ルゾフォニア・グルーヴの美点がつまったサウンド 〜 マイラ・アンドラーデのライヴ・バンド
(3 min read)
Mayra Andrade / Studio 105
https://open.spotify.com/album/720VPaqxg1xJUglaXZ2so4?si=E_xTf_3VRT2uWuUeene8pw
カーボ・ヴェルデの歌手、マイラ・アンドラーデがフランスはパリでやったスタジオ・ライヴのアルバムがあるんだって、ついこないだ知ったばかり。『Studio 105』(2010)。もうだいぶ前の作品ですね。オフィス・サンビーニャが売るというツイートがあってようやく気づきました。
これがですね、マイラのヴォーカルがどうこうっていうよりも、アクースティック楽器で固めたバンドのオーガニック・アンサンブルの心地よさでとっても快適に聴けます。ベースだってコントラバスの音をピックアップで拾っているんじゃないかと。
マイラにとって三作目だったので、二作目までに収録されていたレパートリーを中心に、なかにはパリ・ライヴだということを意識してのセルジュ・ゲンズブールや、あるいはビートルズの「ミシェル」とかもやってはいますがそれらはイマイチ。
やはりルゾフォニアの香り高い自曲こそがすばらしいですよ。アクースティック・ギターを軸に据えたバンドのアレンジをだれが手がけたのかとっても知りたいと思うすばらしいアンサンブル。
しかも聴いた感じたぶんギター、ベース、パーカッションだけのシンプルなトリオ編成じゃないかと思います。チェロが聴こえる曲はベーシストの持ち替えでしょう。自由度が高いというより事前アレンジされたカッチリした演奏で、それでいてナチュラル&スポンティニアス。
多用される反復リフがノリよくカッコいいし、それでもってつくるバンドのグルーヴがとっても気持ちいい。こなれているし、まったく理想のようなサウンドなんですよね、ぼくには。ホントこれギターはだれが弾いてんのか、音楽を牽引しているように聴こえます。
マイラのヴォーカルのことをなにも書いていませんが、正直いってこのライヴ・アルバムだとピッチにややぐらつきがあって、正確に音程をヒットせずあいまい。声のハリやツヤもそんな、なんっていうか、その〜。
それよりバンドのアンサンブル・サウンドこそ本作の聴きどころでしょう。ここまで心地よいんだから、それさえあればマイラはべつに、あ、いや。でもこのサウンドにはアフリカン・クレオール・ミュージックの、ルゾフォニア・グルーヴの、美点がつまっているように思えます。
(written 2023.3.20)
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