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2022/10/02

プロフェッサー・ロングヘア入門にはこれ 〜『ザ・ラスト・マルディ・グラ』

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(5 min read)

 

プロフェッサー・ロングヘア(1918-80)のほぼ最終作『ザ・ラスト・マルディ・グラ』(1978年録音82年発売)。なぜだかサブスクにないので、CDからインポートしたMusicアプリ(iTunes)のファイルで聴いていますが、ホント好きなんですよね。最高傑作じゃないのかと断言しちまいたい。

 

そこから何曲かYouTubeにもあげていて、それはもちろん権利者には無断でぼくが勝手にやっているだけのこと。だってねえ、だれでもがネットで聴けるようにしておきたい音楽だと思いますから。レコードもCDもすでに廃盤久しいんですから、これは義侠心みたいなもんですよ。

 

こないだ9月6日、そんなYouTube動画の一つにコメントがつきました。「This album was my introduction to 'Fess. He has such a distinctive piano style」っていう。これはうれしかったなあ。このかたとぼくは同世代かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=If_Oif6b4JM&lc=UgyNyWv9YAefjEnEitF4AaABAg

 

『ザ・ラスト・マルディ・グラ』は1982年の二枚組レコードで、そのころぼくはちょうど大学三年生。ジャズにはまり関連する他方面もどんどんディグするようになっていたちょうどその時期に発売されてレコード・ショップに並びましたから、これがフェス入門だった、初めて手にとったフェスだったというのはぼくの世代には多いはず。

 

といってもぼく個人は『ニュー・オーリンズ・ピアノ』のほうを先に買ってはいて、それをいちおう一、二度聴きはしたんですけど、そのころはどこがおもしろいのか理解できませんでした。だからそのまま放り出しちゃっていて、フェスにはまった、こ〜りゃ楽しい音楽だねと皮膚感覚で納得できたといえるのは82年の『ザ・ラスト・マルディ・グラ』が初だったんです。

 

軽みがあって聴きやすくわかりやすい音楽で(そういうのバカにするひともいるみたいですけど)しかも有名代表曲だってたくさんやっているライヴ・アルバム。明快にノリよくて、まさにフェス入門にもってこいだと思うんですよね。

 

こうした音楽のベースにブルーズとカリビアン要素が濃くあるということもよくわかるし、ブギ・ウギやロックンロールと近接しているということだって示されているし。

 

歌うものが中心だけどじっくり聴かせるインスト演奏だって数個まじっていて(歌ものでもたっぷりめな楽器ソロあり)、このニュー・オーリンズ・スタイルを代表した大物ピアニストのその鍵盤をさばく腕前だってこれ以上ないほどくっきり刻印されているし。

 

いつだって楽しかったフェスの音楽が、地元のクラブ、ティピティーナでのライヴならではっていうことかここではいっそうくつろいで躍動していて、晩年ならではのまろやかな円熟味すらもあるんですから。

 

こう説明してくると、そ〜りゃフェスへの入門篇にピッタリですねって納得していただけるような気がしますが、それがなんとサブスクにないんですよね。廃盤になったレコードかCDを中古ショップでさがすしか手がないなんていう、そんなのちょっとねえ。フィジカル・リイシューが今後あるかどうか…。

 

ともあれどうしても、というかたは地道に中古盤をさがしていただきたいと思います。見つかるまでのあいだ、ぼくがファイルをつくってYouTubeに上げておいたこのアルバム(全17曲)からの七曲でもお聴きになって、楽しんでいただけたらいいんじゃないでしょうか。

 

「ジャンバラヤ」
https://www.youtube.com/watch?v=Z6u4LvWePdM

 

「メス・アラウンド」
https://www.youtube.com/watch?v=_gIKK9ot0nQ

 

「ラム&コカ・コーラ」
https://www.youtube.com/watch?v=If_Oif6b4JM

 

「シー・ウォークス・ライト・イン(シェイク、ラトル&ロール)」
https://www.youtube.com/watch?v=UNPJ1HNWlQw

 

「スタッグ・オ・リー」
https://www.youtube.com/watch?v=pN79UI1No74

 

「カーニヴァル・イン・ニュー・オーリンズ」
https://www.youtube.com/watch?v=na5sXo0Oqhw

 

これらはすべてカヴァー曲で、アルバムではもちろんフェスの有名自作ナンバーもたくさんやっています。それらはサブスクでも一般的な他作でどんどん聴ける曲ですから。そんな自他の区別なく自分の音楽として存分に楽しんでやっていたのがフェスの持ち味ですね。

 

(written 2022.9.8)

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