インディゴ・ブルーな冬の哀感 〜 ディレク・チュルカン
(2 min read)
Dilek Türkan / Akşamı Süzme Deniz
https://open.spotify.com/album/33e0NgVrgNqypp8WzNlFdv?si=znvnJxQMSGCvqzUS1jNPrw
スチャラカさんのツイートで知りました。
https://twitter.com/xiu_chang_po/status/1613141544546226179
トルコの古典歌謡歌手ディレク・チュルカンのニュースを、2018年作『An』以来聞かなくなっていましたよね。それは2020年に知ったものでしたから、もう三年近く。しかし21年に新作が出ていました。
それが『Akşamı Süzme Deniz』(2021)。これも充実した内容で、納得のいくアルバムです。その後も新曲はちょこちょこ出しているみたいですけど、アルバムではこれが最新でしょうか。
一部界隈ではそこそこ人気のディレクなのに二年前のアルバムにだれもなにも言わずで。そりゃあねえ(ショップでもないのに)盤がないと口にすらしないというヘンタイ・オヤジが多いってことは知っていますけどもね。ぼくだってスチャラカさんが話題にするまで気づきませんでしたから。
ともあれ『Akşamı Süzme Deniz』。やはりオスマン〜トルコ初期時代の古典曲を、従来的な少人数の楽器編成で、じっくりと哀切を込めてしかしほとんど声も張らずに淡々と歌っているのがいい。もともと宮廷音楽だったので、これもやっぱりサロン・ミュージックってことなんですね。
適度なラテン・リズムの活用もこの世界は古くから得意とするところ。基本(西洋音楽でいうところの)マイナー・キーの曲が多いものの、メイジャーとマイナーを行き来したり、あるいはたとえば10曲目みたいにさわやかなフィーリングをたたえた明るいメイジャー・ナンバーもあって。
そういうのが流れてくると、インディゴ・ブルーな冬の哀感をただよわせるアルバム全体の曇り空にさっと陽光が差したかのようで、とってもいいですね。こういう世界はレトロとかどうとかいうんじゃなくて、何百年もずっとこんな姿を変わらず維持しているんです。
人間のいだく気持ちが太古でも2020年代でもなんら変わりないように。
(written 2023.1.20)
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