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2022/12/31

世間でいうレトロ・ポップスとぼくの好きなレトロ・ポップスは違う

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(4 min read)

 

Retro Pop
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DXcTieYAg7jq1?si=4098e2c3ce954e96

 

上の写真はSpotify公式のレトロ・ポップ・プレイリスト。聴いてみてわかるのは、こうした近ごろ流行りの世間でいうレトロ・ポップスと、ぼくが好きでブログでどんどん書いているレトロ・ポップスにはズレがあるということ。

 

世間でいうレトロ・ポップスとは要するにレトロR&Bのことなんですよね。特に1980年代ものかな、そのへんのR&Bを意識した音楽で、世紀の変わり目ごろからのネオ・ソウル隆盛が70年代ニュー・ソウルの復権運動だった(デジタル打ち込み主流音楽への反動もあり)のに比べ、そこからさらに時代が進んだところへのあこがれの眼差しということです。

 

それでも上の画像どおりジャケットのふちの紙がこすれてかすれたようなデザインに配信だけどわざわざなっているのでもわかるように、たしかに過去への、アナログ時代への、それも中古レコード盤で聴くような世界への回帰というか、いまふうのリバース(rebirth)現象なんです、レトロR&Bも。

 

そのあたり当時のR&BにもレトロR&Bにもそんなには強い愛好気分のないぼくが心底大好きでどんどん記事にしている「レトロ・ポップス」は、ちょっと別なもの。ぼくのいうレトロ・ポップスとは、つまりレトロ・ジャズのことです。1920〜50年代前半的な、ディキシーランド・ジャズ、スウィング・ジャズ時代への遡及を聴かせる現代ポップ歌手たちこそが好み。

 

具体名をあげればレイヴェイ、ダヴィーナ&ザ・ヴァガボンズ、サマーラ・ジョイ、ルーマー(の主な素材は70年代ものだけど)、サマンサ・シドリー、エマ・スミス、メグ(民謡クルセイダーズ)、キャット・エドモンスン、ヘイリー・タック、ノナーリア(インドネシア)など。

 

共通しているのはロックンロール・ビッグ・バンがあったその前の時代へのレトロ現象だってこと。だからロックともR&Bとも縁がなく、爛熟黄金時代だったジャズやそれ系ポップスの曲や演唱スタイルをひたすらなぞって21世紀に再現しているわけです。そういったいまどきの音楽こそ好きなんです。

 

そうしたレトロ・ジャズ・ポップスとはどういった音楽で、21世紀に誕生し隆盛になっている理由や背景とか、個人的にどこがどんなふうに好きかなど、いままでも散々書いてきたことなので、過去記事をぜひお読みください。このへんとか↓

 

「ジャジーなレトロ・ポップスが、いまドープ ver.1.0」
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2021/12/post-b45f60.html

 

あるいはこれ↓

「ジャズにおけるレトロ・トレンドとはなにか」
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-7d3478.html

 

きょう一番上でご紹介したSpotifyの「Retro Pop」プレイリストはレトロR&Bのセレクションなんですけど、それでも一曲レイヴェイが選ばれたりもしていますし、そのほかにもぼくの趣味にあうレトロ・ジャジーなものがちょこちょこふくまれています。

 

そのあたりきっちり区別しすぎず、過去へのあこがれと遡及を聴かせるコンテンポラリー・ポップスをおおざっぱにくくって「レトロ」と呼んでいるのがこのごろの傾向なのかもしれないですね。いずれにしても若者に特有の気分で、日本でだってZ世代に昭和レトロが流行しているのは同一基軸の現象なんですね。

 

(written 2022.12.17)

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