カテゴリー「カーボ・ヴェルデ」の13件の記事

2022/07/25

日常にす〜ぅっと溶け込む歌 〜 ルシベラ

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(2 min read)

 

Lucibela / Amdjer
https://open.spotify.com/album/09x0zF6SJX3yPep6npnZum?si=copTFgZ_RtmbWagNwFS7qw

 

これもbunboniさんに教わりました。感謝ですね〜。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-07-12

 

カーボ・ヴェルデの歌手、ルシベラ。今年出た最新作『Amdjer』(2022)がたいへんすばらしくぼく好み。気をてらうとか大向こうをねらうといったところの微塵もない、日常的な淡々とした音楽で満たされていて、これこれまさにこういうのですよ、いまのぼくが音楽に求めているものって。

 

こういった音楽は、ひとが生涯で積み重ねてきた悩みや苦難やつらさが裏ごしされたみたいにまろやかなスープ状となって溶け込んでいるのであって、その表面的にはなめらかで平坦な変化のないサウンドに真の深みと味わいをいまのぼくだったら聴きとりますね。

 

なかでもアルバムにいくつもあるコラデイラの数々は、その強くもやわらかなさざなみのビートが人生の年輪とひだを感じさせ、なんともいえず胸にぐっと沁み入ります。4、6、9曲目あたりはほんとうにたまりませんね。しっとりモルナだって聴けます。

 

伴奏のサウンド・プロデュースもいいですね。本作で多くの曲を共作しているトイ・ヴィエイラがつくっているんですが、アクースティック・ギター、カヴァキーニョ、ウクレレ、ヴァイオリンなど弦楽器を中心に、ピアノも配したり、ビートはおだやかでオーガニックな生演奏ドラムス+パーカッションで、こうしたマイルドさこそルシベラみたいな歌手の本領を活かすもの。

 

きのうケオラ・ビーマー(ハワイ)の記事で「ひたすらフラットで淡々と続くおだやかで静かな音楽」がいまのぼくの好みなんであると書きましたが、完璧に同じことがルシベラの本作にもいえます。そして、そうしたトレンドが最近の世界の音楽における主流であるというのも間違いのないこと。

 

(written 2022.7.24)

2021/07/06

コクのある声とデリケートなサウンド・メイク 〜 ミリ・ロボ『Caldera Preta』

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(3 min read)

 

Mirri Lobo / Caldera Preta

https://open.spotify.com/album/4zCbK5C2zviUoEmYrttPyu?si=stNz1z6BTsG4ovUw5cTRag

 

『Salgadim』(2019)でミリ・ロボのバラードにとろけたついでに、紹介してくださったbunboniさんは聴いていないという2010年の『Caldera Preta』、Spotifyにあったので、ちょっと聴いてみました。

 

そうしたらこっちもすばらしいじゃないですか。 『Salgadim』では(特にバラード系で)完璧ノック・アウトされちゃたぼくですけど、その世界がすでにできあがっています。バラードだけでなくそのほかもふくめ、この『Caldera Preta』もたいへんすばらしいアルバムですよね。

 

『Salgadim』では消えちゃっている、『Caldera Preta』ならではの音楽的特徴というと、冒頭三曲で聴ける西アフリカ風味です。バラフォンを使ったりコラを使ったり(どっちもサンプリングかもだけど)して、曲調もなんだかマンデ・ポップっぽいニュアンスをかすかに持たせたりしつつ、それをカーボ・ヴェルデ・ポップのなかに隠し味としてうまく流し込んでいます。

 

そのおかげでミリ・ロボのこの音楽に幅が出てきているんですね。ミリというよりサウンド・プロデューサーの功績でしょうけど、だれがやったんでしょうかねえ。アコーディオンが聴こえるのはカーボ・ヴェルデ音楽ではあたりまえですが、西アフリカっぽい曲のテイストのなかにアコが混じることで、えもいわれぬ香味をかもしだしています。

 

4曲目以後は、完璧『Salgadim』の予告編ともいうべき官能の世界。色と艶、コクのあるまろやかな味わいなど、ミリ・ロボのヴォーカルだってすでに100%円熟しているし、言うことなしですね。アルバム・タイトル曲の4「Caldera Preta」は、これまた必殺のセクシー・バラード。ギターのサウンドだけに乗ってしっとりとつづりはじめるミリ・ロボのヴォーカルに身がよじれます。

 

こういうのは『Salgadim』にあった「Mas Un Amor」と完璧同一路線ですから、あるいはこの2010年作もキム・アルヴェスの仕事なのかもしれません。出だし1コーラス目のAメロはギター伴奏だけで歌い、サビから伴奏が控えめに入ってきてグンと雰囲気を昂めるあたりの演出も、同じやりかたですけどなかなかニクイですね。

 

もちろんフナナーやコラデイラ系のビートの効いた曲群もすばらしく、ていねいにつくりこまれたサウンドの上で余裕を持ちながら軽く歌っているかのようなミリ・ロボのこの、年輪を重ねたがゆえに出せているのであろうコクのあるまろやかな味わいに降参してしまいます。デリケートなサウンド・メイクも絶品。

 

(written 2021.3.19)

2021/07/05

バラードにとろける 〜 ミリ・ロボに抱かれたい

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(3 min read)

 

Mirri Lobo / Salgadim

https://open.spotify.com/album/6Iv5cxjY7aFKzkYf8Rh0Kb?si=a2Y5JZ-dR7GLOHUzv0us9Q

 

bunboniさんに教えていただきました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-01-24

 

カーボ・ヴェルデの歌手ミリ・ロボ。ひさびさのリリース作品であるらしい『Salgadim』(2019)にとろけてしまいました。特にバラード系。あまりにも甘く、セクシーで、そして美しい。四曲ほどありますが、どれも甘美で、サウンド・プロダクションもみごとなら、ミリ・ロボの声がもうなんといってもすばらしすぎる。

 

特に3曲目の「Mas Un Amor」なんかもう、うんこれはbunboniさんも指摘されていますけど、あまりにもとろけるできばえで、もうなんといったらいいか、ミリ・ロボに抱かれたい、と思えるほどのスウィートさです。文字どおり悶絶。

 

しかもこの「Mas Un Amor」は、一種のラテン・ボレーロですよね。いやもちろんモルナなんですけど、このチャカチャカっていう8ビート・リズムの刻み、パーカッションの使いかた、ミュート・トランペットの入りかた、全体的な曲調などなど、たまらないセンティミエント。ラテン・ボレーロのデリケートさ満点のセクシーな甘美さがきわだっています。う〜ん、も〜う、たまらん!

 

しかも歌っているミリ・ロボの声がですね、こりゃまた艶があって甘いんですよ。年輪と経験を重ねていっそう円熟したということでしょうけど、まろやかでコクのある丸い味わいが声そのものに宿っていて、3「Mas Un Amor」はギター・イントロに続きミリが歌いだした瞬間のそのワン・フレーズ「♩じゃなしぇ〜、まじゅあも〜♪」だけでカラダが溶けていきそうですよ。まるで敏感な部分にそっと優しくキスされているかのような気分。完璧だ。ミリ、抱いて!

 

そのほか三曲ほどあるどのバラードも、悶絶必至。モルナであり、重ねてラテン・ボレーロを香らせながら、聴き手の心を溶かしてしまいます。いやあ、こんな歌手がいたんだなあ。いままでミリ・ロボの存在を知らずにきましたけど、こんな甘美な声でこんなそっとデリケートに触れられるように歌える男性歌手がカーボ・ヴェルデにいたんですねえ。

 

バラード系ばかりくりかえし聴いてしまいますが、こんな声でこんなふうにバラードをスウィート&セクシーに歌われたら、全員がやられてしまいますって。こんなふうに口説かれたい、抱かれたい、抱かれながらささやかれたい、と思えるミリ・ロボのバラード・ヴォーカルなのでした。声や息づかいの細かなひとつひとつにまで色気を感じてしまいます。あぁ…。

 

(written 2021.3.18)

2021/06/10

アフロ・ポップ色強めのカーボ・ヴェルデ・ダンス・ミュージック 〜 エリーダ・アルメイダ

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(2 min read)

 

Elida Almeida / Gerasonobu

https://open.spotify.com/album/5AeJlWLUvmRWkYsxqK5MTd?si=6pBpidonQHS390NdAr1pkQ

 

bunboniさんに教わりました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-12-23

 

カーボ・ヴェルデの歌手エリーダ・アルメイダ(Elida Almeida)の2020年作『Gerasonobu』では、カーボ・ヴェルデらしい抒情性を感じさせる曲もいいんですけど、やっぱり快活なダンス・チューンがチャーミングに聴こえます、個人的には。

 

たとえば幕開け1曲目がいきなりタカンバ。フナナー同様、カーボ・ヴェルデのアフロ系ダンス・ミュージックですね。bunboniさんによればこの曲はタカンバにしてはテンポを抑えてあるということなんですけど、ぼくにはこれくらいの深いノリがちょうど心地いいです。曲としてきわだつように工夫されているなといった印象で。

 

カーボ・ヴェルデ色のあまり濃くないアフロ系のダンス・ポップが、このアルバムならぼく好みで、たとえば3曲目、5曲目(カルロス・サンタナっぽいハード・ロック系ギターはだれだろう?)、ちょっとテンポ遅めだけど6曲目もいいですね。7曲目にはカーボ・ヴェルデ色があるなと思いますが、それでもこのダンス・グルーヴが楽しい。

 

そしてなんといってもこのアルバムの個人的クライマックスは9曲目の「Yaya」です。このテンポ、ビート感、リズムのノリなど、どこをとってもみごとなプロデュースで、エリーダの声も気持ちいいし、スネアのリム・ショットも快感。この曲にもカーボ・ヴェルデ色はありますね。

 

ラスト13曲目でのコンテンポラリー・アフロ・ポップっぽいエレクトロ・ダンス・ミュージックもいい感じだし、このエリーダのアルバム、カーボ・ヴェルデ色のうっすら出たダンス・ミュージックと、現代的なアフロ・ポップっぽいモダン・サウンドが半々に溶け合って、ちょうど具合いいバランスのとれた聴きやすい作品に仕上がっています。

 

(written 2021.2.26)

2021/05/04

さわやかなカーボ・ヴェルデ・ポップ 〜 セウザニー

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(2 min read)

 

Ceuzany / Ilha d’Melodia

https://open.spotify.com/album/6nILL42irkzUXuCohmnMkm?si=qZIo4bwhQ7W5sBzi2w1RHA

 

bunboniさんに教えてもらいました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-12-27

 

これもカーボ・ヴェルデの歌手セウザニー(Ceuzany)。その2016年作『Ilha d’Melodia』は、ジャケットがなんだか雑で安っぽくて印象悪いですけど、中身の音楽は文句なしにさわやかで楽しいですね。

 

モルナとかコラデイラとかのカーボ・ヴェルデ伝統色は実はかなり薄く、もっとユニヴァーサルなポップ・ミュージックとして聴けるように仕上げられているというのが最大の印象で、実際、この曲がコラデイラだとかモルナだとか鮮明ではないように思います。

 

それでもそこはかとなくカーボ・ヴェルデの伝統ポップスが活かされていて、特にコラデイラですかね、このセウザニーのアルバムでもたとえば3曲目なんかはコラデイラ・ベースじゃないですか。ドラムスの入りかたなんかはロック的ですけど。

 

その3曲目とか、こういったビートの効いた曲はほんとうに楽しくて、1、2曲目もそうなんですけど、サウンド・メイクもみごと。エルナニ・アルメイダというひとがアレンジやプロデュースを手がけているそうです。特にビートのつくりかたがぼくは気に入りました。

 

セウザニーの歌い口もさっぱりしていてさわやかで自然。じっくり聴かせるバラード系のものもいいけど、やっぱりビートの効いた曲でのノリのいいスムースさでうまく聴かせるなあって思いますね。あ、5曲目もコラデイラ・ベースっぽいけど、ビートにヒップ・ホップ感覚がありますね。8曲目はモルナか。

 

2曲目でラッパーがゲスト参加しているだけでなく、アルバム・ラストの10曲目ではエリーダ・アルメイダがくわわってふたりで歌っていますね。それだって曲もいいし歌もよくて、かなり聴かせます。

 

(written 2021.2.2)

2021/04/06

アッソル・ガルシアの2015年作がとってもいい

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(3 min read)

 

Assol Garcia / Alma Di Minino

https://open.spotify.com/album/5uUktZ19fg3Dg0qxMvOcgJ?si=NP_J1ei_TGqa87VpzOKF1A

 

bunboniさんの紹介で知りました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-12-05

 

カーボ・ヴェルデの歌手、アッソル・ガルシア(Assol Garcia)。上の記事では二作紹介されていますね。どっちも聴いてみて2015年のデビュー作『Alma Di Minino』が大のお気に入りとなりました。近作のほうはモルナ集なんで、ビートの効いたノリのいい音楽のほうが好きなぼくにはイマイチ。

 

そう、だから『Alma Di Minino』には調子のいい曲がたくさんあるんですよね。いちばん好きなのがアルバム・ラストの12曲目「Merka」で、こ〜りゃいいなあ。リズム・パターンだっていかにもカーボ・ヴェルデといった感じ。アコーディオンが入って、ドラムスも効いています。アッソルの素直な歌い口も好感触ですよね。こういうのばっかりでアルバムが埋まっていたらいいのに、と思うくらい。

 

5曲目「Festa-L Nho Sanfilipi」、6曲目「Sonho Real」も同じリズム・パターンで、これらも気持ちいい。こういったクレオール系のリズムのノリって、ほ〜んと快感ですよね。カーボ・ヴェルデはアフリカの島国ですけど、音楽文化の混交具合が絶妙で、聴き手にえもいわれぬ気持ちよさをもたらしてくれます。

 

これらの曲では演奏はたぶん生バンドなんでしょう、と思ったらbunboniさん情報によればプロデューサーのキム・アルヴェスがひとりで多重録音しているそうで、管楽器以外ほとんどぜんぶを演奏しているそう。とてもそうとは思えないナチュラルでスポンティニアスなできぐあいなのがみごとですね。ヴォーカル・コーラスの活かしかたもうまいです(アッソルの多重録音?)。

 

アルバムにはモルナもちょっとだけありますけど、大半がビートの効いたテンポのいい曲で、しかもいずれもカーボ・ヴェルデの伝統に則ったソング・ライティングがされているのが印象いいですね。1、2、3曲目などミドル・テンポの曲でもほんとうに気持ちいい。8、11曲目もビートが効いていますよ。

 

アッソルのヴォーカル・スタイルはストレートで素直で、歌をこねくらずそのまますっと歌うというもの。好印象ですね。声のトーンも美しくてチャーミングですし、世界のどんな音楽でも、最近はこういったストレート&ナチュラルな歌いかたが好きになっております。

 

(written 2021.1.23)

2020/11/10

基本のモルナ 〜 マリアーナ・ラモス

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(3 min read)

 

Mariana Ramos / Morna

https://open.spotify.com/album/1hBpNwFnntCubuLxBXT751?si=IAUEOQYwRcCBMEkk24iTrQ

 

bunboniさんに教わりました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-03-28

 

マリアーナ・ラモス(カーボ・ヴェルデ)の2019年作『モルナ』。bunboniさんは今年三月にブログでとりあげていますけど、それで知ったにしてはぼくが書くのは遅くなってしまいました。これには理由があって、after youでディーノ・ディサンティアーゴの次だったんですよ。だからbunboniさんも分が悪いかもとお書きでしたが、まさしくそう。アルバム全編なんでもないようなモルナ一本だから、そのときは聴いてもフ〜ンって思っただけでした。

 

もう一つの理由に、ジャケット・デザインふくめ夏向きの音楽だなと感じていたということがあります。一、二度聴いてフ〜ンと感じただけのぼくでも、真夏の猛暑下であらためて聴きなおし、うん、なかなかいいアルバムじゃないかと考えなおしたんですよね。そういうわけで夏が終わりかけのいまごろ九月にようやく書いています。だから、ブログに上がるのは秋。

 

それでですね、スーパーマーケットなどの食品コーナーで売っているカゴメの商品に「基本のトマトソース」っていうのがあるんですけど、そのままでも使えるし、それをベースにして工夫を足せばまた違ったおいしい味わいになるっていう、まさに基本、土台、ベースなんですね。

 

マリアーナ・ラモスのこの新作って、このテイで言えば「基本のモルナ」だなって思うんですね。保守的でなんでもないものなんですけど、基本。モルナはカーボ・ヴェルデの国民音楽とまで言われる歌謡スタイルで、踊るためというよりしっとり歌って聴かせるものですね。カーボ・ヴェルデが島国であることからいえば、モルナは島唄みたいなもんですか。

 

モルナにアフリカ音楽っぽいリズムの躍動感みたいなものを求めると期待が外れますけど、これはじっくり聴くための音楽ですからね。同じ旧ポルトガル圏だったということで、ブラジル音楽からの影響もあるんじゃないでしょうか(モジーニャ)。

 

コラデイラとかフナナーとかバトゥーケとか、カーボ・ヴェルデにはあるわけですけど、モルナは歌謡として基本中の基本であるのかもしれないですね。マリアーナのアルバム『モルナ』は、そんなカーボ・ヴェルデ音楽の王道に真正面から向き合ってしっかり歌った充実作ということになるんでしょう。

 

島の浜辺にたたずみながら、海のさざなみの音を背景に、こんな歌を聴けたら気分最高だろうなあっていうような、そんなしっとりした歌唱の数々で満たされているマリアーナの『モルナ』。正直言って、アルバムの全48分間ずーっと同じ調子が続いて変化がないもんですから、たぶんそれもあって最初に聴いたときはピンと来なかったのかもしれません。やわらかくて自然体の歌唱ですしね。でも気分と雰囲気次第で、特に夏の夕暮れときとか、ちょうどいいんじゃないですか。正対して聴き込むっていうより背景におくといい感じになる音楽でしょう。

 

(written 2020.9.7)

2019/09/16

ナンシーのモルナ集がいいよ 〜『マーニャ・フロリーダ』

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https://open.spotify.com/album/4aVnUc5xZKouziXNAVHr8S?si=calhLZv0R1qzeJATOsGerg

 

カーボ・ヴェルデの歌手、ナンシー・ヴィエイラの最新作『マーニャ・フロリーダ』(2018)。淡々としていて、実にいいですねえ。やっているのはだいたいモルナばかり。カーボ・ヴェルデ音楽のなかでもポピュラーな種類のものですね。ゆっくりと座って聴くような歌謡音楽です。カーボ・ヴェルデにはコラデイラやフナナーみたいなダンス・ミュージック系もあるんですけど、ナンシーのこの『マーニャ・フロリーダ』のなかでは少数です。

 

少数とはいえ、それらもなかなかいいっていうのが事実。アルバム『マーニャ・フロリーダ』のなかでは、たとえば5曲目の「Bocas di Paiol」がコラデイラですね。聴けばわかるように快活なダンス・ミュージックになっていますが、演奏も歌も出来がいいのではないでしょうか。オブリガートで入るソプラノ・サックスも効果的です。伴奏は、このアルバムもやはり基本ギター(系弦楽器)多重奏で、このコラデイラ・ナンバーでも変わりません。4曲目「Sô Um Melodia」と9曲目「Fé d'Um Fidju」も若干コラデイラ寄り(のモルナ?)かな。

 

でもこれらだけ。ほかはどこまでも歌謡音楽モルナなんですね。このアルバムでのナンシーはじっくりと歌を聴かせようっていう、そういう目論見があったんだなというのは間違いないと思います。しっとりと歌い込んで、現在カーボ・ヴェルデ No.1と言えるかもしれない歌のうまさを味わってもらおうっていうプロデュース意図だったのかもしれないですね。

 

アルバム全体を通して聴くと、ゆったりモルナ系ばかり続くので緩急に乏しく、だからちょっと一本調子に響かないでもないですね。だからそんなたいしたアルバムじゃないのかもしれないけど、でも当代随一のこの歌手の実力を味わうのにはもってこいの作品になっていると思いますよ。繊細微妙なヴォーカル・ニュアンスの変化、表情のつけかたなど、すばらしい歌のできばえだと言えます。

 

個人的にいちばん好きなのは、なぜか3曲目の「Les Lendemains de Carnaval」です。これ、でも曲題もそうだけど歌詞がフランス語ですよね。アルバムに収録されているのを聴くと、べつにフランス色はしないふつうのモルナ・ナンバーですけど、これ、どうしてフランス語なんでしょう?歌詞と曲を書いたのがセザーリア・エヴォーラとのコラボで知られるテオフィロ・シャントルですけど、セザーリアの歌ったなかにこの曲あったっけなあ。

 

ともかくナンシーのこの「レ・ランドマン・デ・カルナヴァル」は本当にいいと思います。最初ナイロン弦ギター一台だけでの伴奏でテンポ・ルパートで歌いはじめるパートから引き込まれますし、その後カヴァキーニョや打楽器なども入って軽くテンポ・インしてからも、ナンシーの歌はゆっくり落ち着いていて、じっくり聴かせるフィーリング。実にいいですねえ。その後、ゲスト歌手のラファエル・ラナデールが歌い、曲後半はナンシーとラファエルとの合唱で進むのもグッド。

 

(written 2019.8.19)

2018/05/19

Músicas de PALOP(1)〜 アンゴラ、カーボ・ヴェルデ

 

 

PALOP とは Países Africanos de Língua Oficial Portuguesa(African Countries of Portugese Official Language)。つまりポルトガル語圏アフリカ諸国のことで、ルゾフォニア・アフリカと言い換えることもできる。アンゴラ、カーボ・ヴェルデ、ギネア・ビサウ、モザンビーク、サントメ・プリンシペの五か国。

 

 

その五カ国の音楽の概観的アンソロジーというか、いつまでも植民地支配に固執したポルトガルの罪滅ぼし的なものなのか、2008年に Differenece がリリースした CD 四枚組『メモリアズ・ジ・アフリカ』。一枚ずつそれぞれ、アンゴラ(CD1)、カーボ・ヴェルデ(CD2)、ギネア・ビサウ(CD3)、モザンビークとサントメ・プリンシペ(CD4)の音楽が収録されている。

 

 

これら五カ国はポルトガルのカーネーション革命を受けて独立したので、それは1974年か75年。音楽アンソロジー『メモリアズ・ジ・アフリカ』には、1960〜70年代の録音を中心に、80年代初期ごろのものまでが収録されているとされている(が個別に記載はない)。アンゴラとカーボ・ヴェルデ音楽についてかなりの初心者で、ギネア・ビサウ、モザンビーク、サントメ・プリンシペについてはなにも知らない僕だから、ザッとした感想だけ書いておこう。今日は一枚目と二枚目のアンゴラとカーボ・ヴェルデ篇。

 

 

さて『メモリアズ・ジ・アフリカ』はオーディオブックみたいな側面もあって、というかたぶんブックとして読ませる目的のほうが大きいのか?と思うほどブックレットが充実している。上記五カ国のことをあまり、なにも、知らないひと向けの入門案内文のように思える。葡英二か国語。

 

 

実際、それぞれまず最初に各国の各種基礎情報(国家名、国旗、首都名、使用言語、独立年、通貨、人口など)が書いてあり、そのあとその国の歴史、ポルトガル支配時代、独立、地理など、やはり概観解説が続く。音楽については、五カ国分ともラストにちょこっと触れてあるだけで、CD 収録の音楽家や曲の具体的なことはほぼ書かれていない。

 

 

だから、四枚の CD は、ブックレットを読んでその国のことを知る際の一種の BGM みたいなものとして、ちょっと付属させてあるだけだという、そんな位置付けなのだろうか?そんなわけで、綿密に書いておく必要などあるのかないのかわからないが、そうしようとしても、いまの僕にその知識も能力もない。

 

 

CD1のアンゴラ篇。1曲目からいきなり(ブラジルでいう)ビリンバウの音ではじまり、そのほか擦弦楽器の音が聴こえるが、あくまでビリンバウびんびんに乗せての男性ヴォーカルとコーラス隊のコール&レスポンスで構成されている。素朴な印象を持つ。2曲目もバラフォン合奏+男性ヴォーカル。

 

 

僕のばあい、パウロ・フローレスというセンバ新世代でアンゴラ音楽に入門したのでそういうのが出てくるかな?と思っても、CD1のラストまでそれはなし。パウロの世代を考えたら、1980年代初期までしか収録されていないこの、現地の音楽のベースみたいなものだけ示そうとした(?)『メモリアズ・ジ・アフリカ』にないのはあたりまえか。

 

 

その後、やはりアコーディオン一台+ヴォーカル(3)とかあるけれど、でも4曲目「ゾン・ゾン・2」(エリアス・ディア・キムエゾ)がかなりモダンなポップ・グルーヴで、これってセンバってこと?わからないがグルーヴィだ。男性リード・ヴォーカル+アクースティック・ギター+打楽器+コーラス隊。ビート感が現代的。

 

 

5曲目、マリオ・ルイ・シルヴァ「ゼカ・カマラオ」は、まるでカーボ・ヴェルデ音楽にそっくりだけど、相互影響みたいなものがあるんだろうかなあ。アクースティック・ギターの刻むリズムとかヴォーカルの乗せかたなど、これもアンゴラ音楽ってことか。

 

 

 

そんな感じのアフロ・クレオール・ミュージックがずっと続き、ホントどこまでがポルトガル由来で、どこまでがアンゴラ現地の(ってなにも知りませんが)っていうか大陸部アフリカのもので、どこからが島嶼部カーボ・ヴェルデ音楽の流入で、あるいはブラジル音楽から来ているものがあるのか?とか、わからない。がまあたぶんミクスチャーってことなんだろう。

 

 

しかしこれなら僕でもわかるサウダージ。あの独自の翳った哀感。それはもとはポルトガルから流入したフィーリングなんだろうから、ブラジル音楽にもあるし、PALOP ミュージックにもあるってことなんだろうね。『メモリアズ・ジ・アフリカ』全体にそれが流れている。アンゴラ篇にだってあるわけで。

 

 

サウダージって、哀感とか翳りとか、あるいは暗いとかいうのとは違うと思うんだけど、そこいらへんはあまり考え込まず、適当にサウダージと言って済ませておくことにする、今日は。ブラジルのショーロなんかにもある、あんな明るさと翳りの相反同居みたいな、あるいはアメリカ合衆国のブルーズ・スケールの持つ、長調か短調かわかりにくいようなどっちつかずの曖昧フィーリングにも似ている?

 

 

CD1アンゴラ篇の8曲目、アナンゴーラの「プーシャ・オデッテ」がかなりいい。モダン・センバっぽいが、でも南海の音楽みたいな(カリブふう?)感じもある。グルーヴは強烈だ。『メモリアズ・ジ・アフリカ』CD1アンゴラ篇のなかで僕のいちばんの好みがこれだ。ジャンプするリズムがとてもいい。パブリック・ドメインなのかな?

 

 

 

10曲目がルンバ・コンゴレーズみたいだったり、12曲目がハワイ音楽みたいだったりするが、11曲目はやはりアンゴラのダンス・ミュージックであるセンバかな。こういったハードなダンス・ナンバーが、僕はやっぱり世界のいろんな音楽のなかでもいちばん好きだなあ。ファンキーなハード・グルーヴが僕にとっての癒しだ。以前、シスター・ロゼッタ・サープ関連でもそう書いた。こういうので溶けるんだ、心が。

 

 

CD2、カーボ・ヴェルデ篇。1曲目はブラック・パワーという演者名になっているが、曲もアメリカ黒人音楽みたいだ。っていうか、アメリカン・ブラック・ミュージックのあんな感じがそもそもアフリカン・ルーツなのかもしれないから、言及順序が逆か。でもアメリカ音楽から入ってきたものもあったかもだよね。

 

 

2曲目で典型的なモルナになって、これは女性歌手が歌っている。3曲目が、今度はこっちがアンゴラのセンバみたいだが、本当はコラデイラってことかな。ホーン・セクションがスタッカート気味の細切れリフ・フレーズを入れるあたりは、ほんとセンバみたいな、あるいはキューバ音楽みたいな、そんな感じだ。ピアノもちょっぴりキューバン・スタイル?

 

 

4曲目以後もモルナみたいな歌謡と、コラデイラみたいなダンス・ナンバーが交互に連続する。聴いているのもいいが、踊ってもいい。7曲目、アナ・フィルミーノ「オ・ベルナルド」がかなりいい。サウダージがあって、しかもゆったりと大きくノるミドル・テンポのダンス・ナンバー。これも一種のコラデイラかな?ナンシー・ヴィエイラにもこういうのたくさんあるよね。

 

 

 

モルナを管楽器でやっているみたいな8曲目とか、おもしろいけれど、その後はまた打楽器+ギター+ヴォーカル(&コーラス)で、しっとりしながらダンサブルで、メロディの動きはやっぱりポルトガル由来のものがあるんだなとわかりつつ、リズムのこんな混交フィーリングは、やっぱりアフリカ音楽なんだなと実感する。9、11と二曲あるマリーノ・シルヴァがかなり素晴らしい。

2018/01/13

ティト・パリスの新作は渋ボレーロ・アルバムだってこと?

 

 





いまの僕は路面店をあてなくぶらついて偶然の出会いを求めることなんて不可能な環境にいるので、新鮮な偶然の邂逅は、いかにネットでブラブラするかにかかっている。だから暇さえあれば行くあても目的もなくネット徘徊しているのだ。音楽だと、いろんな通販サイトや iTunes Store や YouTube などや、そして昨2017年半ばからは Spotify その他だ。そうしないと、ブロガーなどどなたか情報を持つ詳しいかたの文章で知るだけで、そうじゃない発見なんてありえないんだ、いまの僕にはね。

 

 

そんなわけで、昨2017年暮れごろ、あてなく Spotify を徘徊していて偶然発見したティト・パリス(カーボ・ヴェルデ/ポルトガル)の新作。リリースされていることを僕はまったく知らなかった。こういったリリース情報って、みなさん、どこで入手なさっているのでしょう?僕のばあい、たとえば Twitter で音楽家やレコード会社がアナウンスしてくれるばあいはそれで知る。Facebook も情報源になるよね。オフィシャル・サイトとかもだ。

 

 

しかし Twitter にティト・パリスのオフィシャル・アカウントはないよなあ…、と思ってちょっと Facebook で検索してみたらあるじゃないか。Facebook を情報源として活用するなら問題ないわけだから、ティトを含め何人かオフィシャル・ページをフォローしておいた。もっと早くそうしていれば、あの日の深夜 Spotify で偶然発見した新作『ミン・イ・ボ』だって、もっと早くリリースを知ることができたかもしれない。

 

 

Spotify でなんどか聴いたティト・パリスの2017年新作『ミン・イ・ボ』。はっきり言ってジャケットを一瞥しただけで、これはきっと中身もいいんじゃないかと直感したけれど、実際、素晴らしい内容だった。と思って聴いていた数日後、エル・スールに CD が入荷したので、そのまま買った。ネット配信で問題なく聴けるものをフィジカルでも買うっていう僕は、いったいなにをやっているのでしょう?そもそも僕のばあいみなさんとは逆で、CD をどんどん買って聴いて、よかったものだけ Spotify で探して、見つかればそのアルバム・リンクをシェアして、みなさんにご紹介するとか、そんな Spotify の使いかたなんだもんなあ、オカシイぜ、これ(^_^;)。

 

 

エル・スールから届いた CD でもやっぱりなんども聴いたティト・パリスの『ミン・イ・ボ』。Spotify にあるものと中身は完璧に同一だから、CD ならではの新たな感慨みたいなものはない。やっぱりジャケットを手にとって眺めて愛でられるから、内容のいい音楽アルバムについては愛着が深くなるということはあるなあ。あと、やっぱり曲の作者、演奏者名一覧とか、その他プロダクションに関係する諸情報を得られる、それではじめてわかってくる部分はたしかにあるから、やっぱり僕はフィジカルを今後も書い続けると思う。だからエル・スール原田さん、ご安心ください。

 

 

ティト・パリスの『ミン・イ・ボ』。これってひょっとしたらキューバン・ボレーロのアルバムだってことなんだろうか?もちろんぜんぜんボレーロでもキューバンでもない曲だってわりとある。そういうものは、ブラジル音楽ふうだったりカーボ・ヴェルデのフナナーだったりで、ブラジル&カーボ・ヴェルデ音楽からやっぱり来ているようなものかもなあ。でもアルバム全体をとおし、やや多めなんじゃない?ボレーロとかキューバ音楽が。

 

 

以前からメロウな要素が持ち味であるティト・パリスだから、ラテン音楽のなかでも格別甘いものであるボレーロを複数やっていても別に驚くことじゃない。それが新作『ミン・イ・ボ』のなかではかなりいい感じに聴こえてくる。しかもティトの声は、みなさんご存知のとおりの渋さというかしわがれかたというか、ひび割れている塩辛いものだ。だからクルーナー・タイプの歌手がやったのと違って、ティトのボレーロは甘すぎず、センティメントに流れすぎないのがちょうどいい頃合いで、これなら甘い音楽は苦手だとおっしゃる向きにも受け入れてもらえるんじゃないかな。

 

 

ボレーロ・アルバムとまで呼ぶのが言いすぎならば、適度な甘さと苦味がブレンドされたラヴ・ソング集には違いないティト・パリスの『ミン・イ・ボ』。キューバ音楽テイストというかサルサ風味というようなものが、一部のブラジル〜カーボ・ヴェルデ音楽スタイルものを除き、わりと強い。特にリズム・スタイルと金管楽器群、なかでもトランペットの使いかたに、それが鮮明に聴きとれると思う。

 

 

CD でお持ちでないかたは、いちばん上でご紹介した Spotify のリンクでぜひちょっと聴いてみてほしいのだが、たとえば1曲目「チダデ・ヴェーリャ」からして、特にボレーロではないかもしれないが、キューバン・ソングには違いない。しかもトランペッターの吹くオブリガートのフレーズにはジャズっぽいものだって聴きとれるよね。リズムのスタイルはどう聴いてもキューバ音楽。ヴォーカル・コーラスの入りかたや、曲後半部でブラス・セクションがスタッカート気味のリフを反復するあたりなどもキューバン・スタイルだ。しかもやっぱり甘い。スウィートなボレーロ風味がちょっとはあるよなあ。ボレーロふうサルサ?いや、サルサ・ロマンティカ?

 

 

ボレーロだとかキューバン・ミュージックだとか言っているけれども、新作アルバム『ミン・イ・ボ』でいちばん多いティト・パリスの自作曲も、そうじゃない他作の曲も、ぜんぶ曲題も中身の歌詞もポルトガル語だけどね。だから歌詞じゃなく、曲調とかサウンドとかリズム・フィールとかを僕は、いつもいつものことながら、聴いているわけなんだよね。

 

 

アルバム2曲目「セル・マズ・クリチェウ」では流麗なストリング・アンサンブルが入ってきて、実に甘くて僕は大好き。しかも木管が聴こえるなあ、これはオーボエじゃないの?と思ってブックレット記載を見たら、どうやらそれはソプラノ・サックスみたいだ。こんなところはフィジカルじゃないとはっきりしない。だがしかしその木管サウンドは、ちょっとソプラノ・サックスっぽくない音色なんだよね。リズムのかたちは、やっぱりキューバン、というかこれはボレーロでしょ?でも甘いというより暗く陰で、つらそうなフィーリングだ。少なくとも濃い翳りがある。歌詞の意味がわからないが、失恋歌??

 

 

その後も3曲目「ニャ・チャルメ」(フルート・アンサンブルがある、クレジットは未確認だが、これは間違いない)も同様の翳ったキューバン・ボレーロみたいな感じだが、4曲目「ガッタ・モレーナ」はかなり面白い。キューバン・サルサとカーボ・ヴェルデ音楽が混交したようなフィーリングで、ブラス・セクションのリフやヴォーカル・コーラスはどう聴いてもサルサなのに、リズム・セクションの演奏はフナナーみたいにやっている。一部のブラジル音楽にも似ている。

 

 

ティト・パリス同様に渋い男性ゲスト・ヴォーカリストが参加する5曲目「レスポンスタ・ジ・セグレド・ド・マール」も、基本、カーボ・ヴェルデのモルナみたいでありながら、ブラジルのサンバ・カンソーンみたいなフィーリングもあって、その上、やっぱりキューバン・ボレーロにもちょっと似ている甘いコクだって感じとれる。しかしそれにしても、渋い。渋すぎるぞ、これは。

 

 

6曲目「ボ」にも男性ゲスト・ヴォーカリストが参加して、こっちはラップを披露している。この曲はサルサみたいな感じだなあ。あ、いや、リズムの跳ねかたがちょっと違う。やっぱりカーボ・ヴェルデ音楽のグルーヴ・タイプだ。快活にジャンプするようなもの。和音構成はちょっと陰というかマイナー調だけど、リズムのノリは明るい。

 

 

曲題に反してファドには聴こえない7曲目「ファド・トリステ」、カーボ・ヴェルデ音楽に違いない8、9曲目をはさんで、10曲目「ミンデル・ドノーヴァス」がやっぱりボレーロふう。ストリングスや木管の使いかたなんて、まさしくボレーロ〜フィーリンのやりかただ。でも決して愛を告白したり語りあったりはしていない曲のように思う。っていうか、そういう調子に感じるというだけで、歌詞がわかりませんから〜、間違っているかも。

 

 

アルバム中最も鮮明なボレーロなのが、快活な11曲目が終わったあとの終盤12曲目「ドーチェ・パイション」。これはどう聴いても完璧なキューバン・ボレーロだ。メジャー・キーとマイナー・キーの使い分けというか移行のやりかたといい(特にサビへ行く部分)、ボンゴを中心とするリズムの創りかたといい、主役男性歌手の声がひび割れているから甘く聴こえず、渋みがまさっているけれど、これは素晴らしいボレーロに違いないと、どなたでも納得していただけるはず。この12曲目は、僕、すごく好きだなあ。まあたんなるメロウ・ボレーロ好き人間だというだけかもですが。

 

 

アルバム・ラスト13曲目「サンティアーゴ・アモール」にも男性ゲスト・ヴォーカリストがいて、ティト・パリスとのデュオで歌う。しかもこの13曲目はピアノ一台だけが伴奏だ。あまりにも渋いというか、なんだろう?この人生の年輪を重ねすぎたみたいなサウンドと歌声は?ティト・パリスって僕より年下なんだけど、精神的ガキである僕なんかよりは、少なくとも音楽的には、はるかに熟している。たんに声がこんな感じだというだけの話じゃないよなあ。
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