エネルギッシュ&リリカル 〜 山中千尋
(2 min read)
山中千尋 / Today Is Another Day
https://open.spotify.com/album/1rfz7JSqXPVU4w2gxm49Yf?si=abAWjf3rT5qDkWrsnRBViA
なにかのプレイリストからどれか一曲流れてきて、オッいいじゃんとなって知ったジャズ・ピアニスト山中千尋の最新アルバム『Today Is Another Day』(2022)がなかなか聴ける充実の内容。
自作、カヴァー織りまぜての全編オーソドックスなピアノ・トリオ編成で、特に千尋の手になるオープニングのアルバム・タイトル曲はぼく好み。最初ゆったりおだやかに弾きはじめたなと思ったら、速攻トップ・ギアに入れて疾走します。そのまま最後までハードにグルーヴし、たまらない快感。
するといきなり2曲目がなぜかのラテン・スタンダード「Tres Parables」(オズバルド・ファレス)。個人的にはナット・キング・コールがスペイン語で歌ったラテン・ソング集でも楽しんできた好きな一曲で、このチョイスはうれしかった。いつくしむようにデリケートに鍵盤上を指が動くのが美しい。
ラテン・ナンバーとはいえませんが4「Old Days」は千尋オリジナルながらラテン・フィールを濃厚にただよわせた曲。これもサイコーだぁ。もちろんジャズの世界ではこういうのむかしから多いわけで、その伝統に沿っているということです。終盤はサルサふうになり。
7曲目もスペイン語題の「Ojos De Rojo」ですが、これはちっともラテンじゃなくシダー・ウォルトンの書いたジャズ・ナンバー。千尋の演奏は細やかに弾きながらもかなりグルーヴして、けっこういいと思います。ちょっぴりバド・パウエルっぽいような感じがします。
そのほかドライヴ・ナンバーはアルバムにいくつもあって、たとえば5「Midnight Mood」(ジョー・ザヴィヌル)なんかもそう。曲題に反し真夜中の静かな雰囲気じゃなくて、軽快で勢いよくどんどんあざやかに弾きこなす明るくスウィンギーな演奏です。
(written 2023.1.17)
« 余裕のある歌いまわし 〜 ウィリー・クレイトン | トップページ | ブルーズの年輪 〜 アンジェラ・ストレイリ »
「ジャズ」カテゴリの記事
- キューバのベートーヴェン 〜 ニュー・クール・コレクティヴ、アルマ・カルテット(2023.08.09)
- 酷暑をしのぐ涼感音楽 〜 Tales of Wonder ふたたび(2023.08.02)
- バルセロナ出身のジャズ・サックス、ジュク・カサーレスの『Ride』がちょっといい(2023.07.30)
- ジャジーに洗練されたBGM 〜 リンジー・ウェブスター(2023.07.24)
- 楽しい時間をワン・モア・タイム!〜 ケニー・ドーハム(2023.07.19)
« 余裕のある歌いまわし 〜 ウィリー・クレイトン | トップページ | ブルーズの年輪 〜 アンジェラ・ストレイリ »
コメント