カテゴリー「演歌歌謡曲、日本」の114件の記事

2024/02/25

なかなか上質のジャズ・アルバム 〜 松田聖子『Seiko Jazz 3』

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松田聖子 / Seiko Jazz 3

https://open.spotify.com/album/5xohvyPtGGW1wks4Z4qzbR?si=TTfciWBFQt6v3mHnoYIwlA

 

これもこないだのバレンタイン・デーにリリースされていた松田聖子の新作アルバム『Seiko Jazz 3』(2024)。日本の音楽は水曜日発売が多いですね。本作はカヴァーばかりをそれもジャズ・アレンジでやってみるというシリーズの三作目。

 

今回はネイザン・イーストをアルバム・プロデューサーにむかえ、サウンド・メイクをまかせています。それがとってもいい仕事をしていますよね。二作目までもそうでしたが、この曲をジャズでやるのかっていう新鮮な選曲も多いのがシリーズの特徴で、本作でもそうです。

 

1曲目からそうですが、2曲目の「赤いスイートピー」はもちろん聖子の持ち歌。これがジャズになるなんてねえ。ソプラノ・サックスはケニーGらしいですよ。聖子のヴォーカルは歌謡曲をやるときと特段の違いはなし。むかしからこうしたさわやかさやわらかさに持ち味がありましたから。

 

そしてちょっとビックリはマイケル・ジャクスンの3「Rock with You」。これもジャズになるとは驚きですが、かなりよくはまっています。しかもみごとな躍動感。これなら納得でしょう。

 

エリック・クラプトンとかシャーデーとかウィットニー・ヒューストンとかのレパートリーもあざやかなできばえで、ロス・アンジェルスと東京の二ヶ所で制作されたというアルバム全体的に、経験のなせるわざなのか落ち着きが聴きとれて、こじんまりしたおだやかなサウンドが魅力のなかなか上質のジャズ作品にしあがっていると思います。

 

(written 2024.2.23)

2024/02/22

親近感のあるさわやかさ 〜 中澤卓也「Love Letter」

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中澤卓也 / Love Letter

https://open.spotify.com/track/0xtAIDNEHuUD57mvppvqry?si=4f0a30c14d394735

 

こないだのバレンタイン・デーに出ました中澤卓也の新曲「Love Letter」(2024)。といっても2022年にリリースされていた「陽はまた昇る」の新タイプ(タイプB)カップリングなんですけど、これがいいんですよね。

 

「陽はまた昇る」とは違って卓也のギター弾き語り。淡々とさわやかだし、ぼくはだいぶ好みです。歌詞も曲も自作。以前も言いましたが自分や周囲のバンド・メンバーによる支えしかなくなって、かえって持ち味のクールなポップネスがきわだつようになっているなと思います。

 

アクースティック・ギターの腕前は前から証明されていたこと。昨年の全国ツアーでも弾き語りでやったコンサートがたくさんあったし、ぼくが出かけて行ったバンド・ツアーでも弾き語りコーナーがありました。

 

クラウン・レコード時代は演歌のフィールドでデビューし活躍していたんですが、独立後はむしろさわやかJ-POP路線を走っていて、「陽はまた昇る」 にしろ、昨年のアルバム『Hands Made』にしろ、そして今回の「Love Letter」にしろそうです。

 

親近感のあるフィーリングはファンも歓迎でしょうしね。年間多数のライヴをこなすようになってすっかりコンサート歌手としてのポジションを確立したような格好になっていますが、今後とも弾き語りを中心にこんな路線で楽しませていってほしいと思います。

 

(written 2024.2.21)

2024/02/21

不穏な民謡クルセイダーズ 〜『日本民謡珍道中』

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民謡クルセイダーズ / 日本民謡珍道中

https://open.spotify.com/album/7wGkxUU2BAHk6vPEypdUJ2?si=Z_GwlW8yQQS8Wum5dkpNfg

 

民謡クルセイダーズの二作目『日本民謡珍道中』(2023)。一作目からちょっと時間が経ちましたが、そのあいだライヴ・バンドとして世界で経験をみがきいっそう強靭になっての新作リリースという印象です。

 

出だしはかなりダークで不穏。「佐渡おけさ」を筆頭にダビーでサイケなアレンジが数曲続くのはやや意外でしたが、ジリジリと粘っこいグルーヴを醸成していっているような感じです。

 

女声ヴォーカルが歌う4「南部俵積み唄」あたりからはストレートなノリになって、従来的な直球勝負のラテン民謡になります。しかしそうなってからも不穏なムードは残っていてときおりおりまぜられ、どうもそれがこの新作を貫くトーンのようになっているのかも。

 

サルサと混合している7「貝殻節」からは安心して聴けますね。ラストの9「ソーラン節」はホーン・セクション+合いの手が明るく映える快活でグルーヴィな一曲で、どっちかというとぼくはこういうのがいいなあ。

 

(written 2024.1.29)

2024/02/15

いかにも新世代らしい歌いかた 〜 おかゆウタ 3

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おかゆ / おかゆウタ カバーソングス3

https://open.spotify.com/album/0rRwz8bwmu64Z24n3jNDLN?si=s3rZMzUzRDC-UblHWRZSzg

 

昨年暮れにリリースされたおかゆの新作アルバム『おかゆウタ カバーソングス3』(2023)は、タイトルどおりカヴァー集三作目。たしか二作目のことは以前書いたことがありましたね。おかゆはちょっとお気に入りの歌手です。

 

いちおう演歌界の存在として活動を続けていますが、本作には演歌というより歌謡曲、ポップスのレパーリーのほうが多いです。おかゆ自身の資質からしてもそっちのほうが似合っているようにぼくも思います。本作で演歌といえるのは7「夜空」(五木ひろし)、10「女のブルース」(藤圭子)だけ。

 

知っていた曲もはじめて聴く曲も、演歌でもポップスでも、おかゆ自身の歌いかたはストレートで、あっさりさっぱりしたもの。そのあたりいかにも新世代っぽいですね。個人的にはそういうコブシもヴィブラートも使わない第七世代的な歌唱法も支持しています。

 

もちろんコッテリした濃厚演歌の世界も好きなんですけどね。2020年代の若手はそういう歌いかたではありません。ぼくはどっちも好きですよ。そのへんのことは上で書いた「夜空」「女のブルース」あたりをオリジナルと聴き比べれば世界観の違いがよくわかります。

 

もっとも「夜空」とか「化粧」(中島みゆき)とかはロック調のエレキ・ギターをフィーチャーしたアレンジですけども。10「女のブルース」だけはおんな流しとして活動を続けてきているおかゆらしいアクースティック・ギター弾き語り。しかもライヴ収録みたいです。

 

これがアルバムの締めくくりにちょうどいいなと思っていたら、続けてもう一曲なぜか「Amazing Grace」が流れてきます。キリスト教会ふうのオルガン伴奏に乗せて、おかゆ自身が書いたという日本語詞で歌われています。ソングライターとしても活動しているので、その本領発揮といったところでしょうか。

 

(written 2024.1.16)

2023/07/31

シティ・ポップ in ジャズ 〜 Airi

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Airi / City Pop Rendez-Vous

https://open.spotify.com/album/6x5KIXv4960MZ0Vy5SSZVg?si=IP7eSJMmRbS51rZlV1p2mg

 

日本人ジャズ・シンガーAiriがJシティ・ポップのジャジー・カヴァーにいどんだ新作『City Pop Rendez-Vous』(2023)がおしゃれでちょっといい。仕掛け人はJ-Jazz界のニュー・ヒーロー曽根麻央で、曽根はアレンジ、プロデュース、各種ピアノ、シンセサイザー、トランペットを担当しています。

 

そのほか演奏メンバーは:

 

シンサカイノ - bass

鈴木宏紀 - drums

Kan - perc

マルセロ木村 - guitar

 

以下は収録曲の初演歌手一覧:

 

1 Jazz Singer(濱田金吾)

2 リバーサイドホテル(井上陽水)

3 スカイレストラン(荒井由実)

4 あまく危険な香り(山下達郎)

5 Midnight Pretenders(亜蘭知子)

6 マイピュアレディ(尾崎亜美)

7 ゴロワーズを吸ったことがあるかい(かまやつひろし)

8 Saravah!(高橋幸宏)

9 ワインレッドの心(安全地帯)

10 都会(大貫妙子)

11 Midnight Love Call(南佳孝)

12 スローなブギにしてくれ(南佳孝)

 

なかには知名度の高くない曲もありますが、有名ヒットもふくめ、あの曲がこんなふうにジャズになるのか!という意外さ、新鮮な驚きに満ちたアルバムといえるでしょう。

 

全体にパーカッションがよく効いているし、メインストリームというよりラテン・ジャズなアレンジになっているのもたいへんに好み。従来から王道ジャズのなかにラテン要素はしっかりありますが、本作はことさら強く意識されている印象。

 

なかでも2「リバーサイドホテル」、3「スカイレストラン」、8「Saravah!」、9「ワインレッドの心」、10「都会」あたりは中南米テイストが濃厚で、原曲がどんなだったかを思い浮かべるとビックリですよね。

 

しかもただラテン・ジャズ・アレンジでやったシティ・ポップというだけでなく、電気電子楽器と8ビート系&丹念に構築されたサウンド・アレンジメントの活用でフュージョンっぽいテイストをも獲得しています。「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」だけはタイトなジャズ・ファンク。

 

そもそもフュージョンは洗練された都会の音楽という側面も強かっただけに、シティ・ポップ・チューンがこうしたふうに変貌するのは自然なことではありました。それにしてもの変わりようで、初めて日本語で歌ったというAiriは乗っかっているだけかもですが、曽根の目のつけどころの確かさと同時にレンディションの大胆さに唖然とします。

 

(written 2023.7.25)

2023/07/27

J-POP最先鋭 〜 LioLanの衝撃

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LioLan / UNBOX

https://open.spotify.com/album/2vyntk7jJZ1dvP2qswyPy0?si=31TmIKiKTwWdcHoteO5NZw

 

カッコいい!あまりにもカッコよすぎると思うくらいなLioLan(リオラン)のデビュー作『UNBOX』(2023)に完璧ノックアウトされたまんまリリース来ずっと毎日ヘヴィロテ状態。和久井沙良とキャサリン二名によるJ-POPユニットです。

 

沙良は去年暮れのデビュー作『Time Won’t Stop』を今年はじめに聴いて惚れちゃった天才ですが、キャサリンというシンガーとは初の出会い。ヨーロッパ系白人っぽい顔つきですが埼玉県人だそうで、東京藝術大学での沙良の後輩らしいです。声楽とオペラを学んだとか。しかし『UNBOX』は地声で歌うポップスで、ラップも披露。

 

そのキャサリンのラップがですね、めちゃめちゃリズム感よくて、天性のラッパーじゃないのかと思ってしまうくらいですよ。しっかりした発声でメロディを歌うヴォーカル部分とのつながりもスムースであざやかなシームレスぶりで、1曲目「nanikasa」からすでにそのカッコよさのトリコになってしまいます。

 

カッコいいというのは沙良のソングライティング、トラック・メイクについてもいえること。デビュー作でも颯爽とした(サウンド面での)イケメンぶりを発揮していましたが、今作でも現行J-POPシーンでここまでポップでしかも先鋭的なメロディ書きと音づくりのできる人物はいないよねえと唖然とするくらいの才能を発揮しています。

 

もうはっきりいってゾッコン惚れちゃっているんで冷静にことばを重ねることがむずかしいくらいですが、なんども聴けば聴くほどつくりこまれた細部の小さな一個一個のピースまでていねいに練られているのがわかり、かといってはじけるような瞬発力もあって、それはジャズ・ミュージシャンの一回性のインプロのようなあざやかさ。

 

沙良の作業によるものでしょうコンピューター打ち込みでつくられた曲と、ドラムス、ベース、ギターの演奏ミュージシャンをゲストにむかえ生演奏で組み立てた曲(1、3、4)が半分づつくらい。しかし両者にサウンド・テクスチャーの差はほぼなく、ヒップ・ホップ系のビートだって人力演奏で実現されていたりします。So Kannoっていうドラマー、すげえな。

 

もうね、出だしの1「nanikasa」があまりにもすんばらしすぎて、いきなりこれを聴いちゃったもんだから全身が耳からシビレたようになっちゃって。メタ音楽的な要素もあるこれ一曲だけでもいいから多くのリスナーに届いてほしい。J-POPのフィールドでここまでできちゃうんだっていう最先鋭がギュッと詰め込まれたような超絶的なEPです。

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(写真はLioLan公式Instagramより)

 

(written 2023.7.27)

2023/06/01

ヤバいよ溶けちゃうよ!〜 参加型中澤卓也コンサート in 大阪 2023.5.30は興奮のるつぼだった

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※ 写真は中澤卓也公式Instagramより(白原翔太撮影)

(4 min read)

 

熱い熱い一夜でした。バンドはステージ下手がわから順にギター、キーボード、ドラムス、ベース、ギター。この五人をしたがえた卓也は18:00すぎの開演から約二時間半ノン・ストップで爆走。

 

卓也は常から自分のコンサートとかは観客参加型を推奨しているのであるということを現場でもさかんに発言していますが、この日もそうでした。コロナも5類になったということで、立ち上がったり踊ったり声出しもOK。なもんで観客もめいめい自由にのびのび楽しんでいた様子が印象的でした。

 

ぼくもはじけましたよ。最新シングル「陽はまた昇る」での幕開けに続き、続く卓也ファンにはおなじみの名曲「青いダイアモンド」ではや盛大なもりあがりよう。コロナ前までは常套だったサビでの「タ・ク・ヤ!」「タ・ク・ヤ!」」コールも復活。個人的には初体験でしたが、リズムにあわせ思い切り大声を出しました。会場みな一体。

 

従来曲と新作アルバム収録曲を適宜おりまぜながら、卓也とバンドの闊達な演唱で会場の熱気は昂まる一方。後半に入ると興奮は最高潮に達し「これ、このまま行ったらどないなっちゃうんやろう?!」と心配しちゃうほどの熱がありました。

 

中盤では「冬の蝶」「青山レイニーナイト」の二曲をヘッド・セットで歌いながら客席を練り歩きみんなと握手をかわすサービス・タイムあり。もちろんこうしたことは演歌歌謡曲歌手の常道ではあります。ぼくもしっかり手を握ってもらいました。その瞬間卓也はちょっとビックリしたような顔になりましたが、若い(若くないって!)男性客はめっちゃめずらしいのでしょうね。たしかにぼくだけでした。

 

ステージに戻ってからは幡宮航太のピアノ伴奏だけというデュオでカヴァーを二曲(なにをやるかは日替わりらしい)。そのうち2曲目にやった「化粧」(中島みゆき)は個人的に思い入れが強い歌なので、イントロに続き卓也が歌い出した瞬間に涙腺が崩壊してしまいました。

 

っていうかそもそもぼく、コンサート2曲目の「青いダイアモンド」ですでにウルウルきちゃっていたもん。なにぶん卓也の本格コンサートは初体験でしたし、ふだん自宅でこれでもかと聴きまくっていますけど、生姿生声であれやこれや聴いているんだって思ったらもうダメだった。

 

最終盤はステージと客席がぐつぐつに煮えたぎる沸騰ドロドロ火鍋状態になり、ヤバいよ溶けちゃうよ!観客総立ちになって最後に三曲やりましたが、本編ラストのラテン・ナンバー「江の島セニョリータ」では卓也も全員の客もビートにあわせてピョンピョン飛び跳ねながら右手に握りしめたタオルをグルグルまわし叫びまくるっていう。

 

客層の99.99%は年金受給者世代の女性だったんですが、ステージから卓也も「だいじょうぶですかムリしないで」と心配のことばを発するほどの状態で、完全にメーター振り切れちゃっていましたね。コロナ時代の忍耐辛抱から大阪メルパルクホールで一気に解放されみんないっしょにエクスタシーに達したような感じでした。

 

アンコールで二曲やったうち「ありがとうあなたへ」では撮影OKとなり、みんなスマホを出していましたが、ステージから卓也自身もスマホで客席の全員をぐるっと動画でおさめていました。翌日それがInstagramに上がりましたよね(11列目だったぼくもしっかり写っています)。

 

これで終わりだと思っても客席は明るくならず。下手ソデから今度は卓也ひとりがアクースティック・ギターをかかえてひょこっと姿を現し、ほんとうにラストのラスト「またね」を弾き語りで歌いました。

 

(written 2023.6.1)

2023/05/24

オフ・ビート・チャ・チャからドドンパへ 〜 浜村美智子

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(4 min read)

 

浜村美智子 / Michiko Hamamura and the Bright Rhythm Boys of Tokyo
https://open.spotify.com/album/6tqHvgcRG6DOGdjE60y8fY?si=YWIjLPN-RQawR9G2Hu3MHQ

 

bunboniさんに教わりました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-03-29

 

これもオフ・ビート・チャ・チャの文脈で聴ける部分があるだろう浜村美智子がなぜか香港でレコーディングし当地のレーベルから発売されていた一作が、サブスクにもあります。CDリイシューのタイミングで載せられたのでしょう。

 

サブスクでみればアルバム題は『Michiko Hamamura and the Bright Rhythm Boys of Tokyo』(1961?)となっています。bunboniさんの記事にあるように正確な発売年はわかりませんが、だいたい60〜61年あたりなんでしょう。

 

このへんってオフ・ビート・チャ・チャの名作が(香港とかで)出ていた時期であると同時に日本ではドドンパが誕生しレコードが発売されるようになったあたり。日本に入ってきたオフ・ビート・チャ・チャがドドンパへ変貌したというのはウィキペディアなんかにも記載があることです。

 

香港録音の美智子のこの一作は、ちょうどその移行の中間期あたりの音楽性を持っているというのが率直な感想。基本的にはオフ・ビート・チャ・チャの曲が多くも、そのラテン・ビート・ルーツを如実に示す「Day-O」みたいなカリプソがあったり、それはでも当時たまたま流行していたものを歌っただけでしょうが、ちょっとおもしろいですよね。

 

日本の「さくら」はオフ・ビート・チャ・チャになっていますが、エルヴィス・プレスリーへのアンサー・ソング「Yes, I’m Lonesome Tonight」があって、それにかんしてはおだやかで静かなジャジー・ポップス、ラテン性はありません。

 

ところで横道にそれますが、エルヴィスってロックンロールのオリジネイターの一人と世間では認識されていて、ジャズが握っていたアメリカン・ポップスの主導権を奪った張本人なので(器の小さいセクト主義を持つ)こちらがわの一部からは嫌われているかもしれませんね。

 

でもこうした「アー・ユー・ロンサム・トゥナイト?」みたいな、「ブルー・ムーン」でも「ラヴ・ミー・テンダー」でも、バラードを歌うときのエルヴィスはロッカーというよりはその爆発前夜の甘い爛熟ジャズ・ポップス歌手に変貌していました。ナット・キング・コールあたりに近い感覚で。

 

いかにも初期移行期人物らしき双貌性で、そんなところアメリカン・ポピュラー・ミュージック史の流れを実感できるのがおもしろいじゃないかと、ぼくなんかはいつも興味深くエルヴィスを聴いていますよ。

 

それはそうと浜村美智子。10「Mack The Knife」はドドンパのリズム・パターンなんですよね。演奏は日本人じゃなくてセザール・ヴェラスコ&ヒズ・ソサエティ・オーケストラって、これはフィリピン人バンドか?というのがbunboniさんの推測。

 

いずれにせよドドンパは日本でだけの流行だったので、香港録音でフィリピン人?による伴奏がそうなっているというのはやや不思議。よっぽどドドンパ・ビートが好きで敏感なファンじゃないと気づきにくいかもしれません。でも間違いない。11「Island in the Sun」もちょっぴりドドンパっぽいです。

 

(written 2023.4.20)

2023/04/25

富井トリオ「恋の果て」は名曲

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(1 min read)

 

富井トリオ / 恋の果て
https://open.spotify.com/album/6eFdeDzaPMruwnbgogY7a6?si=lUsM-fUkSXW9-wkEHTUn1w

 

三月下旬にとみー(@1031jp)さんの全曲がサブスクに揃ったので、どうもご本人が入れたらしいんですが、聴きやすいようにさっそくすべてをまとめて一個のプレイリストにしておきました。
https://open.spotify.com/playlist/782p1pBukwxjgFQYXEq63Y?si=8ce483847d3149fd

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これを流していてことさら耳を惹いたのが昨年12月リリースだった富井トリオ名義のシングル「恋の果て」。名曲でしょう。それくらい楽しく快適です、ぼくには。歌詞とは裏腹に陽気でアッパー、ほぼ浮かれている曲調だっていうのが大きな理由。

 

とみーさんらしいポップさがはじけているんですが、細部に至るまでていねいに練り込まれているなというのもよくわかりますし、さらにギター・トリオというバンドの一回性生グルーヴもしっかりあってヴィヴィッドだっていうのがいいですよね。ライヴで映えそう。メロディ・ラインも楽しい(特にコーラス終わりでの上昇)。

 

もうホントこればっかりSpotifyを一曲反復再生モードにしてくりかえしなんども聴いてしまいます。気持ちいいんだもん。そういうポップ・ロック・チューンですよこれは。インディーもインディー、とみーってだれ?という向きが多いでしょうが、「恋の果て」はどこに出しても立派に通用する傑作です。

 

(written 2023.3.31)

2023/04/13

逆境をバネに 〜 中澤卓也『HANDS MADE』

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中澤卓也 / HANDS MADE
https://open.spotify.com/album/21ZiIK02YVLcHLIKURY1B7?si=OY_-at6CT0uFJuNQjh1Eug

 

中澤卓也の5/30大阪メルパルク・ホール公演に行くんですが、さきがけて新作アルバム『HANDS MADE』(2023)が4月12日に出ました。5.30はバンド・ライヴなので、やっぱりこの作品からの曲が中心になるんでしょう。

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演歌のフィールドでデビューしてやってきた卓也ですが、独立後(インディー活動ともいう)はさわやかJ-POPっぽい路線を走っていて、新作『HANDS MADE』も同じです。全曲自身の作詞。作曲はレギュラー・バンドのメンバーですが卓也も一部でチャレンジしています。

 

アルバム題やジャケット・デザインがすでに手づくりを示していて、こういったことはレコード会社のサポートが得られなくなったせいではありますが、逆境をバネになんとか再起せんと懸命に奮闘している姿に接すると、全力で応援したくなります。そういう魅力が卓也の声にはありますよ。

 

重厚感のある1「SHOW TIME」ではじまって、続く2「Magical Summer」は軽やかに駆ける感じ。しっとりバラードをはさんでの4「Umbrella」は2/4拍子のレトロなスウィング・ジャズふう。ベースだってコントラバスが使われています。時流を読んだってことでしょうね。

 

さらに一曲おいての6「君の未来を願う詩」ではメロディ展開に沖縄音階フレーバーがほのかに香っていて、それもすれちがいざまにふわっと鼻をくすぐるだけのさっぱりした感じで、いいですね。

 

ラスト7「またね」はHome Recording Ver.とあるように、おそらく自宅で簡易に録音しただろうひとりでのアクースティック・ギター弾き語り。つくり込まない卓也の身近で親しみやすい素顔みが出ていて、「手づくり」というアルバムをしめくくるには恰好です。

 

(written 2023.4.12)

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