Spotifyに殺意をいだくとき(2)〜 リイシューものジャケット問題
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さまざまな問題を感じながらも音楽を聴くのにこれ以上便利で使いやすく楽しいサービスはないので使い続けているSpotify。これのおかげで人生がすっかり充実するようになりましたが、やはりときたまギクッとすることがあります。
それはこないだふとウェザー・リポートの1971年デビュー・アルバムを聴きたくなってさがしたときのこと。出てきたのはこれ、これですよ。上にSpotifyアプリのスクリーン・キャプチャを貼っておきましたが、こりゃアカンやろう!このジャケット。
コロンビアの例のナイス・プライス・シリーズ(とかなんとか言っていたと思う)だったジャケットで、1990年代だったかなあ、これでめっちゃた〜っくさん出ていたんですよ、過去の名作リイシューCDが。オリジナル・ジャケットの外枠を赤い太線でぐるっと囲って。
オリジナル・ジャケットのデザインを破壊する行為で、なにしてくれてんねん!と当時から強い憤りを感じていました。ウェザー・リポートだけじゃなくウェイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』もマイルズ・デイヴィスの諸作もこの赤枠ジャケで出ていたんです。ほんと無数にあった。コロンビアの当時の過去作リイシューはぜんぶこれだったかも。
しかしそんな時代はもう過ぎ去った、コロンビア(レガシー)だってその後ちゃんとオリジナル・ジャケットを尊重したかたちでリリースしなおしているし、すっかり忘れていたんですよ、ヘドが出るほど大嫌いだったあの赤枠ジャケのことなんか。ぜんぶ買いなおしたので、大量に持っていた赤枠のやつは中古ショップへ売りました。
あんなイヤなこと、もうぜんぜん記憶の片隅にも残っていないくらいだったのに、それをSpotifyが復活させやがりくださりなさった!『ウェザー・リポート』(71)だけでなく、『アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック』も『ミスター・ゴーン』も『8:30』もこれ。どないなっとるんやぁ〜。
問題を切り分けるためApple Musicのほうでも見てみたら、なんとそれらはすべてまったく同様の赤枠ジャケなんですね。ってことはプラットフォームがわの責任じゃなく提供しているレコード会社に責があるんだと思いますけど、こんなんアカンって!
手当たり次第思いつくコロンビアの過去作をSpotifyであたってみたら、実はけっこうあります、このイヤなやつが。いったい1917年の商業的レコード録音発売開始当初からそもそも音楽や音楽家や作品を尊重しない態度が垣間見えてきたこのメイジャー、なにを考えているんでしょうね。
市場にジャケットが微妙に異なる複数のリイシューCDが存在しているばあい、購買者サイドが選択できます。気に入らなかったら別のちゃんとしたのを買えばいいだけ。でもサブスクだと「それ」しかないんですよね。イヤなジャケをガマンして見ないようにしつつ音だけ聴くしかない。
サービスの問題ではなく提供元のレコード会社がちゃんとしていないんであって、あるいはひょっとしてサブスク軽視なのか?といぶかりますが、普及してもうだいぶ経ったんだし、それでしか音楽聴かないっていう、ウェザー・リポートにしろそれで初めて出会ったという、そういうリスナーだったら戸惑うんじゃないですかね。オリジナル・ジャケットを見る機会でもあれば「あれっ?これ、赤枠がないよ、おかしいね」って思うかも。
それでいいのか、コロンビア?!
(written 2022.5.25)
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