今年で50歳
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というアルバムがたくさんあると思います、ちょうどリリースから半世紀が経過したってものが。なぜなら1972年ごろはロックやソウルなど米英ポピュラー・ミュージックの最盛期で、傑作がどんどん出ていましたから。昨年も71年産の音楽に触れて同じようなことを書きましたね。あのころからちょうどハーフ・センチュリー。時代を感じます。
そんな72年作からパッと思いついた四つを上で画像タイルしておいたわけですが、音楽家名もアルバム題も、いっさいの説明も、なにもかも不要という問答無用の傑作ばかり。さっと一瞥しただけで中身の音楽が自動で脳内再生されるというかたもたくさんいらっしゃるはず。
71、72年ばかりか、こうしたことは1969年ごろからはじまって、75年あたりまでずっと続いたことだと思うんですね。米英大衆音楽史でひときわ豊穣でスペシャルな時間だったのは間違いなく、そのころすでに50年以上レコード史のあったジャズでも、ファンクやロックやブラジル音楽など他ジャンルとフュージョンするようにして新時代の刺激的傑作を産んでいました。
あのころ(1960年代末〜70年代なかごろ)のロックその他など、なぜあそこまで豊かだったのか、いま聴きなおしても、これはなにかとってもスペシャルなものだと新参者でも直観できる魅力がどこにあって、どうしていまだにファンを獲得し続けているのか、社会状況はじめ時代とどうクロスしたのかなど、ぼくみたいな人間には摩訶不思議なマジックがあったとしか思えず。
あのころ一連の傑作群をぼこぼこと誕生させていた当の音楽家本人は、年老いて衰退したか亡くなってしまったというケースがあるものの、いまだ健在で、往時のまばゆい輝きはなくなっても、ずっと元気に活動を続け円熟味を発揮しているひとだって多いですよね。
1972年に25歳だったと仮定したら、50年経過していまは75歳。健康寿命も伸びている現在、ましてや音楽創作活動に没頭する種類の人間にとっては、まだまだやれる歳のはず。上でタイルした四作のうち、ドクター・ジョンとカーティス・メイフィールドは亡くなって、スティーヴィはちょっとペース落ち気味かな、でもストーンズはいまだ第一線ですから。
そのほかポール・マッカートニーにもロビー・ロバートスンにもカエターノ・ヴェローゾにもまだまだ新作を届けてほしいと、永遠に生きられる人間はいないし、年代からすればぼくのほうが死ぬのはあとなんで残されてさびしい思いをすることになるでしょうけど、まだあと10年は期待を寄せたいです。
むろん、そういったみんながあの時代に創り発表したああいった超絶名作に匹敵するようなものは若手新世代が産んでいくということになるんですけど、そのためのヒント、きっかけになるような要素をベテランはたくさん持っているんじゃないでしょうか。
ぼくも還暦、日本人男性の平均寿命を基準に考えたらおそらくこの先21年ほどなんで、そのうち健康で音楽を楽しめる時間がどれくらい残されているか、どれだけ時代の生まれ変わりを音楽で実感していくことができるかわかんないんですけども。
(written 2022.11.10)
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