ジャンゴふうエレガンスの再現 〜 ジョショ・シュテファン
(2 min read)
Joscho Stephan / Four of a Kind
https://open.spotify.com/album/2kYhRDLD1vDZ4CvqedYViF?si=pi6Xpt2KR3-IQ5zNJnhoJQ
またまたお気に入りのジプシー・スウィング・ギターリストを見つけちゃいました。1979年生まれジョショ・シュテファンというドイツ人。2023年に二作出しているとSpotifyではなっているうち『Four of a Kind』が大のぼく好み。
ジョショは1999年に一作目をリリースしているみたいなので、もうじゅうぶんキャリアがあります。ジャンゴ・ラインハルトばりに弾くスタイルを持ち、『Four of a Kind』ではルーマニア生まれのヴァイオリニスト、コステル・ニテスクをむかえ、+自身のトリオ(2ギター+コントラバス)という弦楽四人編成。
アルバムの約半数は1930年代ごろによく演奏された有名スタンダードで、あのころジャンゴらもやりました。さらにフランス・ホット・クラブ五重奏団のオリジナル「Tears」もあり、あとはジョショのオリジナルですが、それもスタイルは一聴瞭然としています。
通好みに渋く淡々と弾く職人芸ギターリストではなく、華麗に技巧をみせつけるタイプの弾きまくり系なのがジョショ。今回パートナーに選んだコステルがちょうどステファン・グラッペリ役みたいな感じかな。むかしたくさん聴けたああいった音楽が最新録音であざやかに甦っているのが(ぼくには)うれしい。
スタンダードでも他作でも自作でもジョショらの音楽は変わらず一貫しています。二つの大戦間にあった欧州的な粋がここでは生きていて、あの時代のジャンゴ・ミュージックに魅せられ追求しているギターリストはいまだ多かれど、ジョショらの演奏にはまごうかたなきレトロ・ユーロピアン・エッセンスがただよっていて、ほかとは一線を画するところ。
たとえば6「Just A Gigolo」(がなにかのプレイリストで流れてきてそれで惚れた)なんかでも香っているさわやかなクールネスっていうか、有名スタンダードをただストレートにやっているだけのなかに独特の空気を持たせるのがうまい音楽家です。体臭みたいなのは消して、エレガンスだけ表現できているっていう、技巧披露系でなかなかいないですよこんなギターリスト。
(written 2023.5.17)
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