しんどいとき助けになる音楽(16)〜 エラ and ルイ
(3 min read)
Ella Fitzgerald, Louis Armstrong / Ella and Louis
https://open.spotify.com/album/3kfnwa4p4uYiTOP8K8ooSE?si=xQmVoSH8RfSoF0X72l2RbA
あれっ、これまだこのブログで書いたことなかったみたいだなあ、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのデュオ・ヴォーカル・アルバム『エラ・アンド・ルイ』(1956)。といっても「耳で聴く幸せ」として楽しむようになったのは最近のことですけどね。
もちろんジャズ・ファンになりたてのころから存在は目にしていたものの、これといった理由なくなんだか遠ざけていました。注目するようになったのは、エラとルイのデュオ録音コンプリート集CD四枚組『チーク・トゥ・チーク:ザ・コンプリート・デュエット・レコーディングズ』が2018年に出て以後のこと。
あのボックスはほんとうに楽しかった。それで本体は『エラ・アンド・ルイ』シリーズだっていうのを意識するようになったからですよね、この1956年作をちゃんと聴くようになったのは。ハードでエッジのとんがった音楽が好きだった若い時代に届いてこなかったのはムリもないんですが。
そう、『エラ・アンド・ルイ』はひたすらおだやかでまろやかなやさしい音楽で、自宅とかでゆっくりくつろぐにはもってこいなんですよね。どこが楽しいかなんて細かいことはいちいち言いませんが、細部までていねいな気の利いたサウンドに乗せ、エラとルイがスポンティニスかつスムースに歌っています。
選ばれている曲はすべてティン・パン・アリーのスタンダード。それをなんのひねりも工夫もせず二人がストレートにかわるがわる歌っているだけなのに、どうしてこんなに楽しく美しいのか。ベテランならではの熟練のわざっていうか、ささっと演唱してここまでの世界ができあがってしまうっていう。
ヴァーヴのハウス・バンドともいうべきオスカー・ピータースン・カルテットの歌伴もツボを心得ていて実にみごとで気持ちいい。自身の作品ではどうもちょっとねと思わないでもないピータースンも、歌伴ならここまで味のある文句なしのピアノを聴かせるってのがとってもいいですね。
(written 2023.8.27)
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