どうか年老いた自分を助けてくれ〜っ!〜 ビリー・デイヴィス Jr.の「ヘルプ!」
(3 min read)
Marilyn McCoo & Billy Davis Jr. / Blackbird: Lennon-McCartney Icons
https://open.spotify.com/album/3yWA8N5YKVQqhQQTPpQiLl?si=FRO0hvymTpONOFiY8zztzQ
毎日FacebookのMemoriesをチェックするのがお気に入りの日課ですが、それでマリリン・マックーとビリー・デイヴィス Jr.のビートルズ曲集『Blackbird: Lennon-McCartney Icons』(2021)のことを思い出し(数年前の同日に記事を書いていた)再聴。
念のため付記しておくと、この夫婦歌手は元フィフス・ディメンションのメンバーで(1966〜75年ごろ)、脱退以後ペアで活動を続け、2020年代のいまでも現役だっていう存在。もちろん二人とも高齢ですが、歌声を聴くかぎりぜんぜんパワフルですよね。
そのときFacebookのMemoriesを見ていたのは、中澤卓也の大阪コンサートに参加するためJRで同地に向かっていた最中。まず松山 → 岡山間が特急しおかぜ一本でノン・ストップなんですが、車窓の風景をながめながら『Blackbird: Lennon-McCartney Icons』を流していて8曲目の「ヘルプ!」でハッとして目と手が止まりました。
ってかそもそもこのアルバムのことを二年前に書いたときも「ヘルプ!」がとてもいいぞと言ったわけですが、あのときより還暦越えになったいまのほうが歌の意味をいっそう強く心底感じることができるようになったと思います。そして歌詞の意味とアレンジ、サウンドがまさに一体化しています、このビリー・デイヴィス Jr. ヴァージョンは。
歌手自身も老齢者となり、「いまよりずっと若かったころはだれのどんな助けもぜんぜんいらなかったけど、いまやそんな日々は去り自分に自信もなくなり、思うようにならなくなった、考えを変えなくちゃ、だれかどうか自分のことを助けてくれ、だれかの助けが絶対に必要だ、それがなかったらもう生きていけないよ」というこの歌を、身をもって沁みるように歌っています。
スロー・ゴスペル・バラード調にアレンジしているバンドのサウンドと合唱隊もいいし、切々と訴えかけるようにマジの思いを込めて歌うビリー・デイヴィス Jr. のヴォーカルはホンモノの切迫感に満ちています。それを感じることができるはず。
聴き手のぼくも、もはや若くない、どころか老齢者の入り口に立つようになって、この歌の意味をまざまざと心の底から痛感するようになりました。こういった歌を相棒というか心の支えにして、結局だれも助けてくれないと思うけどぼくのばあいは、でも音楽に杖に残りの人生を送っていきます。
このビリー・デイヴィス Jr. の「ヘルプ!」はそんなかけがえのない拠り所になる歌なんじゃないでしょうか。
(written 2023.6.2)
« うねうね「ウン・ポコ・ロコ」をビッグ・バンドで 〜 ショーティ・ロジャーズ | トップページ | コンテンポラリーR&Bもたまにちょっと 〜 ジョイス・ライス »
「自分語り」カテゴリの記事
- ASD(=ぼく)が苦手に感じる人たち(2023.11.16)
- 公営住宅へのアクセスをもっと容易にしてほしい(2023.08.31)
- 現在の体調(8/5土午後2〜3時以後)(2023.08.07)
- 心底くだらないとASDが思ってしまう日本の文化(2023.07.25)
- 偏食と好き嫌いは違う(2023.06.27)
« うねうね「ウン・ポコ・ロコ」をビッグ・バンドで 〜 ショーティ・ロジャーズ | トップページ | コンテンポラリーR&Bもたまにちょっと 〜 ジョイス・ライス »
コメント