ボディ・ミュージック 〜 グレッチェン・パーラト&リオーネル・ルエケ
(2 min read)
Gretchen Parlato, Lionel Loueke / Lean In
https://open.spotify.com/album/1spz41w8bNYC5yq5t5zzXn?si=IOa73oxjQGKU7tmRFo_ENQ
グレッチェン・パーラトとリオーネル・ルエケの全面共演作『Lean In』(2023)が、やはりそこそこ話題になっていますよね。ぼくもわりとすぐ飛びついて聴いて、すぐれた内容と感じました。盟友関係は2005年のグレッチェンのデビュー作からずっと続いていたようです。
クライマックスや、エリス・レジーナが歌った曲、セルフ・カヴァー、フー・ファイターズのナンバーといった多様なカヴァーと、今回のための二名のオリジナル曲をおりまぜて、ジャズやブラジル音楽、さらに西アフリカ要素などを自在に交差させる手腕はやはりコンテンポラリー。
ヴォーカルもギターもラインを描くというよりパーカッシヴに点を打ちつけるようなサウンドで、両名ともが担当している打楽器のその延長線上に声やギターを乗せている感じがします。歌う弾くというより点描的なつぶやきを放ち交差させたような音づくり。
曲によりバーニス・トラヴィスやマーク・ジュリアナなどが多少サポートに入っていますが、アルバム全体はあくまで二人だけで組み上げた音楽との印象が強く、たがいの信頼感が音にしっかり表れています。ていねいに構築されたようでありながら、実はインプロ一発で録音したかのようなスポンティニアスさも。
それはどこまでも身体性にもとづいた音楽であるからこそのナマナマしさともいえ、きわめてインティミットでありながら同時にひんやりしたクールネルやさわやかさもただようあたり、すばらしい作品にしあがったなと実感します。
(written 2023.6.11)
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