ジャジー・カントリー二題(1)〜 マイケル・ファインシュタイン
(3 min read)
Michael Feinstein / Gershwin Country
https://open.spotify.com/album/2GtxGWETtIqgwN8KwclWvP?si=2rnxUippQjmpswQXM9LqYw
萩原健太さんのブログで知りました。
https://kenta45rpm.com/2022/03/15/gershwin-country-michael-feinstein/
ジャジー・カントリーというかカントリーなジャズというか、そのへんの区別がつかないミックスというかクロスしたようなアメリカ音楽がすっかりトレンドになっていますよね。近年のこの流れはおそらく2002年デビューのノラ・ジョーンズが直接的源泉でしょう。
しかしさかのぼればウィリー・ネルスンの『スターダスト』が1978年に出ていましたし、その後ウィリーは同路線の作品も現在まで継続的にリリースしています。またそもそもずっと前からウェスタン・スウィングっていうものがあるんで、ジャズとカントリーの融合はなにも21世紀にはじめられたことじゃないわけです。
マイケル・ファインシュタインの新作アルバム『ガーシュウィン・カントリー』(2022)もそんな系譜に連なるもの。デビューがガーシュウィンでだった歌手で、現在まで一貫してティン・パン・アリー系のアメリカン・ソングブックを歌ってきている存在(Wikipediaには “revivalist” とはっきり書いてある)、さもありなんな一作ですね。
アルバム題どおりガーシュウィンの有名曲(はジャズ歌手がよく歌ってきた)をカントリー・ミュージックふうに料理してみせたというもので、両ジャンルの近接性を如実に証明しています。録音は例によってナッシュヴィルで。ジェリー・ダグラスはじめ当地の腕利きミュージシャンがバックをつとめているのもいい味わい。
さらに、トラックリストを見ればわかるように一曲づつ豪華なゲスト歌手が参加してマイケルとデュオで歌うのも楽しいところ。アリスン・クラウスみたいに個人的にも大好きなあたりはほんとうに気持ちいいですね。またラストの「エンブレイサブル・ユー」に参加しているライザ・ミネリは本作のアルバム・プロデューサーでもあります。
全編基本アクースティックなサウンドで構成されていて、それもなんですが、おだやかで静かでくつろげるトゲのない音楽に仕上がっているのは、近年の世界的なポップス潮流に乗っているともいえましょう。オーガニックっていうかナマの質感がしっかり聴きとれて微笑みます。
ですが、そんな流行のことを言わなくたって、もともとガーシュウィンの世界はどんなものだったか?アメリカン・ソングブックとは?ジャズとは?カントリーとは?という認識のルーツ的根本に立ち返っているだけだとも考えられますね。
(written 2022.6.11)
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