ブルーズの年輪 〜 アンジェラ・ストレイリ
(2 min read)
Angela Strehli / Ace of Blues
https://open.spotify.com/album/1Yx4Cwak3jUGTZxWR74oga?si=CECNkKwiQpaMkBXEVa81pg
テキサスのブルーズ・クラブ、アントンズ設立にも関係したベテラン・ブルーズ歌手、アンジェラ・ストレイリの最新作『Ace of Blues』(2022)は、このアルバム題で推察されるとおりO.V. ライトの「エイス・オヴ・スペイズ」をカヴァーしているのがキモ。
そもそもが(ラスト12曲目を除き)カヴァー・アルバムなわけですが、個人的にことさら印象的なのが「エイス・オヴ・スペイズ」と「トライング・トゥ・リヴ・マイ・ライフ・ウィズアウト・ユー」(オーティス・クレイ)という二曲のソウル・ナンバー。
これら以外はブルーズ・ナンバーでベテランらしいこなれた無難な内容ですが、っていうかそれら二つのソウル・カヴァーだってオリジナルをほぼストレートに尊重していて驚きや意外性はないのですが個人的にはなんだか好き。
ブルーズだってこうしたトラディショナルなソウルだって、時代を経てもそうは変わらない世界なわけで、一枚の紙のオモテとウラみたいにして一体でともに歩みながらずっとやってきたというのを、アンジェラみたいなベテランが証明しているともいえますね。
声はもうすっかり老齢のものですけれど、コクのあるしっかりした歌いこなしをみせていて、バンドのサウンドだって堅実。みずみずしさよりも渋みのまさる音楽で、年輪を重ねただけあるという重厚感みたいなものが歌にあって、こういうのいいとぼくは思います。
唯一のオリジナルであるラスト12曲目の「SRV」というのはもちろんスティーヴィー・レイ・ヴォーンへのトリビュートでしょう。夭折した同郷テキサスの天才ギターリストを思い出しながらしんみりと思いをつづっています。
(written 2023.1.16)
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