極上のまろみを聴かせるデュオ・ショーロ 〜 アレサンドロ・ペネッシ、ファビオ・ペロン
(2 min read)
Alessandro Penezzi e Fábio Peron
https://open.spotify.com/album/0ok3dRfM5AAEQwjdlHTUSW?si=0TuvCdE8QbCMpmTeiuDrVA
Música Terraで知りました。
https://musica-terra.com/2022/05/31/alessandro-penezzi-e-fabio-peron/
ブラジルの七弦ギターリスト、アレサンドロ・ペネッシと十弦バンドリン奏者、ファビオ・ペロンのデュオによるショーロ・アルバム『Alessandro Penezzi e Fábio Peron』(2022)。まったく飾り気のないジャケットとアルバム題ですが、中身は極上です。
両名ともよく知られた存在ですが、デュオでやるのは初のはず。こうした極小編成でのショーロというのはそこそここの世に存在してきましたが、本作できわだつのは録音が極上で弦楽器の表情(弦や木製ボディのアクースティックなど)がとてもよくわかるということと、二名ともの音色の美しさと粒立ちのよさ。
個人的にはサウダージに満ちた泣きのバラード系ショーロこそ大好きなもんで、本作でもたとえば5曲目「Veranda da Saudade」とか、それから9「Valsa em Branco e Preto」にグッと胸をつかまれます。特に後者かな、これはヴァルサなんですが、ほぼテンポ・ルバートに近く、リリカルなフィーリングに満ちています。
一聴、すべてインプロヴィゼイションで構成されているのかな?と思いそうになってしまうほど自然発生的な演奏であるにもかかわらず、よく聴けば丹念に練り込まれたコンポジション。古典的なショーロやヴァルサの書法にのっとった、すべて二名の自作で、大半が本作のために用意されたものです。
特にどうってことないショーロ・アルバムに思えるかもしれませんが、どこにもトゲのないこうしたクラシカルなまるみのある落ち着きを聴かせる日常的なサロン・ミュージックこそ、ふだん飽きずに接し続けることができて、日々の癒しになるものなんです、ぼくには。
(written 2022.6.30)
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