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2022/05/26

カタルーニャと中東を結ぶえにし 〜 カローラ・オルティス

1008437300

(2 min read)

 

Carola Ortiz / Pecata Beata
https://open.spotify.com/album/5jaVX7jaDgcARYb0pewkSd?si=ORLujudAR5-pb63TsxKp6A

 

やはりディスクユニオンに入荷したカタルーニャのレーベル、ミクロスコピのカタログから。きょうはシンガー&コンポーザー&クラリネット奏者、カローラ・オルティスの2021年作『Pecata Beata』。

 

カタルーニャ出身の音楽家なんですが、聴いて感じるのは汎地中海的というか、北アフリカ〜中東方面を俯瞰するアラブ・テイスト。色濃い哀感、孤独感なんか、完全にそうじゃないですか。なんだったら使われているメロディの音列やヴォーカルの節まわしだってそう。

 

さわやかモーニングみたいなジャケット・デザインの印象からは想像もつかないわけですが、考えてみればイベリア半島とそのへんは歴史的に深いえにしがあるわけで、音楽的な類縁が表現されるのは当然といえます。

 

さらに本作ではフランスのシャンソンっぽい退廃とメランコリーが聴かれる曲もあったりして、なんだか全体的には世紀末っぽいムードというか、なんでしょうね、この暗さ。というかこういったメロディが好きなソングライターなんでしょう、べつに本人のキャリアになにもないみたい、スアド・マシっぽい色を強く感じますけど。

 

ただひたすらアラブな旋律体系に惹かれているだけかもしれません。それで本作収録曲、メロディはカローラの自作ですが、歌詞はカタルーニャの女性詩人たち(モンセラット・アベージョ、メルセ・ロドレーダ、ビクトール・カターラ、アナ・グアルなど)の詩を使っています。

 

ですから一種のコンセプト・アルバムでもあるわけです。クラリネット類を吹くときはかなりジャジーな長尺ソロを展開しているし、そもそも曲の持つリズムやハーモニーだって民族音楽的でありながらチェインバー・ミュージックっぽいジャズ・テイストを発揮しています。

 

そうかと思うと、たまにビートが旋回するパートではややバルカン的ともいえるパターンを使っているし、しかし祝祭感などはぜんぜんなく、暗くうつむいて憂鬱そうにたたずんでいるような、そんな音楽ですかね。個人的になにか強く惹きつけられるものがありました。

 

(written 2022.5.24)

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