそもパソコンなんて触ったこともないよというZ世代にはこの点でもiPodは時代遅れになっていたんじゃないでしょうか。そうそう、いまや20代以下はパソコン使えないので、企業などの新人研修ではそこから教えるそうですよ。
iPodがはじめたことじゃなかったにせよ、音楽を持ち運んで外出時に気楽に聴けるといういまのぼくらの日常的ライフ・スタイル、21世紀的にはやはりAppleが普及させたものかもしれません。上でウォークマンの名前を出しましたが、いまもストリーミング型携帯プレイヤーとして現役のWalkmanブランドだって、iPodの思想を取り入れなかったらもう終わっていたかもしれませんし。
iPod(とiTunes)は音楽産業のありかたをも抜本的に変化させ、レコード会社やミュージシャンたちにも大きな影響を与えたという点も見逃せない歴史の転回でした。音楽受容のありようが変化したので届け手側だって変わらざるをえませんでしたし、音楽がそれ以前とは同じじゃなくなりました。
最後の現行機種iPod touchなんて、iPhoneをベースにしたモデルですからね。iPodのほうが母なのに、子であるiPhoneに支えられないといまや生きていけないといったことになったわけで、それもとうとう寿命が尽きることとなりました。
(written 2022.5.17)
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