アダルト・シティ・ソウルの官能 〜 スモーキー・ロビンスン
(2 min read)
Smokey Robinson / Gasms
https://open.spotify.com/album/14xK4FTz2jDiWE8vL1rZaK?si=L7QQg22mT1KGJ2H6vj5RJg
スモーキー・ロビンスンに説明など不要。今年リリースされたばかりの新作アルバム『Gasms』(2023)がなんだかやたらステキで、セクシュアルなものに弱いぼくなんか完璧にイチコロ。あまり積極的に聴いてこなかった音楽家だけど、まったく降参。メロメロです。
もう冒頭から、オーガズムからとったという「ガズムズ」のアダルト・ソウルぶり。このひとも83歳なんだけど、色気がまったく枯れていない現役ぶり。それでいて押しつけがましいいやらしさが微塵もなく、さわやかで軽いさっぱりした青春の空気すらただよっているっていう。
耳元でそっと優しくささやくようなフェミニンなヴォーカル・スタイルが、このひとはずっとこうだったけど、2020年代となってはコンテンポラリーなおだやかメロウR&Bに聴こえたりもするのが抜群で、80すぎて時代にフィットしてきたような感じかも。
1曲目だけでなくきわどい性愛がアルバム全体のテーマになっていて、そのために再演もカヴァーもなし、全九曲が今作のための書きおろしオリジナルなんですけど、ブルージーだったりドゥー・ワップふうだったりゴスペル・フィールもあったりなど、どの曲も飛び抜けていい出来なんですね。
バックのサウンドは洗練されたフュージョンというかコンテンポラリーなスムース・ジャズふうのポップさに満たされているのもぼく好み。ソウルだけでなくブルーズとかゴスペルとかのブラック・ミュージック要素もあくまでおだやかに溶け込んでいます。
特に気に入ってくりかえし聴いているのは1「Gasms」、6「Beside You」、8「You Fill Me Up」あたり。これらで聴けるもうたまらん極上のフェザーなシルク・タッチでそっとこちらの内側に触れてくるスモーキーの音楽は、まるでスロー・セックスのおもむき。静かに、しかし深く熱い熟なフィールをたたえています。
(written 2023.5.28)
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