2020/07/05

おっそろしく速いフレーズを弾きまくってあっという間に終わってしまう 〜 ウェイン・クランツ

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(4 min read)

 

Wayne Krantz / 2 Drink Minimum

https://open.spotify.com/album/77L8UnIoDodjHTaSM5GAC6?si=KTaCT3tUTduob_ppQtr0Yw

 

この音楽家のことは bunboni さんに教えていただきました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-04-09

 

いやあ、もう惚れちゃいました。あまりにもカッコイイ。ギターリスト、ウェイン・クランツ(Wayne Krantz)のことで、1995年録音・発売のライヴ・アルバム『2 ドリンク・ミニマム』があまりにすばらしく、大好きになっちゃいましたね。ニュー・ヨーク・シティにあるウェインの拠点 55・バーが舞台で、リンカーン・ゴインズ(ベース)、ザック・ダンジガー(ドラムス)とのトリオ編成。ウェインはギター・トリオでわりと作品を出しているみたいですね。

 

このアルバムでは、なんといっても1曲目の「ウィッパースナッパー」があまりにもカッコよすぎて、ウェインのことをそれまでまったく聴いたことなかったぼくが、一発でこのギターリストに惚れちゃったくらいの魅力的な弾きっぷりじゃないかと思うんですね。とにかくちょっと聴いてみてください。かっ飛ばす爽快感にノック・アウトされるんじゃないですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=i2jaRZ_OzcY

 

「ウィッパースナッパー」では(ほかの曲でも)主役のギター演奏だけをフィーチャーしていて、ベースとドラムスのソロみたいな時間はありません。けれども特にドラムスのザック・ダンジガーはかなり活躍していると言っていいんじゃないですか。手数の多いにぎやかなドラミング、大のぼく好みです。シンバルの使いかた、スネア・ワークなどカッコイイし、そのほかドラミング全体で演奏を牽引しています。ファンキーですよね。

 

そんなドラミングに乗ってウェインが超快調に弾きまくり爽快感をふりまいています。とにかくぼくが惚れちゃった「ウィッパースナッパー」では高速で難度の高いフレーズをいともたやすく弾きこなし、弾きこなしすぎるからどのパッセージもあっという間に通り過ぎてしまい、流れはスムース。しかしギターならではのフレイジング、演奏だなということはとてもよくわかります。骨の髄までギターリストなんでしょうね。

 

「ウィッパースナッパー」では、出だしから中盤、終盤と快調すぎるほど快調にかっ飛ばすウェイン。なめらかな弾きこなしながら、強調するところはそれでもちゃんと聴かせどころをつくりアピールしています。アウトバーンを高速でぶっ飛ばしているような、全体的にこの曲はそんな演奏ぶりですけど、たとえば終盤の 5:00 〜 5:08 あたりでは客席から思わずの歓声が漏れるのでもわかるようにションベンちびりそうな快感ですね。な〜んてカッコイイんだ!
https://www.youtube.com/watch?v=i2jaRZ_OzcY

 

6分48秒の演奏ですけど、気持ちよすぎて、目が点になりながら聴き惚れているあいだに、あっという間に終わってしまう、まるで一陣の風のように吹き抜けて、聴き手の耳をとらえたままさわやかに行き過ぎる、それで絶対に忘れられない強い、香り高い印象を残す、そんなギター演奏ぶりじゃないですかね、この「ウィッパースナッパー」は。

 

ウェインのギターには、ジャズだとかロックだとか、なにか特定のジャンルの色を感じるようなところがあまりありません。こういったギター・トリオ編成でのインプロ・プレイは、あえて言えば「ジャズ・ロック」ということになるんでしょうが、どこにも分類できない、はまらない、ウェインだけの無色透明感、クリスタルのような輝きをぼくは感じます。ギター・インプロという一個のジャンルなんじゃないかと思えますね。

 

(written 2020.5.7)

2020/07/04

さわやかな午後に聴くボサ・ノーヴァ 〜 アントニオ・アドルフォ&レイラ・ピニェイロ

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(3 min read)

 

Antonio Adolfo & Leila Pinheiro / Vamos Partir Pro Mundo - a Música de Antonio Adolfo e Tibério Gaspar

https://open.spotify.com/album/7cUhVVnTCLut3xdKKRkCFa?si=FIUY1aXDRFmjbqPGMciIEg

 

ブラジル人歌手レイラ・ピニェイロがアントニオ・アドルフォのピアノ伴奏をともなってアントニオ&チベリオ・ガスパールの曲を歌った一枚『Vamos Partir Pro Mundo - a Música de Antonio Adolfo e Tibério Gaspar』(2020)。これがさわやかでやわらかで、とってもいいです。もちろんボサ・ノーヴァ作品ですけど、この春風のようなさわやかな手ごたえ、気持ちいいですね。(7/3付記)いま梅雨どきですけど。

 

1曲目「Dono do Mundo」でも最初のテンポ・ルバートの部分を経て本編みたいなパートに入りビートが効いてきた瞬間に実にいい気分。ふんわり軽いボサ・ノーヴァのこのビート、すばらしいです。エレキ・ギターがかなり控えめな音でそれを刻んでいて、背後にベースとドラムス。(アントニオの)ピアノがオブリガートでからみ、も〜う極上。ほんのかすかにミナス派っぽい空気感もありますね。

 

2曲目以後もこんな感じで、ふわっと軽いボサ・ノーヴァと、それをやわらかく刻むリズム、強すぎないアクセントや、とにかくサウンドがほどよく中庸的で、疲れていたり落ち込んでいたりするときでもこちらのメンタルをそっとやさしく撫でてくれます。いやあ、いいですね。レイラのヴォーカルもベテランならではのこなれたナチュラルさ。言うことなしです。どの曲もボサ・ノーヴァ仕立てなのはレイラの音楽性でしょう。

 

2曲目「Glória, Glorinha」では間奏でトランペットのソロが入りますが、それも心地いいですよね。そう、このアルバムではなにもかもがこちらを刺激しない程度のちょうどいい加減の中庸さ、やわらかさ、やさしさを極めていて、こういうのはアントニオ&チベリオの書いた楽曲の持つ資質なのか、アレンジの勝利か、主役歌手のタイプなのか、それらがあいまってのことなのか、とにかくみごとなんです。

 

4曲目「Sá Marina」はなかでも群を抜いてすばらしい出来でしょう。これもライト・タッチのボサ・ノーヴァなんですが、ハーモニカが使われていますよね。だれなんでしょう、とてもいい感じに響きます。曲もとてもいい。なんでも聞きかじった話ではこの曲、スティーヴィ・ワンダーがとりあげて有名にしたそうで、ぼくはそのことをちっとも知りませんでした。だからそれは聴いていないんですけど、スティーヴィが魅力を感じるのはよくわかりますよね。

 

そのほかアルバムは好曲ぞろいで、激しいサウンドはちっともなく、ひたすらさわやかにやわらかに、まるで五月の春風のように吹き抜ける気持ちのいい音楽。聴き込んでよし流してよし、部屋でいい雰囲気になるし極上の BGM にもなるリラクシング・ミュージックですね。春の午後にピッタリなアルバムです。(7/3付記)ブログに上げるのは梅雨どきになってしまいましたが。

 

(written 2020.5.6)

2020/07/03

岩佐美咲、配信スタート!

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(4 min read)

 

https://open.spotify.com/playlist/3OxWmOFVeufNKmqHV3BTdV?si=KPut_H6IQyKczARUjyZGQQ

 

いやあ、きのう7月1日の夕方には大きなニュースが飛び込んできました。われらがわさみんこと岩佐美咲の楽曲配信がスタートしたのです。これを快挙と言わずしてなんと言いましょう?こんなうれしいことは最近なかったですね。楽曲配信といっても、全九曲(+1)のオリジナル・ナンバーだけなんですけど、大きな一歩に違いありません。

 

わさみんはオリジナル曲がかなりいいという話は以前しました。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-e4eeca.html

 

わさみんのオリジナル曲を配信するサービス一覧は以下のとおり。

 

(ストリーミング)
Spotify
Apple Music
amazon music
AWA
LINE MUSIC
うたパス
kkbox
Rakutenmusic

 

(ダウンロード)
iTunes Store
レコチョク
mora
ドワンゴジェイピー
music.jp
オリコンミュージックストア

 

だいたい網羅されているといっていいでしょう。やはり活用すべきはストリーミング(サブスクリプション)・サービスですよね。ダウンロードは一曲何円で購入するものですが、ストリーミングなら毎月の定額で聴き放題ですからね。しかもダウンロードは一回買えば終わりですが、ストリーミングなら再生されればされるほどそれに応じて音楽家や制作サイドへの分配金も増えます。一回の金額はきわめて些少ですけどね。

 

それで早速ですが、ぼくは Spotify を主に使っているので、わさみんの全オリジナル楽曲9+1でプレイリストを作成しておきました。これさえあれば、いつでもどこに出かけていても、スマホ一台あればわさみんのオリジナル曲を聴くことができますよ。
https://open.spotify.com/playlist/3OxWmOFVeufNKmqHV3BTdV?si=KPut_H6IQyKczARUjyZGQQ

 

いままでわさみんの歌は CD なりを買わないと聴けませんでした。いまどき CD を買うというのがなかなかハードルの高いばあいもあるんだということをぼくはよく知っているつもりです。もちろんぼくたち熱心なわさみんファンはみんな CD を買ってきているんで、配信で聴けるようになっても特に変化はありませんが、わざわざ CD を買ってみようという気にならないかたがたには、サブスクで聴けるようになったというのはとてもいいことなんじゃないですかね。

 

わさみんの歌は本当にすばらしいのであるということを、ぼくもいままで散々書いてきました。しかし肝心の音を手軽に聴いてもらえないというのがたぶんネックになって、なかなか意見が浸透しなかったり人気が拡散したりしなかったんじゃないかという思いがぼくにはあります。だから、今後は(オリジナル曲だけとはいえ)気軽にネットでちょこちょこっと聴けるようになって、わさみんの歌のすばらしさを一人でも多くのみなさんに知っていただくいいきっかけになるんじゃないでしょうか。

 

さあ次はカヴァー曲です。現状全九曲(+1)のオリジナル・シングル表題曲しか配信されていませんが、カヴァー曲がわさみんには70曲ほどもあります。それらのなかにもすばらしいものがたくさんありますし、この調子で今後はわさみんカヴァー曲もどば〜っと配信してほしいですね。そうすれば、偉大なる資質を持つ歌手、岩佐美咲の全貌が理解されやすくなるんじゃないかと思うんですね。

 

とりあえずいまはオリジナル曲の全九曲(+1)を配信で堪能しましょう!

 

(written 2020.7.2)

2020/07/02

フリー・ジャズなマイルズ69年コペンハーゲン・ライヴ

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(5 min read)

 

https://www.youtube.com/watch?v=YHx1-BPgkkM&list=PL1RJCGLa8Ni1-67ptN_E8-uSKnf-Vt0Kn&index=1

 

公式 YouTube チャンネルで2020年3月に一日一曲づつ公開されたマイルズ・デイヴィスの1969年コペンハーゲン・ライヴ。ライヴの日付がどこにも記されていませんが、69年のコペンハーゲンなら11月4日です。バンドはもちろんロスト・クインテット(マイルズ、ウェイン・ショーター、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ジャック・ディジョネット)。

 

その1969/11/4コペンハーゲン・ライヴの計7トラックをいまでは続けて楽しむことができます。このコペンハーゲン・ライヴは以前から高音質のブートレグ CD-R が出まわっていてぼくも聴いてきましたが、やはりオフィシャルはさらに音がいいですね。さらに今回は上質のカラー映像付きということで、視覚面での享楽もあって言うことなしです。

 

1969年秋冬のヨーロッパ・ツアーは、ほんの数ヶ月前にスタジオで『ビッチズ・ブルー』を録音したばかりとあって、このランドマーク・アルバムと結び付けて語られることが多いですし、レガシー公式の見方としてもそうです。けれどもそのライヴ音楽をそのまま素直に聴けば、むしろ1960年代的フリー・ジャズとの関連が強いんじゃないかと思えるんですよね。

 

『ビッチズ・ブルー』(やそれに先行する『イン・ア・サイレント・ウェイ』)があきらかに1970年代を射程にとらえていたのとは、この点で大きく違います。やはりかねてより言われているようにスタジオでのマイルズは先駆的だけどライヴ・シーンでは保守的だったとの意見は的を射ているんじゃないでしょうか。スタジオではすでにロック/ファンクに踏み出していましたけど、ライヴではまだまだストレート・ジャズをやっていました。

 

映像で見るとこの1969年コペンハーゲン・ライヴでの五人は、特にボスがそうですが、カラフルでサイケデリックな衣装を着て演奏していますよね。ステージ映えを意識したとかいうよりも、当時の自分たちの音楽がどんな方向を向いていたのかの自己主張というかアイデンティティの反映として自然にこういう格好をするようになったんだろうと思います。

 

しかしながらそうであっても、ステージでくりひろげられている音楽は、といえば、1960年代後半的なサイケデリック/ヒッピー・カルチャーとは特に縁のなさそうな、欧州白人観客層にウケそうな、そんなフリー・ジャズを展開しているんだからおもしろいところです。ライヴでのマイルズ・バンドがロック・カルチャーの領域に踏み込んだのは1970年にフィルモアにどんどん出演するようになってからで、衣装も音楽も一致してヤング・ヒッピー・ジェネレイションに向くようになっていました。

 

1969年バンドは(音楽的に)その一歩手前ということで、スタジオで完成させていたファンク・マテリアル(「マイルズ・ランズ・ザ・ヴードゥー・ダウン」「ビッチズ・ブルー」「イッツ・アバウト・ザット・タイム」など)をとりあげてはいても、アプローチはまだまだジャズのものでした。こんな衣装を着てステージを展開していてもそうなんです。タキシードで演奏してもよかったくらいですよね。

 

それでもボスの吹いているあいだはいつも定常ビートに乗っているし、ロック/ファンクっぽいノリがあるんですけれども、二番手ウェインのサックス・ソロの後半〜終盤にかけてからアヴァンギャルドな手法を見せはじめ、そのままチックのエレピ・ソロになるとトリオ演奏で完全なるフリー即興の世界に入っていってしまいますよね。

 

たとえばこのコペンハーゲン・ライヴでもラストで演奏している「イッツ・アバウト・ザット・タイム」。もともとノリのいいファンク・チューンで、このライヴでもボスのソロのあいだはそうなのに、特に三番手チックのソロになると突如がらりと変貌しますよね。ポロ〜ン、ポロ〜ン、(デイヴが弓で)ギ〜、グゲ〜〜、ジャックもチーン、チーン、ってなんですかぁこれぇ?ビートも消えて原曲の面影は微塵もありません。

 

ジャズですからどのように展開してどのように姿が変わろうとも OK なんですけれども、個人的にはファンキーにグルーヴする音楽のほうが好きです。こういった演奏内容を聴くと、マイルズのロスト・クインテットが1969年ライヴでしばしばフリー&アヴァンギャルドに走っていたのはチックの主導だったのだろうか?と思っちゃいますよね。

 

「ビッチズ・ブルー」にしろ「イッツ・アバウト・ザット・タイム」にしろ、もとのスタジオ録音ヴァージョンを聴けばわかりますようにファンキーあるいはアーシーとすら言っていいノリのいいベース・ラインを持つグルーヴ・ナンバーなのに、1969年バンドだとだれもそれを演奏しないんですね。いっさい無視したまま進んでいます。同じ曲か?と思うほど。

 

70年に入ると、さすがにフィルモアに出演しなくちゃなんないということで(おそらくボスの指示で)レコード録音を聴きかえして、ファンクなベース・ヴァンプを再確認し、特にチックと(エレベに持ち替えた)デイヴが一体となってノリよくファンキーにそれを演奏し、ジャックにもタイトな定常ビート を叩かせて、バンドをグルーヴさせるようになります。そこからがぼくの大好きなロック/ファンク・マイルズなんですが。

 

でもその前のフリー・ジャズなアプローチが濃厚な1969年マイルズも、ジャズ・ミュージックとして聴けばこれはこれで楽しいですよね。ノリのよさ、グルーヴィな感じはないんですけれども、各人のソロ内容やリズム・セクションとの丁々発止のやりとり、テンションの高さなど、聴きどころも多いです。65年の「アジテイション」みたいな曲が(日付によっては「ラウンド・ミッドナイト」とかも)まじっても違和感がありませんね。

 

(written 2020.5.3)

2020/07/01

アンゴラのキゾンバ

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(4 min read)

 

v.a. / Kizomba de Angola, vol. 2

https://open.spotify.com/album/3KnrpXu7M8KDNUwdUVzowI?si=TfDk6TeWTqSrZ__mPJzbDA

 

いいジャケットですね。キゾンバのアンソロジーということなんでしょう、『キゾンバ・ジ・アンゴラ、vol. 2』(2012)。見かけたのはつい最近で、日本で CD なりが買えるようになったのは昨年あたりからじゃないでしょうか。ポルトガル産の編集盤ということみたいです。「Vol. 1」もあるんでしょう、そっちはチラ見したらジャケットがイマイチでした。

 

キゾンバといってもぼくはいまだよくわかっていないんですけど、それでも三年くらい前までに比べたらちょっとだけは聴いてきていて、ある程度特徴をつかみつつあるつもりです。同じアンゴラのダンス・ミュージックということで、歴史の長いセンバと比較してどうか?といったこともちょっとだけですね、わかりかけてくるようになりました。

 

ぼくがアンゴラのそういったダンス・ミュージックになんだかこだわっているようにみえるのは、ひとえにパウロ・フローレスのおかげというかせいです。Astral さんのブログで知りエル・スールで CD を買ったパウロの『O País Que Nasceu Meu Pai』(2013)がすばらしすぎる大ショックで、2017年は一年間この大傑作ばっかり聴いていたと言ってもいいくらい。

 

パウロはセンバの音楽家ということになっていて、しかし作品を聴くとかなりモダンな感じもするから、最初ぼくはセンバというのをモダン・ミュージック、アンゴラの最新流行だみたいに考えていました。その後キゾンバということばも知り、そう、ヨラ・セメードとかで、でしょうか、しかし聴いてみて、パウロとどっちが新感覚?とか音楽としてどっちが歴史が古い?みたいなこともわからなかったんですね。

 

そのへんの解説がどこにもないような気がしますからね(実はちょっとだけあるけど)。だから五里霧中なままセンバとされるものやキゾンバとされるものを自己流に聴いてきました。実際、あんまり差がないなあと思えることだってあり、でもちょっとづつ耳と知識が増えるにつれ、どうやらセンバのほうが歴史が長い、キゾンバは新しめの流行だとわかってきたんですね。どっちもアンゴラのダンス・ミュージックですが、センバは土着的、キゾンバはクラブ発祥みたいなところもあるでしょうか。

 

センバのほうが個人的にはややハードな感じがしていて、キゾンバはもっとこう軽いフィーリングをぼくは感じます。それからアンゴラ産リズムであるとはいえキゾンバにはズークの影響がかなり濃いですよね。曲によったらズークそのものじゃんと思えるものすらあるように感じます。ズークはフレンチ・カリブの音楽ですが、主に1980年代以後かな、大流行しました。

 

だからそれをとりいれたキゾンバも1980年代というか、もっとあと、80年代末や90年代に入ってからかな、アンゴラでかたちを整えるようになったんでしょう。ズークだけでなく、同国の伝統音楽であるセンバも吸収、それを簡易な打ち込み系打楽器中心でトラックを組み立てるみたいなことになったんじゃないですかね。

 

センバのほうがハードに思えると書きましたが、それは辛口ということで、対してぼくがキゾンバに感じる大きな要素はメロウネスです。センティメンタルな感じもするし、そのフィーリングはブラジルだったらサウダージと呼ばれるものかもしれないですけど、甘く切なく哀しい美しさ、その感覚をぼくはキゾンバに強く感じます。

 

デジタル・パーカッションでバック・トラックを組み立てるというのもキゾンバの大きな特色でしょうね。時代の古い音楽だったら不可能だった手法ですけれど、キゾンバのころにはコンピューターが出てきていた、しかもクラブなどを中心に展開した、ということで打ち込み系の打楽器音がメインなんでしょう。そのチープでスカスカなトラック感覚は、たしかにキゾンバを活かしたディーノ・ディサンティアーゴ(カーボ・ヴェルデ/ポルトガル)の最新作にも活かされているものです。

 

そう、ディーノ・サンティアーゴはアンゴラの音楽家じゃありませんが、パウロ・フローレスとも共演しているし、アンゴラ産の(センバや)キゾンバは汎ポルトガル語圏でひろく参照されるダンス・ミュージック、その構築手法となっているんでしょう。

 

(written 2020.5.5)

2020/06/30

コロナ時代のコンサートはハイブリッドで

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(写真は日経新聞デジタルの記事より、岸田鉄平撮影)

 

(5 min read)

 

6月25日にサザンオールスターズの有料配信ライヴがありました。パフォーマンスの場所は横浜アリーナでしたが、コロナ対策のため観客はいっさい入れず、その代わり複数のネット配信サーヴィスでライヴの模様が中継されたんですね。約18万人もが3600円のチケットを買い、さらに主催者発表によれば総視聴者数は推定約50万人にもなったそうです。もちろんサザンほどの国民的人気を誇る音楽家だからこの数字になるわけですけど、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ時代のコンサートのありようを考える際には示唆深い内容だったんじゃないかなと思います。

 

横浜アリーナは、もし客を入れればそのキャパは18000人です。ところが3600円の有料配信で18万人もがチケットを買ったわけですよ。実客の10倍じゃないですか。ってことは実客を横浜アリーナにフルに入れたと仮定すれば、その全員が3万6千円のチケットを買ったという計算になるんです。興業としては大成功ですよね。

 

以前も岩佐美咲関連で言いましたが、ネットのよさはだれでもどこにいても体験できるということです。リアルなコンサートなどであればその現場に行かないと観られません。しばしば東京とか首都圏とかでしか大きなライヴ・コンサートは実施されないがため、地方在住民はいつも悔しい思いをしてきています。涙を飲んできているんですよね。しかしこれがネット配信コンサートとなれば、パソコンやスマホがあれば日本中どこででも視聴できます。

 

コロナのせいで実際の会場にお客さんを入れられないという状況が続いているのは、もちろん音楽界にとって好ましいことではないでしょう。しかしそんなありようをある意味逆手にとって、ネット配信で充実したコンサートを届けてくれて、たぶん視聴者の大半を満足させたであろうサザンオールスターズの例は、今後、コロナ時代にコンサートはどうあるべきかのひとつのかたちを示してくれたといえるかもしれないですよね。

 

もちろん観客を実際に会場に入れるという試みも徐々にではありますが戻ってきはじめています。ここで大切なことは、実客を会場に入れる/ネット配信をする、というのを、どっちかじゃないといけないっていう二項対立のように考える必要はないはずだいうことです。実客を入れてなおかつネット配信もやればいいじゃないですか。いわばハイブリッド・コンサートですよ。

 

ハイブリッド・コンサートということばは、演歌・歌謡曲歌手の中澤卓也のホームページから拝借したものなんですね(情報をくださったわいるどさんに感謝)。来る7月23日に中澤は王子の北とぴあ、さくらホールでそういったものを実施するんだそうです。コンサート会場に実客を入れますが、それはソーシャル・ディスタンスに配慮して前後左右を開け、キャパの1/4程度。そして実演と同時にそのコンサートを有料ネット配信するんだそうですよ。
https://www.nakazawatakuya.com/news/6605/

 

この実客+配信のハイブリッド・コンサートというのはなかなか秀逸なアイデアだと思うんですね。もちろん第一義的には現場の会場で密を避け1/4しかお客さんを入れられないから、その分の穴埋めを有料ネット配信でやろうということです。ですけれども、今後、以前みたいにフルに客席を埋めることができるようになっても、やっぱりネット配信もやればいいじゃないですか。

 

日本中にファンを持つ歌手やバンドはたくさんあります。いや世界中にファンを持つ音楽家だって多いです。実客フル入場の状況が戻ってくれば、もちろんそれはすばらしい。でもそのいっぽうで、どうあってもコンサート現場へ出かけることなど容易にはかなわない地方在住民だってたくさんいるんですよね。いままでは指をくわえて我慢するか、お金を貯めて一大決心で都会へ遠征していくしかなかったんです。

 

それが、ネット配信で、当日のそのコンサートがそのまま観られるようになるなんて、すばらしいことじゃないですか。興業主にとってだって、会場に実客が入ればそれで儲けになる上に、同時に有料ネット配信もやれば実客キャパの何倍、十倍ものチケット販売が見込めるんですからね。有料ネット配信は、上でも書きましたが、会場のキャパをはるかに上回る大量のチケットがさばけることが多いんですよね。サザンが証明してくれました。

 

これからのウィズ・コロナ、あるいはポスト・コロナの時代には、音楽コンサートはハイブリッド形式でやりましょうよ。実客/配信のダブル体制でやれば、興行的にもはじける可能性があるし、だから歌手や音楽家にとっても成功といえるようになるし、コンサート現場に足を運べないファンだって大喜びですよ。

 

(written 2020.6.29)

2020/06/29

もしもギターが弾けたなら(その2)〜 ジョアン・カマレーロ

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(4 min read)

 

João Camarero / Vento Brando

https://open.spotify.com/album/2cdUpZDv2oaZOecRilf45A?si=w4bi13UhTBig_0_5wuj-Ow

 

どうして男性ショーロ・ミュージシャンってみんな(でもないけど)ヒゲを生やしたがるのでしょう?アキレス・モラエス(トランペット)なんかすごいんですよ、と、体毛が生えない体質のぼくなんかはうらやましく感じたりもしますが、音楽になんの関係もないどうでもいい話ですたゴメンニャサイ。

 

ブラジルの七弦ショーロ・ギターリスト、ジョアン・カマレーロの新作『Vento Brando』(2019)が今日の話題です。聴いた感じ、クラシックのソロ・ギター作品と区別つかないなあと思うんですけど、たしかにこのジョアンのソロ・アルバムにもシリアスな雰囲気が漂っています。ギター一本でのソロ作品となれば、どんなジャンルのひとがやってもクラシックに接近するのかなという気もしますね。

 

ジョアンのギターはいままでもちょこちょこと聴いてきたんですけど、どれもバンドのなかの一員として弾いているものばかりで、ソロとして全面的にフィーチャーされているのは『Vento Brando』ではじめて知りました。最大の印象は音のアタックがとても強いなということです。そのおかげで輪郭が鮮明でシャープなサウンドに聴こえます。

 

しかも速弾きっていうか、難度の高い細かいフレーズを弾きこなす技巧もあざやかで、さらにどの演奏にもなんらの揺らぎも破綻もありません。細速フレーズの弾きこなしがあまりにもなめらかでスムースであるがゆえ、聴き手の耳にひっかからず流れていってしまうかも?という印象すらあって、流麗のひとことですよね。技巧の粋を極めたナイロン弦ギター独奏と言えるでしょう。

 

高速パッセージでもゆったりしたフレージングでも、音のすみずみにまで配慮が行き届いているのがよくわかりますし、どの音にも意味がありますよね。その音の意味をよりよく聴き手に届けるためなのか、演奏の緩急というかメリハリにも気を遣っているのも聴けばわかります。メロディやフレイジングの美しさがおかげでわかりやすくなっているんじゃないでしょうか。

 

アルバムの曲のなかでは、個人的に、たとえば5曲目の「エニグマ」。ちょっとエキゾティックというかスペインふうなメロディとリズムを持った曲で、これなんかにも強く惹かれます。どんな音楽でもぼくがアンダルシア香味に弱いのはマイルズ・デイヴィス体験のせいなんでしょうか。ジョアンのこの演奏は、ロック・ギター界で言うところのトゥワンギーな感じがして、たいへんに好みですね。

 

続く6「パウリスターノ」、7「ヴェント・ブランド」と本当に聴き惚れる演奏が続きますが、静かで落ち着いた雰囲気のなかにパッションをも表現しているのが好きですね。そんなところは、続く8、9曲目でさらにわかると思います。この二曲にはジョアン・カマレーロの師匠ジョアン・リラがゲスト参加、9曲目にはカヴァキーニョ奏者も加わっています。

 

リラとのデュオ演奏である8「マカラス」にはカリブ音楽ふうなリズム・ニュアンスもあって楽しくてニンマリしますし、最後は情熱的にもりあがるところもグッド。この二人にカヴァキーニョが追加された9「カンドラジーニョ」はポップなキュート・ショーロで、全体がクラシカルな感じに寄ったこのアルバムのなかではいちばん親近感があって聴きやすいかも。明るく楽しい雰囲気で実にいいですね。


(written 2020.5.4)

2020/06/28

絶滅危惧種みたいなローリー・ブロックのブルーズ・ギター

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(4 min read)

 

Rory Block / Prove It On Me

https://open.spotify.com/album/6TpFifpdTjpq979yvYcPqK?si=kC3OfhatTCGXcWMABGNSaQ

 

萩原健太さんに教えていただきました。
https://kenta45rpm.com/2020/03/27/prove-it-on-me-rory-block/

 

現代最高のアクースティック・ブルーズ・ギターリスト兼シンガーのひとりらしいローリー・ブロック(Rory Block)の2020年新作『プルーヴ・イット・オン・ミー』は、一曲のオリジナル・ソングを除き、すべて先人の女性ブルーズ歌手が歌ったもののカヴァーで構成されています。といってもぼくが知っていたのは 1「ヒー・メイ・ビー・ユア・マン」のヘレン・ヒュームズ、4「プルーヴ・イット・オン・ミー」のマ・レイニー、7「ウェイワード・ガール・ブルーズ」のロッティ・キンブロウ、8「イン・マイ・ガーリッシュ・デイズ」のメンフィス・ミニーだけ。

 

それ以外は、たとえばマドリン・デイヴィス、ロゼッタ・ハワード、アリゾナ・ドレインズ、マーリン・ジョンソン、エルヴィ・トーマス…、ってみなさん知ってます?ぼくは健太さんの上のブログ記事で読んでそうなんだと思って書き写してみただけで、ちっともわからないです。どうやら1920〜30年代のブルーズ・ウィミンばかりなんでしょうかね。

 

ともかくローリーの『プルーヴ・イット・オン・ミー』ではそういった先達ブルーズ・ウィミンの曲をとりあげて、アクースティック・ギター(+ベース+ドラムス)というきわめてシンプルな編成で弾き語っているんですが、ぼくの印象に残ったのはギターですね。はじめて聴いたギターリストですが、本当にうまいと思います。

 

アクースティック・ギター弾き語りの戦前ブルーズ・ギターリストを思い起こすんですけど、ローリーも同様に中低音弦でリズムをはじきながら高音弦でのスライド(などの)プレイで音を装飾してメロディを奏でているんですよね。そんな弾きかたをするブルーズ・ギターリストはもはや絶滅危惧種でしょう。古い録音などでしか聴けないんじゃないですか。

 

その意味ではローリーは生ける伝説、天然記念物のようなブルーズ・ギター・スタイルを持っていると言えます。全曲でそんなローリーの技巧が輝いていて、たとえば1曲目ヘレン・ヒュームズの「ヒー・メイ・ビー・ユア・マン」は、オリジナルにちょっと則してブギ・ウギのパターンをふまえているんですが、ギター・ブギですからかなり調子は異なっています。

 

そしてブギ・ウギのパターンを弾くと同時に1弦でシングル・トーンの装飾フレーズを入れているのが印象に残りますね。そのほかどの曲でもローリーは(リズムを刻む)中低音弦と(メロディを弾く)高音弦を同時に鳴らしていて、なかなかむずかしいことじゃないかと思うんです。できあがりがこれも戦前ブルーズ・ギターリスト同様あっさりさっぱりしていますからなんでもないように聴こえますが、かなりのテクニシャンに違いありません。

 

ブルーズと女性というと、ぼくはどうしても1920年代の(しばしばジャズ演奏家が伴奏した)都会派女性ブルーズ・シンガーたちのことを思い出しますが、実際今回のローリーのアルバムでもそこそことりあげられているみたいです。ローリーはジャズ・ミュージックっぽさを消し、というかアクギ一本だからそれは無理なんでやめて、もっとさらりと軽いフォーキーなテイストでカヴァーしていて、それもいい味ですね。

 

ところでこのローリー・ブロックの『プルーヴ・イット・オン・ミー』、国内盤も出たらしいというのでアマゾンでチェックして、そのページの説明文を読んでひっくり返りました。「パワー・ウーメン・オブ・ザ・ブルース」って…。ウーメンとはウィミン(women)のことかと思いますが、こんな音の英単語はありませんよね。
https://www.amazon.co.jp//dp/B085F46B7N/

 

(written 2020.5.2)

2020/06/27

プリンスとマイルズの共演、ついに公式発売へ

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(10 min read)

 

https://twitter.com/prince/status/1276176365406965764
(スレッドでご覧ください)

 

プリンス・エステートとワーナーは、来る2020年9月25日に『サイン・オ・ザ・タイムズ』をリイシューするとアナウンスしましたが、そのうち CD 八枚組+DVD のスーパー・デラックス・エディションに、マイルズ・デイヴィスとの共演が二つ収録されることとなりました。これら天才二名の関係はひろく知られているところですが、共演音源が公式リリースされるのは初のことです。

 

プリンス・ファンでもあるぼくとしては、マイルズ関係なく、今回アナウンスされた『サイン・オ・ザ・タイムズ』スーパー・デラックス・エディションの内容がおおいに気になるところですが、きょうはマイルズ関係の話だけにします。発売されるのは、共演曲「キャン・アイ・プレイ・ウィズ U?」と、プリンス・バンド1987年12月31日のペイズリー・パークでのライヴ・ステージでマイルズが数分間共演しているもの。

 

「キャン・アイ・プレイ・ウィズ U?」は、プリンス・サイドが1985年12月26日に録音したもので、27日にエリック・リーズがサックスをオーヴァー・ダブしています。そのテープが翌86年1月にマイルズのもとに送られました。これはマイルズのワーナー移籍にともなってファースト・アルバムをプリンスとの共演作にしたいという意向を受けてのプロデュースの一環でした。

 

マイルズは86年の3月1日にトランペットをオーヴァー・ダビング。それを送り返し、プリンスがさらに音を重ねたりしてトラックを完成させた模様なんですが、予定されていたマイルズのアルバムには合わないということと、両者とも曲の出来に満足できなかったとのことで、「キャン・アイ・プレイ・ウィズ・ユー?」はお蔵入りとなりました。ワーナーでのマイルズのファースト・アルバムも予定を大幅に変更してマーカス・ミラーとの全面共演作となりましたね。

 

「キャン・アイ・プレイ・ウィズ U?」には何種類かミックスが存在しますので、今回『サイン・オ・ザ・タイムズ』スーパー・デラックス・エディションにどれが収録されるのかは、いまだ不明です。ロング・ヴァージョンだったらいいなと個人的には思うんですけどね。このプリンス&マイルズ共演曲はいままでもなんどか発売されそうになった機会があったんですがポシャってきたのは、たぶんプリンスの意向だったんでしょう。亡くなったので、発売できることになったんだと思います。

 

いちおうロング・ヴァージョンが聴けます↓これと同じものが発売されるんでしょうか?
https://www.youtube.com/watch?v=BYbLvZGDB3U

 

なお、プリンスとマイルズのスタジオ共演曲は、「キャン・アイ・プレイ・ウィズ・ユー?」のほかにも、「ペネトレイション」「ジェイル・ベイト」「ア・ガール・アンド・ハー・パピー」とあって、いずれも未発表のまま(「ペネトレイション」だけはマイルズがライヴでやっていましたが)。今後の展開に期待したいですね。

 

次に、プリンス『サイン・オ・ザ・タイムズ』スーパー・デラックス・エディションの DVD に収録される、プリンス・バンド、ペイズリー・パークでの1987年12月31日のコンプリート・ライヴですが、一部にマイルズがちょっとだけ参加してトランペットを吹いている様子は、20年ほど以上も前からブートレグ DVD が出まわっていたようですし、ネットにも(たぶんそこから)上がっていたので、ぼくもなんどか視聴したことがあります。

 

たとえばこれ↓この YouTubeファイルは、この日のステージ中盤のシーラ E による「ドラム・ソロ」からはじまっていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=c6pTSXMaOwo

 

マイルズが登場するのは、1:00:08 からはじまる「イッツ・ゴナ・ビー・ア・ビューティフル・ナイト」でのこと。曲が進んだ 1:05:21ごろに、パープルの(!)衣装を着たマイルズが登場、1:05:50 からバンドの演奏に乗せてオープン・ホーンで吹きはじめます。バンドは、マイルズも自身のバンドで借用した例の華麗なブレイク・リックもはさみながら演奏、マイルズは歩き回りながら自由にフレーズをつづっていますよね。1:09:00 過ぎまで吹き、最後はプリンスの "Mr. Miles Davis!" という紹介のことばに送られてステージ上手に消えていきます。

 

さてさて、そんな二者の共演を収録した9月25日発売のプリンス『サイン・オ・ザ・タイムズ』スーパー・デラックス・エディション。プリンス・オフィシャル・ストアでは159.98ドルという価格になっています(CD ヴァージョン)が、アマゾンあたりでどれくらいで売るんですかね。Spotify などストリーミングで聴けるようになることは公式アナウンスされているんで、だから CD 分についてはそれでいいんですけど、問題は DVD 分ですよねえ。マイルズがプリンス・バンドと共演する様子をちゃんと観たいし、それ以前にこのコンサートをフルに聴きたいでしょう。う〜ん。

 

以下、トラック・リストです。CD1と2は『サイン・オ・ザ・タイムズ』オリジナル・アルバムの2020リマスター。

 

<CD1>
Sign O' The Times
Play In The Sunshine
Housequake
The Ballad Of Dorothy Parker
It
Starfish And Coffee
Slow Love
Hot Thing
Forever In My Life

<CD2>
U Got The Look
If I Was Your Girlfriend
Strange Relationship
I Could Never Take The Place Of Your Man
The Cross
It's Gonna Be A Beautiful Night
Adore

<CD3 (Single Mixes & Edits)>
Sign O' The Times (Edit)
La, La, La, He, He, Hee (Edit)
La, La, La, He, He, Hee (Highly Explosive)
If I Was Your Girlfriend (Edit)
Shockadelica
Shockadelica (12" Long Version)
U Got the Look (Long Look)
Housequake (Edit)
Housequake (7 Minutes MoQuake)
I Could Never Take the Place of Your Man (Fade)
Hot Thing (Edit)
Hot Thing (Extended Remix)
Hot Thing (Dub Version)

<CD4 (Vault, Part 1)>
Teacher Teacher (1985 Version)
All My Dreams
Can I Play With U? (feat. Miles Davis)
Wonderful Day
Strange Relationship
Visions
The Ballad Of Dorothy Parker (With Horns)
Witness 4 The Prosecution (Version 1)
Power Fantastic (Live in Studio)
And That Says What?
Love And Sex
A Place In Heaven (Prince Vocal)
Colors
Crystal Ball (7" Mix)
Big Tall Wall (Version 1)
Nevaeh Ni Ecalp A
In A Large Room With No Light

<CD5 (Vault, Part 2)>
Train
It Ain't Over 'Til The Fat Lady Sings
Eggplant (Original Prince Vocal)
Everybody Want What They Don't Got
Blanche
Soul Psychodelicide (1986 Master)
The Ball
Adonis And Bathsheba
Forever In My Life (Early Vocal Run-Through)
Crucial (Alternate Lyrics)
The Cocoa Boys
When The Dawn Of The Morning Comes
Witness 4 The Prosecution (Version 2)
It Be's Like That Sometimes

<CD6 (Vault, Part 3)>
Emotional Pump
Rebirth Of The Flesh (Original Outro)
Cosmic Day
Walkin' In Glory
Wally
I Need A Man
Promise To Be True
Jealous Girl (Version 2)
There's Something I Like About Being Your Fool
Big Tall Wall (Version 2)
A Place In Heaven (Lisa Vocal)
Wonderful Day (12" Mix)
Strange Relationship (1987 Shep Pettibone Club Mix)

<CD7 (Live In Utrecht )>
Intro/Sign O' The Times
Play In The Sunshine
Little Red Corvette
Housequake
Girls & Boys
Slow Love
Take The "A" Train / Pacemaker / I Could Never Take The Place Of Your Man
Hot Thing
Four (Includes Sheila E. Drum Solo)
If I Was Your Girlfriend

<CD8 (Live In Utrecht, part 2)>
Let's Go Crazy
When Doves Cry
Purple Rain
1999
Forever In My Life
Kiss
The Cross
It's Gonna Be A Beautiful Night

<DVD (Live at Paisley Park, Minneapolis, MN, 12/31/1987)>
Sign O' The Times
Play In The Sunshine
Little Red Corvette
Erotic City
Housequake
Slow Love
Do Me, Baby
Adore
I Could Never Take The Place Of Your Man
What's Your Name Jam
Let's Pretend We're Married
Delirious
Jack U Off
Drum Solo
Twelve
Hot Thing
If I Was Your Girlfriend
Let's Go Crazy
When Doves Cry
Purple Rain
1999
U Got The Look
It's Gonna Be A Beautiful Night (feat. Miles Davis)

(written 2020.6.26)

2020/06/26

ロバート・クレイの新作はゴスペル・アルバムかな

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(3 min read)

 

Robert Cray Band / That's What I Heard

https://open.spotify.com/album/5MHALMDVXq4S7Ad6pNVl8I?si=pt8aSmqsT5am7O07nqJuBw

 

もとからブルーズ一本槍のひとでもなかったロバート・クレイ(Robert Cray) だけに、今2020年の新作『ザッツ・ワット・アイ・ハード』がこういったゴスペル仕立てになっているのもむべなるかなと思います。オープニング1曲目の「エニイシング・ユー・ウォント」はそれでもオリジナル新曲のロック・ブルーズですけど、2曲目「ベリイング・グラウンド」はセンセショナル・ナイティンゲイルズが歌ったトラディショナル・ゴスペルですもんね。

 

ロバート・クレイ・ヴァージョンの「ベリイング・グラウンド」にはブルーズふうなところもまったくなく、ストレートなゴスペル解釈になっているのがかえって聴きものなんですね。ビートもトラディショナル・ゴスペルのボン、ボン、っていうあれで、クレイはギターは弾かずにヴォーカルに徹しているのがまた好感度大。カルテットみたいなバック・コーラスをだれが務めたのか知りたいところです。

 

ここまでストレートなゴスペル・チューンはこれだけとはいえ、今回のアルバムではゴスペル・ソングのカヴァーが数多く収録され、アルバムの色調の基本を形成しているんですね。3曲目「ユア・ザ・ワン」(ボビー・ブランド)、5「ユール・ウォント・ミー・バック」(カーティス・メイフィールド)。また7「プロミシズ・ユー・キャント・キープ」(キム・ウィルスン)も曲調はゴスペル・バラードですよね。

 

故トニー・ジョー・ワイトに捧げたという8「トゥー・ビー・ウィズ・ユー」も敬虔なスピリチュアル・ムードが漂っていますし、これら一連の曲でのクレイはきわめて真摯に歌い尽くしているのがわかって、この音楽家の姿勢が胸に迫ります。いつもと同じおなじみのギター・トーンにも慈しみがあふれているじゃないですか。ヴォーカルやギターのサウンドそのものにこもるそんな空気感をぼくは聴きとっているんですね。簡潔にいえばマジメでストレート。それが音に出ています。

 

それだからこそ、強烈なトランプ大統領批判の4「ディス・マン」(オリジナル)なんかがこれまた響いてくるんですね。もっとも個人的には歌詞の意味をあまり考慮しない聴きかたをするほうなんで、サウンドのファンキーさやギター・リフ、ソロの楽しさを感じて、いい気分です。そう、政治的メッセージじゃなく音楽として聴きごたえのある曲ですよね。この曲のギター・ソロはかなり聴けると思います。

 

愉快なダンス・ナンバーである9「マイ・ベイビー・ライクス・トゥ・ブーガルー」(ドン・ガードナー)のファンキー・ビートも楽しいし(ギター・ソロはなし)、さらにアルバム中特に耳を惹いたのは節目の6曲目「ホット」とクローザーの「ドゥー・イット」です。どっちもアップ・テンポのファンキー・ブルーズなんですけど、楽しさが爆発しています。くわえてギター・ソロも弾きまくりで爆裂、最高ですね。後者にはレイ・パーカー Jr が参加しているらしいですが、この音色はクレイですよね?

 

(written 2020.5.1)

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