サンバの秋だ 〜 ニルジ・カルヴァーリョ
(2 min read)
Nilze Carvalho / Verde Amarelo Negro Anil
https://open.spotify.com/album/41mnwm5xiw9zeRNHRb0bgD?si=SYVxgpMfQ9eZICqRPRk2xg
bunboniさんに教えてもらいました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-08-15
真夏向きの音楽だと思いながら愛聴しているうちにそのまま秋になっちまいましたが、ブラジルのニルジ・カルヴァーリョ『Verde Amarelo Negro Anil』(2014)、秋にだってなかなか似合う音楽です。むしろ適温になってきたいま10月のほうがよりさわやかでいい感じに聴こえるかも。
勢いより落ち着きを感じさせる円熟サンバで、その意味でも秋っぽいフィーリングはあります。ぼくがサンバを聴くようになったのはCD時代になってからなので、ずっと前からなじんでいたみなさんの感慨みたいなものには共感できる者じゃないんですが、そこはそれ、聴き知っていた曲というのもある程度ふくまれています。
曲ごとの解説はbunboniさんの記事をお読みいただくとして、もう1曲目から快調にグルーヴするサンバで楽しくヒザや腰が動きます。これこれ、こういうのですよね大衆娯楽音楽の醍醐味は。その後も同傾向のダンサブルなサンバが多いし、同時に佳くメロディアスでもあって聴いてもいい。
しっとり聴き込むメロウ系バラードもあります(7)。クイーカが哀愁をさそうのも印象深く、かといってサウダージを感じさせるというふうでもなくさっぱり乾燥した心地がするのは、やはり大人の音楽家らしい味でしょうか。この曲、本作でいちばん好きかも。
カルメン・ミランダばりに譜割りの細かい速射砲ヴォーカルを余裕でこなす技巧曲があるかと思えば(9)、ニルジの本来領域であるバンドリンの妙技を聴かせるインスト・ショーロもあったり(12)。クロージングはいかなぼくでも熟知のウィルソン・モレイラ・ナンバー。メロが流れてきた瞬間に頬がゆるみ、ニコニコしたままアルバムは終了。
(written 2022.10.20)
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