ジャスティン・アダムズ produces スアド・マシ 〜『Sequana』
(2 min read)
Souad Massi / Sequana
https://open.spotify.com/album/64Uwr6ZmYrBNABToF47PRN?si=6u2kSRifT5ys3NgjFy-Y0Q
なんでこんなジャケットなのかだけがどうしても得心いかないスアド・マシ(アルジェリア/フランス)の最新作『Sequana』(2022)ですが、中身の音楽に風変わりなところはないばかりかいままでよりいっそう充実していて、安心して聴けます、ジャケを見なければ。
今回はかのジャスティン・アダムズがプロデュースということで、といってもそれは日本でCDを売るオフィス・サンビーニャの情報、Spotifyでクレジットを見たらスアド自身しか全曲のプロデューサー欄に名前がありません。どうなってんの。
もちろんサウンドを聴けば、ティナリウェンなどを手がけてきたジャスティンらしさがそこかしこにしっかり聴きとれるので、サンビーニャ情報に間違いはないはず。アルジェリアの音楽家は初めてかもしれませんね。
たとえばイタリア系イギリス人ピエール・ファッチーニをゲスト・ヴォーカリストにむかえた3曲目後半での回転する反復パターンなんかはやっぱり砂漠のブルーズを想起させるもので、こうしたものが好きなぼくにはうれしいところ。こういうのはいままでのスアドの音楽になかったものでしょう。
でもほかはほとんど従来の哀感強めなスアドの音楽が表現されていて、ジャスティンはこの音楽家の持ち味をそのまま活かすようにプロデュースしたんだなとわかります。ややフォーキーなシンガー・ソングライター然としたものもいままでどおりあって、今回哀感はいままでの民族ルーツ的、エクサイル的なものというより、コロナ時代ならではの不安や孤独へと向かっている模様。
シャアビ(アルジェリア大衆音楽)らしいものとか、アクースティック楽器を基本としながらも、なかにはハード・ロックばりにエレキ・ギターが強めの音で鳴るものも一個だけあったりして、なかなか多彩です。個人的には終盤の10曲目(ボサ・ノーヴァふう+ナイ)、11曲目(アクギ弾き語り)にグッとくるものがあります。
(written 2022.11.28)
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