ファンク・ブルーズ五題(5)〜 ウィル・ジェイコブズ
(3 min read)
Will Jacobs / Goldfish Blues
https://open.spotify.com/album/37ch8gg8aeKqab8LwgCPO4?si=zmJI6S2ESmup8dk7BVx5gg
2022年のデビュー・アルバム『ゴールドフィッシュ・ブルーズ』リリース時点で29歳の新人ブルーズ・ギターリスト&シンガー、ウィル・ジェイコブズ。なんでも10代のころから地元シカゴのローカル・シーン&ヨーロッパでは活躍してきたとのこと。
このアルバムもPヴァインの『P-VINE recommended BLUES & SOUL feat. STAN MOSLEY』プレイリストで知ったんだとばかり思っていたからシリーズにつらねたんですけど、どうも違うみたい。そのプレイリストに本作からの曲はないです。
じゃあどこで気づいたのかって、もうすっかり忘れちゃいましたゴメンチャイ。いちおうファンク・ブルーズとのシリーズ題につなげてみたものの、ウィルの本作はファンキーというよりぐんと軽くあっさり風味。淡白なポップ・フィールもあります。
本人のヴォーカル&ギターのほかはベースとドラムスしかいないトリオ編成で、かなりシンプルで整理されたサウンドだっていうのもそんな印象に拍車をかけています。それでも4、8、10曲目など正調ファンク・チューンもあるにはあって。
ファンクといってもディープさはなく、わりと軽めなんですけどね。エレキ・ギターの音色だってほとんど飾らずファットでごてごてした感じにせず(エフェクター類をあまり使っていないはず)、素直なストレート・サウンドにチューンナップしてあるのも淡白系ブルーズとの印象を強めている一因。
そうそうギターといえばですね、本作ではどの曲でも二本、三本と同時に聴こえるんですが、あきらかにウィルの一人多重録音だっていうのが疑いなく明白にわかってしまうっていう、ここまでそれがはっきりしているギターリストもめずらしいんじゃないですかね。
聴きやすいファンク・ブルーズだっていうか、そもそもが暑苦しくむさい世界なんですけど、本作はまったく印象が違います。聴き手によってはこんなのダメだものたりないよという感想が浮かぶでしょうが、ここ一、二年あっさり薄味系の音楽こそフェイバリットになってきたぼくにはこういうのもときにはいいな思えたり。
(written 2023.1.8)
« ファンク・ブルーズ五題(4)〜 サード・コースト・キングズ | トップページ | “一強” だった氷川きよしの休養で男性演歌界はどう変わるのか »
「ブルーズ」カテゴリの記事
- 1978年のレトロ・ポップ 〜 アルバータ・ハンター(2023.07.12)
- 拡大された『24 ナイツ』でもブルーズ・サイドが好き 〜 エリック・クラプトン(2023.07.03)
- アルバート・コリンズ直系 〜 ミシシッピ・マクドナルド(2023.03.22)
- みんな、いまぼくらは歴史をたどっているんだよ 〜 エディ 9V(2023.02.24)
- ブルーズの年輪 〜 アンジェラ・ストレイリ(2023.02.01)
« ファンク・ブルーズ五題(4)〜 サード・コースト・キングズ | トップページ | “一強” だった氷川きよしの休養で男性演歌界はどう変わるのか »
コメント