12 Essential Contemporary Blues Artists(2)〜 ルーシー・フォスター
(3 min read)
Ruthie Foster / Live at the Paramount
https://open.spotify.com/album/4WpmLRfmXFom0gjfLb9FWG?si=QKiu8KXpT72flqdqrxzsJw
以前シュメキア・コープランドをピック・アップしたPopMattersの記事『12 Essential Contemporary Blues Artists』(↓)から、二回目はルーシー・フォスターをとりあげてみます。
https://www.popmatters.com/12-essential-contemporary-blues-artists
ルーシーは1997年にアルバム・デビューしているようなので、その点ではやはり新世代っていうわけじゃないんでしょうが、こねくらずガナらずコブシもまわさないヴォーカル・トーンにはジャジーなさっぱり感があって、決して旧タイプの濃ゆい歌いくちじゃないですね。
最新作『Live at the Paramount』(2020)は、地元テキサスはオースティンのパラマウント・シアターでやったショウをライヴ収録したアルバム。大きな編成のバンドをしたがえていて、そのアレンジを(マイルズ・デイヴィスとの共演歴もある)ジョン・ビーズリーがやっています。
ちょっぴりハイ・ソウルっぽいフィーリングも香る音楽で、だからブルーズの枠で知りはしたものの、本作で聴くかぎり実態はさわやかジャジー・ソウルみたいな持ち味です。ジャズ・シンガー寄りかなという感触がしますね。
なんかフュージョンっぽいのも三曲ほどあったりするし、それでいて従来的なジャンプっぽい強いシャッフル・ビートの効いたストレートなブルーズ・ナンバーで声を張るものも複数あるっていう。
しかしどんな曲をどんな伴奏でやるにせよ、ルーシーのストレート&ナイーヴなヴォーカル・スタイルは一貫していて、それがあるから安心して聴くことができますね。従来的な曲想のブルーズ・ナンバーでは大向こうをうならせるミエを切るような強い発声もできる多彩なスタイルの持ち主。
アルバム全体でみると、ブルーズの枠で知り聴いてみたもんだからどうしても「けっこうさっぱり淡白なジャジーさだ」という印象が先行してしまいますが、ほんとうはそっち、つまりブルーズも歌えるジャズ歌手、と考えたほうがいいのかもしれません。バンドのサウンド・アレンジも手伝って、そういう気になってきました。
なお、ラストでアンコール的に二曲のジャズ・ナンバー「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「マック・ザ・ナイフ」をやっていますが、その前の「フェノメナル・ウーマン」がとってもいいです。キャロル・キング/アリーサ・フランクリンの「ア・ナチュラル・ウーマン」を意識した曲なのはあきらか。
決してロー・ダウン&ダーティな感じになることがなく、どんな曲をやっても常にクラッシーなのがルーシー。その意味では、もはやベテランに近いくらいのキャリアの持ち主ではありますが、(ブルーズ歌手とみれば)新世代的な感覚を備えているといえる面があるかも。
(written 2022.10.27)
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