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2022/06/26

21世紀のスタンダード・ジャズ・ヴォーカル 〜 みんなエラが好き

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(4 min read)

 

v.a. / We All Love Ella: Celebrating The First Lady of Song
https://open.spotify.com/album/2aNwDScTeNVRQEiqa42tVs?si=_KOz5NmYSwqRxTaz-MAhwg

 

Astralさんの紹介で知りました。
https://astral-clave.blog.ss-blog.jp/2022-02-19

 

あれっ、いつのまにか15曲目ディー・ディー・ブリッジウォーターの歌う「コットン・テイル」がグレー・アウトしているぞ。こだわってもしょうがないので聴けるもので書こう、エラ・フィッツジェラルド・トリビュート『ウィ・オール・ラヴ・エラ:セレブレイティング・ザ・ファースト・レイディ・オヴ・ソング』(2007)。

 

かのフィル・ラモーンがヴァーヴのためにプロデュースしたコンピレイション・アルバムで、エラの生誕90周年を記念してリリースされたもの。現代のさまざまな歌手たちがエラのレパートリーだったスタンダード・ソングを一曲づつ歌うっていう趣向で、このアルバムのための新録じゃないものもありそう(わかりませんけど)。

 

あきらかに新録じゃないのは14曲目「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オヴ・マイ・ライフ」。もちろんスティーヴィ・ワンダーの曲で、なんとエラとスティーヴィの共演 at 1977年ニュー・オーリンズ・ジャズ&ヘリティジ・フェスティヴァルっていう。エラ本人が登場するのはここだけで、本作の目玉みたいな発掘音源でしょう。

 

メロディを歌うだけでなく、スティーヴィもエラばりのスキャットを披露し本人と応酬して、なかなか聴きごたえあります。エラの代名詞の一つでもあった器楽的な速射砲スキャットといえば、アルバム・ラスト16「エアメイル・スペシャル」をやるニキ・ヤノフスキも聴かせます。

 

ベニー・グッドマン楽団時代の1941年にチャーリー・クリスチャンが書き同コンボで初演したものですが、すべてのジャズ・ファンは1957年ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルにおけるエラの名唱で記憶しているだろうもの。ニキのこのヴァージョンもほぼ忠実にそれを再現しています。

 

しかし器楽的なスキャットばかりとりざたすのでは歌手エラの真価を理解したことになりません。ティン・パン・アリー系などスタンダードな歌メロも深く咀嚼してしっかりと美しくつづるさまに本領があった歌手だとぼくは理解していて、このアルバムでもほとんどの歌手はエラのそういった部分を再現していますので好感が持てますね。

 

さほどコンテンポラリーなアレンジとサウンドがたくさん聴けるというわけでもなく、こうしたジャズ・ヴォーカルの世界は永久不変のものなんだということもよく伝わります。それでもそれなりに新時代のディープなビート感みたいなものが聴けるトラックもあります。

 

いちばんそれを感じたのは10曲目グラディス・ナイトの「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」。アクースティック・ギターのアルペジオと、軽いけれどしっかりシンコペイションを効かせたドラムスが表現するグルーヴ感は間違いなく21世紀のもの。そこにきれいなストリングスがからんだりするさまにはためいきが出ますね。

 

(written 2022.5.12)

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