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2023年8月

2023/08/31

公営住宅へのアクセスをもっと容易にしてほしい

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(4 min read)

 

いま住んでいるのは愛媛県営の森松団地なんですが、お風呂、トイレ、DK、6畳+4.5畳+4.5畳で毎月の家賃はたったの11,700円くらい。非課税世帯ならさらに減額され7,800円です。1972年竣工のかなり古い住宅で、もちろん現在の耐震基準は満たさず、あちこちボロボロになっていますけど、それでもこの値段ならね。

 

こうした公営住宅はもちろん低収入・無収入で住宅問題に苦しむひとたちを対象としていて、なので入居申請にあたっては厳しい収入状況審査(年収が一定額を超えていないこと)がもちろんあります。そのほか条件がなかなかキツくて、たとえば単身者なら60歳を超えているか障害者であるということが愛媛では必須。

 

ぼくは申請時59歳でしたのでその点では不可だったんですが、精神障害者手帳2級を持っていますので。もとより収入は乏しいし、ってなわけでわりかしすんなり通りましたが、申請のプロセスはなかなかめんどくさくハードルの高いものでした。公営だからやむをえないとはいえ。

 

そもそもたとえば森松団地が地元だし格安だから入居したいなと思っても、まず最初どこに連絡をつけたらいいかもわかりません。どこにも書いていないんですから。ぼくはネットで検索しまくって、入居申請の手続き管理をやっている会社とその連絡先を見つけることができましたが、これ、インターネットをやらない人間はどうすんの?

 

1972年完成当時はまっさらな文化住宅だったでしょうから入居希望者殺到だったかもですが、いまやねえ。ネットが普及してからまだ20年程度しか経っていませんが、それ以前はどうやっていたんでしょうか。いまの時代に入居を希望するひとは、どこを最初のとっかかりとするのか。

 

管理会社を見つけて連絡してのちも、実にさまざまな書類上の手続きがあって、くりかえしますがそりゃ公営ですからね堅苦しくめんどくさいのはやむをえないとは思いますが、それにしても生活困難者が入居対象となる住宅なのに、ちょっとあんまりじゃないだろうかと感じる場面もありました。

 

建物や部屋の構造などに不満は数々あれど、それは言ってもしかたのないことです。でも申請開始 → 手続きの積み重ね → 認可 → 入居開始となるまでの約四ヶ月間(そう、四ヶ月もかかったんですよ!)に困難なプロセスが多すぎだと感じました。

 

しかも!入居開始までにお金がけっこうかかっちゃうんですよね。貧乏人しか住めない公営住宅なのに!たとえば役所でこれこれの書類をもらってこいっていうそのためにお金が必要ですし(しかもなんども)、入居時は部屋の天井の照明も窓のカーテンレールもバスタブもなにかもいっさい付いていないスッピン状態で、イチから自分のお金でやらなくちゃなのかと思うとちょっとあれでしたよ。

 

インターネットをやっておらず書類上の諸手続きも不得手なお年寄りも多く住んでいますが、ってか入居者の九割は年金受給者世代ですが、どういうことなんでしょうかねえ。

 

入居して一年も経てば環境にも慣れて、住めば都とのことばどおり快適で楽しくて、それにそもそもぼくのいる棟は団地の大きな公園にじかに面しているのでおいしい空気や緑や花や小鳥や蝶などに囲まれた生活。まるで極楽のよう。ここに住んでよかったと心から思う次第であります。ボロいから安いし。

 

入居申請の手続きはあまりにも煩雑で時間がかかりましたたけどね。まず最初のアクセスだけでも、もうちょっと簡素にしたほうがいいと思います。

 

(written 2023.5.10)

2023/08/30

しんどいとき助けになる音楽(11)〜 ボブ・ディラン(2)『ナッシュヴィル・スカイライン』

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Bob Dylan / Nashville Skyline

https://open.spotify.com/album/5WBx64FIN04CvM2T1MGrUN?si=g2dxJxMDSzefwJJ4zzsMow

 

これもあわせて聴きなおしたから、ついでに書いておこうかな同じボブ・ディランの『ナッシュヴィル・スカイライン』(1969)。やはりカントリー・ミュージックの世界で、アクースティックで丸くおだやか。

 

で、どういうのがしんどい現在に聴ける音楽なのか?っていうぼくなりの基準としては「肌あたり」なんですよね。サウンド、声質、楽器の音色などがやわらかくて刺激的でないかどうかっていうところを聴いているわけです。

 

その点『ナッシュヴィル・スカイライン』は完璧。いつもと違うツルツル声で歌うディランもいい感じだし(なぜこのときだけこんな声?)、辛辣でない甘くてチャーミングなラヴ・ソング中心なのもいい。ジョニー・キャッシュとのデュオもハマっているし、2曲目のインスト・ナンバーもさっぱりしていて具合いい。ラストの「今夜は君といっしょにいるよ」なんて最高じゃないですか。

 

こんな路線ばっかりじゃ人気も評価も得られなかったミュージシャンだったことははっきりしていますけど、『Bringing It All Back Home』(65)『Highway 61 Revisited』(65)『Blonde On Blonde』(66)あたりがかつて大好きだったぼくも、近年はおだやかやなフィーリングのものへと到着するようになりました。

 

つまりそれはぼくのほうの老齢と衰弱が原因なんですけど、特に厳しい体調で苦しむ現在でもこうして楽しめる音楽を残しておいてくれたことに感謝するしかありません。

 

(written 2023.8.19)

2023/08/29

しんどいとき助けになる音楽(10)〜 ボブ・ディラン

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Bob Dylan / John Wesley Harding

https://open.spotify.com/album/2KzCDxKpgLqBffHu1IZ7Kn?si=QQo52rw5S2eHOiDyjwI2AA

 

ボブ・ディランの作品のなかにも、体調が悪くしんどいときに聴けるアルバムがあります。アクースティック・サウンドを中心に淡々と世界をつづったような『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(1967)とか『ナッシュヴィル・スカイライン』(69)とか。

 

つまりはカントリー・ミュージックを土台にしたアクースティック・サウンド中心で、おだやかなのがいいってことです。伴奏もここでは基本的にベースとドラムスだけ。それもきわめて控えめなシンプルさに徹していて、全体がマイルドなフィーリングにつつまれているのが、いまのしんどいぼく向きですよ。

 

ディランの歌いかたもですね、もちろんこのひとはけばけばしいエレキ・バンド伴奏をつけているときでもあまり変わらないんですが、淡々と朴訥につづっていて劇的な発声をしていないのがいいわけです。自身のアクースティック・ギターのカッティングなんかもなかなか聴けるし、そのビートが心地いい。

 

おだやかな世界観に支配されている、そういうサウンドに聴こえるから好きなんですけど、曲もですね、この音楽家にありがちな辛辣な社会風刺なんてものがなく、なかにはチャーミングなラヴ・ソングまであるっていうのが好ましいと思うんですよね。

 

そのラスト「I’ll Be Your Baby Tonight」は、次作『ナッシュヴィル・スカイライン』末尾の「Tonight I’ll Be Staying Here with You」と呼応しているもので、スウィート。ディランにしてはメロウさすらただよっているもので、ぼくは大好き。多くの黒人歌手にカヴァーされているのでも魅力がわかります。

 

(written 2023.8.17)

2023/08/28

しんどいとき助けになる音楽(9)〜 トミー・フラナガン

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Tommy Flanagan / Solo Piano

https://open.spotify.com/album/5SNof6oUTrG6W0xWBg0iyc?si=hM_C21LKSuCfWw62q5csWA

 

いま続けているこのシリーズはどれも過去に記事にしたものを再見しているわけですが、トミー・フラナガンの『ソロ・ピアノ』(2021)もそう。タイトルどおり独奏で、録音は1974年にチューリッヒで行われています。ちょうどエラ・フィッツジェラルドの伴奏者だった時期なので、楽旅で訪れていたのでしょう。

 

ことに3「Isn’t It Romantic」以後のスタンダード・バラード・セクションに入ってからがぼくは好きで、決してハードでないどこまでも静かでおだやかでリリカルなタッチがいいですよね。メロディの美しさを活かすように淡々と弾いていて。

 

4「Sleepin’ Bee」もきれいだしチャーミング、バラードじゃないけど6「Stompin’ at the Savoy」だって楽しい。そして7トラック目の「ストレイホーン・メドリー」がこれまたみごと。もはや絶品といいたいくらいの鍵盤タッチで文句なしです。フラナガンはビリー・ストレイホーンがまえから好きみたいですよね。

 

個人的白眉は10「Ruby My Dear」。「クレパスキュール・ウィズ・ネリー」「リフレクションズ」あたりにしてもそうだけど、セロニアス・モンクの書くこうしたきれいでかわいいバラードが心底大好物なんですよ。それをフラナガンは曲メロのチャームを最大限に活かすように腐心してていねいに弾いていて、これ以上の美しさはないと言いたいくらいです。

 

(written 2023.8.20)

2023/08/27

しんどいとき助けになる音楽(8)〜 アントニオ・ザンブージョ

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Antonio Zambujo / Voz E Violão

https://open.spotify.com/album/0MLMjoAgCLerOLw3nxPe9M?si=JTBg6Xd8RDOzhEghdJa1Og

 

ポルトガルのアントニオ・ザンブージョ最新作『Voz E Violão』(2021)はタイトルどおり自分一人でのギター弾き語りで、マジでそれだけ、なにも足さず。究極のシンプルさなんですが、もともとファド歌手なのかどうなのかあっさり薄味のつぶやきヴォーカリストなので、声とギターだけっていうのがいい感じにはまっていますよね。

 

いまのぼくのひどい体調だと(第四腰椎を圧迫骨折し、それが変形して神経を圧迫し強い痛みが生じていると判明)こういうやわらかくやさしい音楽こそ癒しというか救いです。強いヴォーカルはいまちょっとしんどい状態なので。サウンド的にもみずから弾くアクースティック・ギター一台だけっていうシンプルさがですね、好ましく思えます。

 

特にフランク・ドミンゲスのフィーリンをとりあげた8「Tu Me Acostumbtaste」なんか、フィーリンなんてまずファドの対極にあるようなソフトな音楽なので、アントニオがどういう音楽家か?をよく物語っているといえるんじゃないでしょうか。ぼくはかなり好きですよ、こういう軽い音楽が。

 

ファド・ナンバーの9曲目は、ぼくにもどうもちょっとイマイチですけどね。でもこの歌手はファドのひとじゃないんだと思いますから。そのへんの評価軸をそろそろ変更しないと。

 

(written 2023.8.16)

2023/08/24

いまだ健在、往時のままのメンフィス・ソウル 〜 ウィリアム・ベル

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William Bell / One Day Closer to Home

https://open.spotify.com/album/6vp9IOGFvvsc6zAZGDyEwe?si=H9WS3Hq7RASO6l3ojr2Zng

 

bunboniさんのブログで知りました。

https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-05-16

 

オープニングの「I Still Go to Parties」には、まだまだ現役でやっているよっていう、つまり曲題からしてですね、そうしたベテラン・ソウル歌手ウィリアム・ベルの気概みたいなものが全編ににじみ出ている新作『One Day Closer to Home』(2023)がとってもいい。

 

「I Still Go to Parties」はどっちかというとファンク・チューンですが、アルバム全編ではまごうかたなき正統派メンフィス・ソウルが展開されていて、60/70年代の雰囲気。でもこれ、この歌手はずっとこういう音楽をやってきたのが83歳でもそのまま衰えず健在だっていうことなんですからね。

 

最近の新人じゃないんだし、いまどき流行のレトロ・ソウルとかではありません。個人的にはべつにレトロにネガティヴな感情など持っていないどころか大好きですが、ウィリアム・ベルの本作は味わいが違いますよね。

 

年輪を重ねていっそうヴォーカルに深みとコクと芳醇さを増しているし、しかもきわめて自然体でスムース。自分のなかにある歌がそのままストレートに表出されているのがわかって、それがここまで円熟したまろやかさをみせているのはすばらしいことです。

 

人力楽器演奏だけですべてを組み立てた伴奏陣といい、2023年でもこうしたアメリカン・ブラック・ミュージックは健在なんである、やろうと思えばやれるんであるという迫力をまざまざと示しているようで、さすがはベテランならではの境地だよなあと感心します。

 

(written 2023.5.27)

2023/08/23

しんどいとき助けになる音楽(7)〜 ケオラ・ビーマーのハワイアン・スラック・キー・ギター

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Keola Beamer / Mauna Kea - White Mountain Journal

https://open.spotify.com/album/1sB7C55SKRkXJLy77kysfI?si=g_ttKS63QY6AfLJIZooe9g

 

やわらかくやさしいというだけでなく、真夏向きの清涼音楽でもあるということで(といっても晩夏にさしかかっていますが)、ハワイのスラック・キー・ギターリストであるケオラ・ビーマーの『Mauna Kea - White Mountain Journal』(1997)のことをちょっと思い出していました。bunboniさんに教えていただいたもの。こういうところはいつも感謝しています。

 

美しいメロディ・ラインをギター一本でどれだけきれいに、響きよく、淡々と、なおかつしっかり確かにつづっていくかというお手本のような音楽で、まさしくアクースティック・ギター・インスト・ミュージックの模範演奏。

 

一部多重録音も聴かれますが、ほぼ全編がケオラのギター一本のみで演奏されていて、おだやかで静かな海を連想させるようなさざなみのような音楽。こうしたものこそいまのぼくの嗜好にはピッタリ合うんで、ちょうどいいヒーリング・ミュージックっていうか快適で、部屋で流しながらゆっくりくつろぐ時間は至福の安らぎだと思えます。

 

このゆっくりした時間がいつまでも続けばいいのにと感じるような、そんな心地よさ。リラックスできて心が安らかにほぐれてくるので、夏の晴天の昼間にも合うし、深夜ベッドにむかう前の入眠準備としてもちょうどいいくつろぎと思います。

 

こういうギターが弾けたらなぁと心芯からあこがれるものですね。

 

(written 2023.8.23)

2023/08/22

しんどいとき助けになる音楽(6)〜 孙露

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孙露 / 十大华语金曲

https://open.spotify.com/album/1BA4eRci9YBJrscX8s2zZ6?si=55mUOf-rTByHrmD7tFwiYw

 

遼寧省生まれの中国人歌手、孙露(すんるー)に出会ったのは2021年秋のこと。17年の『十大华语金曲』を知り、たちまち大好きに。もう一目惚れならぬ一聴惚れだったんですよね。瞬時に骨抜きにされちゃったなあ。

 

ちょうどおだやかで薄味淡白な音楽が大好きだと感じるように自分の嗜好が変化しつつあった時期の、ある種の衝撃ですらあって、愛聴作になった『十大华语金曲』はその後もくりかえし楽しんでいます。

 

中国語圏で古くから親しまれてきたスタンダードを13曲、ドラムス、ベース、ピアノ、ギターといったアクースティックでシンプルな伴奏陣を軸に、管楽器やチェロなどが控えめにいろどりを添える程度のきわめておだやかなオーガニック・サウンドで構成されている上を、孙露がどこまでもたおやかにやわらかく歌っています。

 

基本的にバラードやそれに近いゆったりしたテンポのものばかり。まるで静かに落ち着いて動かない凪の海を見ているような心地で、孙露の他作品も聴いてみれば、そもそもそうした資質の歌手なんだとわかります。中低域を中心に決してエモーションを荒立てることのない淡々としたヴォーカリストです。

 

なんの刺激もないみたいな世界ではありますが、極薄塩味が好みになってきたここ数年のぼくにはたいへん好ましく、ましてやいま心身がひどくつらい状況下ではこうしたおだやかな音楽こそが癒しなんですね。元気でハードでパンチのきいた音楽は傷をえぐられるような気持ちになってしまいますから。

 

すべてを癒す仏陀のような歌い声、それが孙露です。

 

(written 2023.8.15)

2023/08/21

しんどいとき助けになる音楽(5)〜 坂本冬美『ENKA』シリーズ

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坂本冬美 / ベリー・ベスト of ENKA シリーズ

https://open.spotify.com/playlist/4tvuIY52iw4zcVt8eumg7m?si=43704556bfae45bc

 

きのう8/20はほんとうにしんどくて、足尻腰の痛みがあまりにもひどすぎて、これ自分だいじょうぶなのか?と、きょうが61年の人生でいちばんつらい日だよなあと、マジで心配というか強い不安におちいるほどでしたが、これホンマどないなるのでしょうね。

 

さて

 

従来的な古典演歌スタンダードばかりとりあげて、そうした曲々が本来持っていた濃厚で劇的な表現スタイルは消し、現代のあっさりさっぱり感に満ちた薄味フィーリングに仕立て上げた坂本冬美の『ENKA』シリーズ三作(2016、17、18)に、心底ベタ惚れ。

 

こういうのこそ新世代演歌だと、正統派ベテラン歌手がそれを達成したと言いたいみごとな結実をみせているんですが、最大のキー・パースンは冬美というよりシリーズのメイン・アレンジャーをつとめサウンド・メイクをした坂本昌之です。坂本は徳永英明の『VOCALIST』シリーズ(2005〜15)で評価を確立したので、演歌もやってみないか?と起用されたのでしょう。

 

イントロを聴いてもなんの曲がはじまったのかわからないアレンジで、きわめて新鮮。「大阪しぐれ」が「越冬つばめ」が「雨の慕情」が「おもいで酒」が「圭子の夢は夜ひらく」が「港町ブルース」が、こんなふうに(キューバのフィーリンみたいな)軽くてやわらかいふわっとした歌になるんだ!というオドロキにあふれていますよね。

 

坂本アレンジの特徴をちょっと列挙してみましょう。

 

・ひたすらおだやか
・淡く薄味
・シルクのような肌心地
・細かな部分まで神経の行きとどいたデリカシー
・必然最小数の音だけ、ムダのない痩身サウンド

・アクースティック生演奏のオーガニック・サウンド
・自身の弾くピアノが軸
・リズム・セクション中心で、管弦は控えめ

・リズム楽器(ドラムス、ベース、ギター、鍵盤)をセットでかたまりとして動かす

・ブレイクやストップ・タイムなどの使いかたが、控えめだけど効果的

・(特にギターが)ショート・リフを反復する
・ラテン・シンコペイションを軽く効かせ
・フルート・アンサンブルの多用
・その他木管を使い、ブラスはほぼなし
・エレベとコントラバスを適宜使い分け

・原田知世をプロデュースするときの伊藤ゴローとの類似性

 

こういったあたりがぼくの気がつくポイントですが、徹底的に「脱演歌」のサウンド・メイクがほどこされていて、旧来的な演歌の世界にイマイチなじめない洋楽ファン層にもアピールできうる世界を実現できているんじゃないでしょうか。

 

冬美のヴォーカルも、こうしたサウンドにあわせるように濃厚なコブシ系の歌いまわしをやめ、あっさりしたストレート発声にしているのが、聴いているとよくわかります。もともとこういう歌手ではありませんでしたが、本シリーズではひょっとしたら坂本からヴォーカル・アドバイスまであったのかもしれませんね。

 

シリーズはじっさい高く評価され、メディアでもちょっとは注目され記事になったりもしていました当時。冬美のこんな方向性は一過性のものだったかもしれないんですが、いはゆる第七世代の若手新演歌が台頭しつつある現況にベテランなりの回答を出したものだったと言えるはずです。

 

むろん演歌界のメインストリームは変わるはずもなく、従来型のスタイルを2023年でもそのまま維持してはいますが、工夫次第で従来演歌ナンバーでもこういう世界を構築できるんだと示した先例として著しく高く評価したいとぼくは考えています。

 

(written 2023.8.21)

2023/08/20

学校の宿題はやらなくていい(再掲)

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学校の夏休みも終盤ということで、そうじゃなくても一年中ずっと言えることなんでいつ読んでいただいてもいいですが、学校で教師が生徒に課す宿題なんて、やってもやらなくてもどっちでもいいんですよ。ストレスに感じるならやらないでほしい。

 

現実問題、宿題をやっていかなくたって不利益はなにも起きません。違法じゃないし、倫理的に問題でもなく、逮捕されないし、「ほんとうに」なんにも起こらない。ただちょっと教師に「なんでおまえはやらんのか」とかブツクサ言われるだけ。成績が低下するか?というと実はそれもないので、要するになにもない。

 

それだったらイヤなものを無理してやることないんですよ。このことを、長年現場の学校教師だったぼくは声を大にして言いたい。宿題やらないのは悪いことじゃない。

 

むしろムリヤリの宿題は生徒の心身をしばる負担になるだけで、だからつまり教育的効果なんてありません。このことを学校教師自身もこども時分に身をもって痛感していたはずなのに、自分が教師の立場になった途端に命令権でも得たかのようにふるまうのはおかしいでしょうよ。

 

そう、教師なんて権力じゃないし、生徒にあれこれやらせる強制力なんてちっともないのです。親にだってないんですから、ましてや他人をや。

 

宿題をやらず教師に小言をもらっても、そんなもん「はい、すみません」と頭上を通り抜けていくように右から左へと流しておけばそれでいい。性格の悪い教師だと職員室などで長時間拘束し(そんな権利も本来ないわけですが)いつまでもごちゃごちゃ言うかもしれませんが、生徒側に非はありません。

 

そもそも学びは楽しくなくちゃ、やりたいと思ってすすんでやるんじゃなくちゃ、効果ないです。ムリヤリの強制はなにごとも逆効果。そして、生徒・学生時代はなぜ学んだほうがいいのか、どういういいことがあるか、なかなか納得理解できないもの。

 

もちろん勉強するという営為じたいが楽しくて快感でやめられないという人間(が実はそこそこいて、学者になったりする)はほっといてもやるんですが、生徒・学生のマジョリティはそうじゃないですからね。遊べるもんなら遊びたいと思っているでしょう。

 

それでいいとぼくは思うんです。好きなこと、やりたいことをやればいい。それが野球だったらそれでOKだし、野球ばっかりやった結果イチローや大谷翔平みたいになれるかもしれないんですからね。

 

そういえば思い出しました。イチローは小学生のころ、だれにもやれと言われていないのに自分がやりたくて、すすんで毎日八時間ものバッティング練習を欠かさなかったそうです。好きでやり放題やった結果があの米メイジャー・リーグの歴史にも名を残すほどの存在だというわけです。

 

学校の宿題というか勉強、学習もそんなふうじゃなくちゃ。学習者みずから課題を見つけ、なにがわからないのか、そもそもそれがわかるようにするためにはなにを使ってどこをどう調べればいいか、という根本からすすんで自分で興味をもって見つけていくようにする環境づくり、背中を押すことこそ、教師の仕事です。

 

それなのに、この問題集のここからここまで解いてこい!みたいな押し付けじゃ、やりたい気は起きませんし、取り組まなくちゃと思うだけでそもそも苦痛で、であるがゆえに学力向上には結びつきえません。これが「宿題」というものの実態でしょう。

 

このまま変革できないなら即刻学校から宿題を廃絶追放したほうがいい。

 

それができないから(上司から言われたり文科省の指導があったりで)、生徒のほうからすすんで放棄すればいいと言っているんです。やりたい生徒だけやったらいいんで、全員一律の同一課題強制は軍隊的で無意味かつ理不尽。放棄しても困ることはなにもないし、自分が読みたい本を楽しくどんどん読んだりしたほうがずっと滋養になります。

 

小学校から高校まで(大学と大学院では宿題出なかった)、学期中でも長期休暇でも、いっさいの宿題をまったくやらずにすごし教師の小言を無視してきて、それでみずから宿題を出さない教師になったぼくの痛切な実感です。

 

(written 2022.7.24)

2023/08/17

iPadでけっこう書いている

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最近はブログ用の文章もモバイル・ディバイス、特にiPadである程度書いています。といってもまだまだMac中心ではありますが、iPhoneやiPadなどちょこちょこ使うようになっているんですね。

 

サブスク中心の音楽生活になってしばらく経って以降の変化で、特にiPadをよく使うようになりました。最大の理由は「これについて書こう!」と決めたアルバムをしっかり聴き込む作業では、Spotifyのデスクトップ・アプリをフル・スクリーン表示にしてトラックリストを凝視したままだからです。

 

だからそのあいだはパソコンのほかのアプリ触れないんですよね。触れないってことはないけど気が散るから避けたい。ただひたすらトラックリストをにらんで聴こえてくる音楽だけに集中したいんで。でもそのあいだ思いついたことをちょこちょこメモするのに別の機器が手元に必要なので、iPadを使うようになりました。

 

iPhoneでもじゅうぶんいけるんですけど、ソフトウェア・キーボードのキーの大きさの問題でタブレットのほうがタイピングは容易なんです。文章執筆などには向かないという見かたの多いこうしたモバイル・ディバイスではありますが、そこは慣れです。

 

ぼくもまだまだパソコンの物理キーボードがずっとずっと使いやすいですが、数年の慣れによってタブレットの仮想キーボードもほぼ近い感覚で使いこなせるようになりました。音楽記事執筆だけでなく日常からさまざまな用途に頻用しているからこその慣れですけどね。フリック入力ではなく(パソコンと同じ)QWERTY配列のローマ字ソフトウェア・キーボードをやはり使っています。

 

最初はショート・フレーズを単発的にパラパラっとメモる程度だったのが、だんだんセンテンスやパラグラフ単位でメモするようになり、っていうか最初からそういうかたまりであたまに浮かぶように最近はなっているので、それを連続しているうち気がついたら完成品の約半分から1/3程度はiPadでのメモ段階で執筆終了してしまっていることもあります。

 

それをそのままMacに移し、というかぼくの使っているテキスト・アプリBearは複数端末に同じものがあってiCloudで中身を自動シンクロしてくれるので、続きをシームレスにMacで書いて仕上げるといった具合です。

 

そう、Bearというテキスト・アプリはほんとうに便利で、Apple製機器で動作するもののうちではベストだろうと信じています。なによりいいのはMac、iPad、iPhoneと三つにそれぞれ同じBearアプリが用意されていて、年額¥1,500のサブスクで三つ間でのテキスト内容自動シンクロが実現するところ。

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これがあるからこそ、あっちで書いたりこっちでその続きを作業したりが可能なんですからね。テキスト画面も美麗でひたすら心地いいし、これ以上のテキスト・アプリはApple機器の世界に存在しないと断言したいくらいです。

 

そんなわけで、たとえば外出先のカフェやレストランで音楽聴きながら思いついたことはささっとiPhoneで書いておくし、そのメモが自宅ではそのままMacとiPadにあるし、部分的に二種のモバイル端末でちょこちょこやりながらiPadでかなりな部分書いちゃうっていうのが最近のぼくの執筆生活です。音楽と文章はどこにでも持ち運ぶというそんなスタイル。

 

(written 2023.7.31)

2023/08/16

しんどいとき助けになる音楽(4)〜 ニック・ケイヴ「レット・イット・ビー」を溺愛している

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Nick Cave / Let It Be

https://music.apple.com/jp/album/let-it-be/305849478?i=305849698&l=en-US

 

映画『アイ・アム・サム』のサウンドトラック・アルバム(2002)末尾に入っているニック・ケイヴの「レット・イット・ビー」がたまらなく大好き。ビートルズ・ナンバーをとりあげたアルバム全体はともかく、ラストのこれだけ溺愛しています。

 

映画のことも忘れちゃったし、ニック・ケイヴという音楽家のこともべつにそんなねえ。でもこの「レット・イット・ビー」はこの曲の最高の解釈になったんじゃないか、ぼくの聴いたなかではビートルズやポール・マッカートニーも入れてのベスト・ヴァージョン in the wroldだと言いたいぐらい。

 

ニックはメロディの起伏を極力なくし、平坦に歌っています。もともとアリーサ・フランクリンのために書かれたというゴスペル風味も消し、ただひたすら黄昏の諦観を淡々とつづることに専念していて、それは伴奏サウンドのかなりあっさりしたシンプルさについてもいえることです。

 

そうすることで、この曲の歌詞の意味をいっそう深くえぐりだし、人間性の究極の闇をくっきりと描き出しているんですよね。この曲はこう歌うのがいい、曲の意味を表現するにはこんなのがふさわしいという、ベストなレンディションになったと確信するゆえんです。

 

(written 2023.8.14)

2023/08/15

しんどいとき助けになる音楽(3)〜 伊藤ゴロー produces 原田知世

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(2 min read)

 

Very Best of 伊藤ゴロー produces 原田知世

https://open.spotify.com/playlist/7iKHw0LRDI7GJYV28rbT2x?si=d1f11e1255ea41e0

 

昨2022年は伊藤ゴロー・サウンドの原田知世ばかり聴いていたんですが、あまりにも聴きすぎた反動ということか今23年に入ったらさほどクリックしなくなりました。でもこうしてピンチのときに思い出すっていうのは、やっぱり大切に思っている証拠ですよね。

 

昨年もういいよというほどくりかえし聴いたのはSpotify自作プレイリスト『ベスト of 伊藤ゴロー produces 原田知世』で、ライクもそこそこついています。これが一時間半あって、気が向いたときちゃちゃっと聴きかえすにはやや長いということで、自分でもそう感じるようになり、そこから厳選した『Very Best of 伊藤ゴロー produces 原田知世』をつくっておいたのがいちばん上のリンクです。

 

こっちのほうは10曲43分、レコードでも一枚におさまるサイズで聴きやすいと思います。ゴローのボサ・ノーヴァ・インフルーエンストなやわらかいテイストのオーガニック・サウンドを軸に、もともと薄味淡白でノー技巧の歌手だった知世の個性がこれ以上なくぴったりハマり輝いているのをお聴きとりいただけるはず。

 

バンドやストリングス、ホーンズなど派手でにぎやかな伴奏をしたがえてゴージャスにやっている曲も二つあって(「September」「小麦色のマーメイド」)それも大きな癒しだし、多くがもっとシンプルなサウンド、ばあいによってはギター一台だけとかピアノ一台だけとかで、さらりとアクースティックに軽くこなしているものです。

 

そういうときにこそ原田知世というヴォーカリストが最も活きるとぼくは思うんですよね。さらりあっさりしたフィーリングには涼感もあって、いまこの真夏の猛暑で聴くには最適。心身が弱ってめげかけのときにちょうどいい癒しになります。

 

(written 2023.8.13)

2023/08/14

しんどいとき助けになる音楽(2)〜おだやかなマイルズ

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Miles Davis / おだやかなマイルズ

https://open.spotify.com/playlist/2BWUgMI8yL2mfnNNeGeCVg?si=d6dfb139911b416d

 

ハーマン・ミュートをつけて、玉に露とばかりきれいに吹く主にバラード系のときのていねいなマイルズ・デイヴィスが心から好き。でもそういうのってこの音楽家の生涯をふりかえってみると1950年代後半だけで、それ以前にもそれ以後にもありません。

 

バラディアーとして完成したのが1955年付近ですからそれ以前にないのはとうぜんとして、60年代に入ってからはきれいなバラードをあまりやらなくなりました。特にハービー・ハンコックらをメンバーにしてからはチャーミングなスタンダードなどスタジオでは皆無。ミュートも前ほどつけなくなったし。

 

復帰後の80年代はハーマン・ミューティッド・バラードが復活したとはいえ、今度はトランペッターとしての衰えをみせるようになり、それでもときたまビックリするような極上の輝きを聴かせることもありはしましたが例外的、全体的にはやっぱり往時におよばず。

 

てなわけで、マイルズの1950年代後半、だけでなくそのちょっと前とちょっと後もふくみ(1954〜63)、ミュートをつけたきれいなきれいなバラード吹奏だけを集めてセレクション・プレイリストにしておきましたのがいちばん上のリンク。

 

最初の二曲はハーマンじゃなくてカップ・ミュートなんですが、ファースト・レギュラー・クインテット結成後のおなじみの世界がすでにあります。そんで、こういうときのマイルズってややフェミニンで、やさしくやわらかく、心身が弱っているときにはちょうどいいなぐさめになりますよね。

 

ガツンとくるようなファンキーでガッツのある音楽は今まずいんで、痛いところがもっと痛くなりそうで。だから極力刺激しないように、こわれそうな自分を支えておくため、音楽だっていまにも割れそうな薄いガラスとか卵の殻とか、そういうひ弱いもののほうが(ぼくは)気分にあいます。

 

まるで病院とかクリニックでやさしくていねいに面倒をみてくれる看護師さんのかけることばや手のような、そんな音楽ですよ、こうしたマイルズって。

 

(written 2023.8.12)

2023/08/13

しんどいとき助けになる音楽(1)〜 ルーマー

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(4 min read)

 

Rumer / B SIdes & Rarities vol.2

https://open.spotify.com/album/0CNhXKYx4kOOZrelgXiGUr?si=UJZvyf8ATJShH0m2pnp1kg

 

腰、というかお尻のほう(&ふくらはぎ)なんですけどかなり痛いのが続き、酷暑とのダブル・パンチで、つらく、強いストレスになっています。おかげでメンタルもダウンしてしまっていてうつ状態ですが、医者以外だれにSOS出そうとも助けてはくれません。でもそんなとき聴ける音楽があります。

 

音楽に救い、癒しを求めようってことで、8月5日以来そういうのをさがしてはどんどん聴くようになっていますから、そんななかからきょうはルーマーのいまのところの最新作『B SIdes & Rarities vol.2』(2022)をざっと手短&雑(にしか今はできない)にふりかえっておきます。いままで書いたことのくりかえしになるはず。

 

おだやかで落ち着いて静かなルーマーのヴォーカルは、まるで上質なシルクのような肌あたりでこっちの気持ちをなぐさめてくれます。UK時代からそうした特質の歌手でしたが、USに来てロブ・シラクバリに出会って以後は、ますますそれに磨きがかかったような印象ですよね。

 

コブシなど強く張った発声などとはちっとも無縁、あまりにもスムースでなめらかでやわらかい声なので、とっかかりがなく、リスナーによっては物足りないと感じてしまうかもなんですが、その音楽は極上。きれいな曲のメロディをこの上なく美しく届けてくれるので、ぼくなんかもう完全にトリコですよ。

 

そう、ルーマーの歌は美しいんですよね。特にロブを音楽面でも私生活でもパートナーとするようになって以後は、人生の充実幸福感が歌の安定に如実に反映されていて、まったくゆるがない黄金のシルクで音楽を表現するようになっています。

 

ルーマーのそんなところがですね、心身が弱っているときにそっとソフトに声をかけ手を当ててくれてヒールするかのように聴こえるんです。去年の『B SIdes & Rarities vol.2』は最新作ですから、安定と充実が増すばかりのルーマーのシルク・ヴォイスがいっそう輝いていて、ここまでやわらかい声できれいに歌える歌手もそうそういないのでは?と思えるくらい。

 

ロブの練り上げたバック・トラックもすばらしく、個人的には自身のピアノ伴奏だけとかそれに近いシンプルさでの淡々とした伴奏で歌手の美声をささえているときが特に大好き。7「Never Arrive」12「The Folks Who Live on the Hill」13「Where’ve You Been?」とか。

 

そしてやっぱり9「How Deep Is Your Love」が最高。ストリングス伴奏が入っているけど控えめでそれ以外はピアノだけ。ビージーズのきれいなきれいなラヴ・ソングを、聴き手をつつみ溶かすように歌うルーマーの声に蕩けてしまいます。

 

ぼくにはこういう音楽がつらいときの救いです。

 

(written 2023.8.11)

2023/08/10

ロビー・ロバートスンの変態ギターを思い出していた 〜 ボブ・ディラン『プラネット・ウェイヴズ』

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(3 min read)

 

Bob Dylan / Planet Waves

https://open.spotify.com/album/3gYbjd76d8T5Ct5WxCxX5R?si=Muma8CNSTGWfR0fKlfqshA

 

サウンド・クリエイター、ソングライターとしてはもちろん、いちギターリストとしても独自な個性で歴史に名を残したロビー・ロバートスン。個人的にことさら強く印象に焼きついているのがボブ・ディラン『プラネット・ウェイヴズ』(1974)でのプレイぶりです。

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ディランとザ・バンドとの全面共演作にして、両者のコラボのなかでは最高傑作、すくなくともいちばん好きだと感じてきたアルバムなんですが、なかでも2曲目「Going, Going, Gone」での変態ギターはかなりのもんじゃないですか。じっさいこれロビーのギターが好きなファンのあいだでは有名なものです。

 

まずディランが静かにアクースティック・ギターで刻みはじめますが、そのイントロ段階でロビーはすでにピッキング・ハーモニクスを駆使して静寂を破ります。それでもってフレーズをつくり歌をむかえ入れるんですから。

 

ワン・フレーズ歌が終わってのオブリガートがまたひどい。ガ〜ンとコードを弾いた刹那、トレモロ・アームでびよょ〜〜んと下降。そしてそのまま次いでやはりピッキング・ハーモニクスでフレーズを奏でます。このアーミング → ハーモニクスの流れは毎回出てくるんですよね。

 

ディランのヴォーカルが終わるとロビーのギター・ソロになって、カクカクとしたいびつなフレイジングをピッキング・ハーモニクスを織りまぜつつ弾いていますよね。そして歌はもう出ずそのまま曲が終わってしまいますから、なんだかこの曲はロビーの変態ぶりを聴くためにあるようなもんです。

 

歌うようにスムースななめらかさリリカルさとは無縁なこんなギター・スタイル、やはり唯一無二のもので、ロビー以外にこんな弾きかたをして音楽をふちどった異形っていたでしょうか。いまでいうアメリカーナを導き出した祖先の一人でもあるし、その意味でも2023年にいくら高く評価されてもされすぎることはありません。

 

R.I.P.

 

(written 2023.8.10)

2023/08/09

キューバのベートーヴェン 〜 ニュー・クール・コレクティヴ、アルマ・カルテット

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(3 min read)

 

New Cool Collective, Alma Quartet / Opus 127

https://open.spotify.com/album/6AgECLoboHcH2LgWwuxc8H?si=Ih96k16PRIWCZvFO299QbA

 

ニュー・クール・コレクティヴは結成20年以上にもなるオランダの雑食系ジャズ集団。その最新作はアムステルダムの弦楽四重奏団アルマ・カルテットと組んだ『Opus 127』(2023)で、名の通りベートーヴェンの作品127、すなわち弦楽四重奏曲12番からアダプトしたもの。

 

原曲は四楽章構成でしたが、そのうち第二〜第四楽章をとりあげてジャズ・アレンジしてあります。なかでも個人的にンモ〜タマラン状態なのが1トラック目の「II アダージョ」。ぜひベートーヴェン・スコアに忠実なクラシック・ヴァージョンと聴き比べていただきたいと思います、サブスクにたくさんありますから。

 

ニュー・クール・コレクティヴのは優雅なキューバン・ボレーロへと仕立てあげているんですね。最高じゃないですか。メロディはストリングスじゃなくサックスやトロンボーン、トランペットなど管が吹いていて、それがボレーロのリズムと相性よすぎると思うくらいの完璧な響き。ほんと〜っにきれい。

 

ドラムス、パーカッションの使いかたも曲と解釈にピッタリはまった最適なもので、随所で入るティンバレスのフィル・インにツボを刺激されて快感です。こんなキューバふうにベートーヴェンが変貌するなんて。目のつけどころ、アダプトと解釈の極上さに舌を巻きます。

 

「II アダージョ」でのアルマ・カルテットはさほど目立たず、バックグラウンドで控えめに対位メロを演奏したり和音でカラーリングをふくらませたりといった役目。それでもジャズ・バンドがハメを外さないようにクラシカルな手綱をしっかり握っているのがわかります。

 

トラック2、3ではこのストリング・カルテットもフロントで活躍。リズム・セクションが当然ついてスウィンギーになってはいますが(2「III スケルツォ」はワルツ、3「IV フィナーレ」はマーチふう)これら2トラックではわりあい従来的な<ジャズ・ミーツ・クラシック>の枠におさまっているかも。

 

ですけどね、1「II アダージョ」のボレーロがあんまりにもエレガントで美しく居心地いいもんで、それさえあればこのEPは聴く値打ちあるよ!と強く断言したいっていう、それほどのできばえですよ、この曲というか楽章は。たった3分54秒しかないなんて。5分は続けてほしかった。

 

(written 2023.7.19)

2023/08/08

台北ナイトのチルなバーで 〜 LINION

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(2 min read)

 

LINION / HIDEOUT

https://open.spotify.com/album/7HEDhuRGJSCRS6oJ50i72L?si=6_WLk-1pT-q3nGigGhnoeA

 

以前一度書いた台湾の音楽家LINION(リニオン)の新作が出ました。『HIDEOUT』(2023)。今回はシティ・ポップ色がやや強めに出ているかなと感じました。

 

でも本質的に前作『Leisurely』(2020)から音楽性は変わっておらず、新世代ジャズ/ネオ・ソウル/シティ・ポップらの境界線を楽々と消してフュージョンさせた都会の洗練を実現していて、たいへんに好み。

 

コンピューター打ち込みでの音づくりをせず、ジャズな生演奏で組み立てているあたり完璧なコンテンポラリーさで、オーガニックなサウンド・テクスチャーがなんとも心地いいですよね。アクースティック楽器も適度におりまぜたこういう演奏音楽こそ好みなんで、トレンドになっているのはうれしいかぎり。

 

1曲目「Listen to Me」冒頭でいきなり(音量大きめの)ア・カペラ・コーラスが出てくるのにはやや驚きましたが、そのイントロ後はおなじみの路線。チルな台北ナイトにぴったりくるような大都会ムード満載で、落ち着いたおだやかで静かな音楽。といってもディープなグルーヴ感は内側にしっかりあって。

 

全体的にシティ・ポップ色が濃厚ななか、女声歌手をむかえての6「Friends Or?」だけは4ビートのジャズ・ナンバー。それでも超洗練された都会派なムードは一貫して変わらず、高層ビルの上層階にあるようなおしゃれなナイト・バーかどこかでくつろいでいるムード満載です。

 

(written 2023.8.1)

 

#blog

2023/08/07

現在の体調(8/5土午後2〜3時以後)

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(3 min read)

 

・気持ちがつらい、しんどい、楽しくない、やる気がない

 

・胃部不快感(痛いというほどではない)

・食欲がまったくない

・食事をつくるのがしんどい、億劫(大の料理好きなのに)

・食べる量がかなり減っている

・熱いものを食べにくい

・味がヘン、または味があまりしない

・ゆっくり30分くらいかければ少量をなんとかぜんぶ食べられる

・おいしくない

・食べ終えたものがなかなか消化されず、長いあいだ胃に停滞している感じ

・食後おなかが妙に張る

・食後の歯磨きとゆすぎで戻しそう

・時間が経てば空腹になってきたというような感覚はある

 

・なにをしても楽しくない、億劫、しんどい、めんどい、やる気がない

・好きな趣味のことでもそう

・ブログ文章が書きにくい、なにも頭に浮かばない、考えられない

・音楽が聴けない耳に入らないというほどではない

 

・お風呂が沸いても入るまでに時間がかかる、ややめんどい億劫な気分

・ゆっくり湯船につかり終わり、出てからだを拭き終えたころに若干気持ちがラクになっている

 

・日曜夕〜夜は胸がなんかちょっと詰まるというか息苦しい感じもあった(お風呂あがりには消えた)

 

・若干寒い

 

・土日の夜はそれまでどおり寝られた。しかしこのままだと…という懸念もある

 

・一週間ほど前からこれが続くとメンタルがヤバいのでは?という予感があった

 

・血圧は平常どおり

 

〜〜

・こうなったのは腰、お尻、膝、ふくらはぎの痛みが続くストレスによるもの

・現在は腰よりもお尻とふくらはぎの痛みが中心

・8/1から一段と悪くなった

・整形外科で痛み止めはもらっているものの、飲んでも痛みがさほど軽減されないことが多い、ある程度は効いているときもある

 

・きっかけは6/17午後4時半ごろ、おとなりのおばあちゃんが玄関で倒れていたのを持ち上げたから

・それで腰をやられた

 

〜〜

きょう8/7月曜日たまたま心療内科の予約通院日だったので相談し、内服薬での対応がなされました。

 

(written 2023.8.7)

2023/08/06

パーセノープの歌う「ドント・ノウ・ワイ」(ノラ・ジョーンズ)がいい

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(2 min read)

 

parthenope / Don’t Know Why

https://open.spotify.com/album/6Z5D4WKSkDUSxBX3xtSOgL?si=qoIXj2fqTGiU5agtiABhxw

 

この歌手名、なんと読むんでしょうparthenope。パーセノープかな、わからないけどきょうはそれでいきます、イングランドはスウィリントン出身で、ラウドLDNのメンバー。

 

そのパーセノープが歌う「ドント・ノウ・ワイ」(ノラ・ジョーンズ)がさわやか軽やかでとってもいい。これ一曲でもう惚れちゃいました。といってもかの『ブルー・ノート・リ:イマジンド II』(2022)に収録されていたものなんです。

 

だからアルバムで聴いたことあったはずなのに、なんだかこのごろSpotfyでこれ一曲のシングルとして出てきて目にとまる機会が増え、なんでしょうね、シングルのヴァイナルがリリースでもされたのかな、とにかく既知のものだけどあらためて聴きなおしたら新鮮でした。

 

ノラのオリジナルとそんな違わないストレート・カヴァーですけどね。そうそう、ノラといえばこないだレイヴェイがはじめて対面したようで、レイヴェイはその写真に “God” のことばを添えてInstagramに投稿していました。なにかのジャズ・フェスみたいな機会で同じステージを分けることがあったみたい。

 

このレイヴェイの感動の様子でもわかるように、ノラは現行レトロ・ジャズ・シーン若手のアイドルなんですね。イングランドのパーセノープがこの波のなかの一人かわかりませんけど、ブルー・ノート・クラシックであることもふくめ、デビュー期のノラを歌うことの意味はよく知っていたはずです。

 

そして(カヴァーでもオリジナルでも)軽くふわっとさわやかなジャズ・ポップスに仕上げるっていうのがレトロ・ムーヴメントの特徴。最新鋭UKジャズ〜R&Bのコンピである『ブルー・ノート・リ:イマジンド』シリーズのなかにもこういうのがあるってことで、いまや決して無視できない流れになったといえるでしょう。レトロと新世代ジャズは表裏一体です。

 

(written 2023.7.9)

2023/08/03

こうした音楽を心の灯にして残りの人生を送っていきたい 〜 カーティス・メイフィールド『ニュー・ワールド・オーダー』

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(4 min read)

 

Curtis Mayfield / New World Order

https://open.spotify.com/album/4M8Zce860gRCdyv1hXOK32?si=CwXoaEREQ6eOgm9xOqAeNw

 

これからはこうした音楽を心の灯にして残りの人生を送っていきたいと心底思えるカーティス・メイフィールドの最終作『ニュー・ワールド・オーダー』(1996)。まえもそんなこと書きましたが、心身がつらくしんどいときに聴きなぐさめられ、いっそう身に沁みるようになりました。

 

それはこれが音楽家人生の終末期に製作されたメランコリアに満ちた作品であるというダークな諦観のトーンに支配されているからだけではなくて、いやそうだからこその人生肯定感、人間への応援歌・讃歌のように聴こえるからでもあります。

 

ジャケットに写るカーティスの顔写真がすべてを物語っているようにも思いますが、死と再生をテーマにした1曲目「New World Order」からアルバム末尾までこのダークなトーンは一貫しています。明るく快活な曲もありますが、それらにしたって深みのある落ち着きが聴かれるでしょう。

 

ソングライターとしても歴史に名を残すカーティス、代表的過去曲のセルフ・カヴァーが二曲ふくまれているのも耳を惹きます。6「We People Who Are Darker Than Blue」、11「The Girl I Find Stays on My Mind」。前者1970年のオリジナルはもちろん黒人差別を扱う曲だったのが、ここでは老齢期ならではのメンタルの暗さのことを歌っているように思えます。

 

そうとらえないとこのレンディションのダーカーでしんみりしたトーンは理解できないと思います。ぼくだってそうだとわかるようになってきたのは還暦を越え心身の衰えに直面するようになってからですもん。ここで歌っているカーティスの心境はいかほどだったか、想像するに余りあります。

 

インプレッションズ時代の「ガール・アイ・ファインド」にしたって、こんど見つけた新しい女の子が気になるけど、いままで全員が去っていったからやっぱりそうかもと思うと踏み出せないっていうこの主人公の心境は、ASDと自覚するようになったコミュニケーション不能症のぼくには心芯からよく理解できます。

 

しかもここのヴァージョンをカーティスがここまで静かに歌うとき、そこにあるのは恋愛関係なんかもう自分の老齢人生に関係ないんだ、もはやどうにもならないというあきらめと落ち着きであり、でもなんかちょっと気になっちゃって…というアンビヴァレンスでしょう。

 

だからこそ、いまのぼくの内面には深く深く沁み込んでくるものがあるんです。これに続くアルバム最終盤の二曲もダークネスが支配していますが、困難な道を歩んできた音楽家にしか表現できない深みがあり、そんな闇に支えられるかたちでの輝き、ライフ・イズ・ビューティフル宣言でもあるのです。

 

(written 2023.7.13)

2023/08/02

酷暑をしのぐ涼感音楽 〜 Tales of Wonder ふたたび

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(5 min read)

 

v.a./ Tales of Wonder: A Jazz Celebration of Stevie

https://open.spotify.com/album/3ooyAWAJArRdEYb1UGO2lS?si=VxX7TyKZSJmqgFGFbBuC6w

 

暑いっすねえ。なんか今年の夏はいままでにない灼熱じゃないですか。19世紀末に近代的な観測がはじまって以後、日本では史上最高の気温だそう。国連によればこれもはや地球温暖化などではなく地球沸騰化の時代に入ったとかで。

 

ぼくら庶民としては電気代のかかりすぎを避けなくちゃいけないですから、ちょっとムードだけでもより効果的に涼しくしたいということで、音楽狂の身でその手の涼感ミュージックをさがすわけですが、ピッタリなのがあります。

 

見つけた三年前の夏にもとりあげて同じようなことを書いたコンピレイション『Tales of Wonder: A Jazz Celebration of Stevie』(2020)がそれ。数日前Facebookメモリーズを見ていて思い出し聴きなおしてみたら、体感温度が2℃下がりました。

https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-5be26a.html

 

あらたな感想はないので再度書かなくてもいいでしょうが、今夏の異常高温にさらされるなかでやっぱりもう一度このアルバムの冷感ムードを再確認してお伝えしておきたいと思うようになりました。新規の読者さんもいらっしゃるようですし。

 

ジャズ・インスト作である『テイルズ・オヴ・ワンダー』がどういうアルバムであるか、個々のミュージシャン名とかについては上にリンクした過去記事をぜひお読みいただきたいと思います(ほとんどクリックされないけどさこの手の)。どうヒンヤリかということに今日はしぼりますが、エレキ・ギターもフェンダー・ローズ・ピアノもヴァイブラフォンも、なんだかブリージー。

 

曲はすべてスティーヴィ・ワンダーのもので、ここでのカヴァーもエレキ楽器と8ビートをもちろん使っていますから、つまりこれはいはゆるフュージョンなんですよね。フュージョンって1970〜80年代からわりかしヒヤっとしたさわやかな肌あたりのある音楽じゃないですか。

 

それは都会的洗練ということなんですけども、ジャズもロックもソウルも暑苦しくやろうと思えばいくらでもできる音楽ながら、融合させたとたんにこんな涼風ただようフィーリングになるっていうのがですね、つまりクロスオーヴァーやフュージョンの特質です。

 

ヴォーカルなしのインストルメンタルであることも、こうした要素に拍車をかけています。といってもここで演奏されている曲、スティーヴィ・オリジナルからして夏向きの冷房音楽みたいな面がちょっとありました。歌を抜くことでいっそうそれが強調されているなと思います。

 

むさ苦しいフィールになりがちなオルガンだって、5曲目「You Haven’t Done Nothin’」で聴けるそれはすーっとしたミント味のような印象がありますし、エレキ・ギターがテンポ・ルバートでイントロを弾きはじめる出だし1「Send One Your Love」からして、そのギター・トーンがすでにさわやか。

 

3「Superwoman」でのフェンダー・ローズなんて、まるでエアコンのしっかり効いた部屋でしかも扇風機の軽い風に当たっているかのようなブリージーな響きで心地よく、軽いジャズ・ボッサへと解釈した続く4「You and I」も曲調からしていい。

 

さらにそこでは(ぼくがクール・サウンドと前から評価する)ヴァイブラフォンの活用が冷感を高めています。同じベン・ギリースがアルバム・ラストの名演「Visions」でもコントラバスとのデュオで弾いていますが、最上の快適さじゃないかと聴こえます。シンプルな二重奏なのがまたグッド。

 

(written 2023.8.2)

2023/08/01

味わい深いサンバ 〜 トイーニョ・メロジア

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(2 min read)

 

Toinho Melodia / Paulibucano

https://open.spotify.com/album/09A1zs4HooSsiUMsCgbf3J?si=qubdRHtbTem876HJUEgynQ

 

Astralさんに教えていただきました。

https://astral-clave.blog.ss-blog.jp/2023-05-07

 

ブラジルのサンビスタ、トイーニョ・メロジア68歳のデビュー・アルバムだったらしい『Paulibucano』(2018)。だれなのかちっともわかりませんが、音を聴けばですね、これに惹かれないサンバ好きもいないのではと思うくらい。ジャケ一瞥で雰囲気はわかります。

 

基本、アルバム全編がオーソドックスなサンバで満たされていますが、ところどころオッと思わせる驚きも。日常やストリートの生活音がサンプリングされて挿入されている部分も複数あって、伝統サンバのアルバムではややめずらしい趣向かも。

 

アコーディオンがブエノス・アイレスを香らせる曲や(3)、あるいはサンバというより完全にバイヨンのリズムになっている曲もあったりします(4)。それでもカヴァキーニョの乾いたカッティング・サウンドはサンバ・スタイル。

 

本人のヴォーカルはもちろん朴訥としていて、しかし枯れているかというとあんがいそうでもなく、若さやみずみずしさを感じさせる面もあるようにぼくには聴こえました。現役感っていうか、そういうのがあってこその音楽でしょう。

 

ラスト13「Vida da Sambista」はナイロン弦ギターの伴奏だけで淡々とつづる曲題どおりサンバ歌手の人生。派手さのない小品ですが、締めくくりにふさわしい味わい深さで、聴き手の胸にも沁み入ります。

 

(written 2023.5.20)

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