カテゴリー「音楽(その他)」の365件の記事

2022/09/23

作編曲の冴えるムサ・ジャキテ最新作

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(3 min read)

 

Moussa Diakite / Kanafo
https://open.spotify.com/album/10soa4I8zHVa065iNWysZH?si=aKY5D-jzTqevjUiCDH1NUQ

 

bunboniさんに教えてもらった音楽家です。この最新作はオーダー中とのことで、一足お先にbefore you。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-09-02

 

現在オーストラリア在住、マリのギターリスト、ムサ・ジャキテの最新作『Kanafo』(2020)。ジャケットはあかぬけない感じかもですけど、音楽はなかなかグルーヴィでカッコいい。演奏パーソネルはBandcampのページに載っているので参考にしてください。
https://wassarecords.bandcamp.com/album/kanafo

 

ヴォーカルのほうぼくにはイマイチですが、ギターがいいですよ。ムサは各種エフェクターをかませてさまざまなサウンドで弾いているのも楽しい(...と思ったら違う、これはキーボード・シンセだ)。バンドのアンサンブルだってとてもよく練り込まれているのがわかり、でたとこ勝負のインプロもいいけど、こういうウェル・アレンジドな音楽にぼくは惹かれるんですね。

 

それはそうと本作、エレベの音がブンブン野太くてお尻にずんずん響くし重量感があってすごいと思います。ひょっとしたら弦ベースじゃないのかも、キーボード・ベースだったりする?と思うような音のテクスチャーですよね。いずれにしてもグルーヴィにボトムスを支えていて快感です。

 

個人的に特にグッと来はじめるのが2曲目から。ノリがよくなってくるじゃないですか。ビートの効かせかたもカッコいいし、バンドのキメもピシっとしているし。曲のタイプはちょっとロック・チューンっぽいかもなと思いますが、バラフォンの使いかたなんかにはまぎれもない西アフリカ音楽の刻印があります。

 

バラフォンもそうだし、ンゴニとかコラとか、西アフリカの生演奏アクースティック楽器がアルバム全体でうまい具合にちりばめられていて、曲によっては主役級の活躍ですし、そういうのと電気電子楽器との配置、ミックス具合が実にすばらしく、全曲ムサの作編曲ということで、そのへんに音楽家として最大の魅力があるひとなのかもしれないですね。

 

4、5曲目あたりに来るとなんど聴いても「カッチョエエ〜!」と叫んでしまいそうになるし、バンドのアンサンブルとムサのギターですね、それでグッと胸をわしづかみにされてしまうんです。後半はマリ味を出しつつ(陽光を思わせる)カリブ音楽テイストを香らせている曲も複数あり、ホントいい。

 

なお11曲目のインストルメンタル・ナンバー「Doncomodja」というのはbunboniさんがとりあげられていた前作のアルバム題です。そっちにはこういうタイトルの曲なかったんですが、ギターリストとしての自覚というか矜持みたいなものが一貫して表されているんでしょうね。

 

(written 2022.9.21)

2022/09/13

ギリシアン晩夏 〜 オレスティス・コレトス

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(2 min read)

 

Orestis Koletsos / Me Plimmirizei Fos
https://open.spotify.com/album/6Rjk5iXyD1mx4nTjmmjUCD?si=3f8dClWdTZqE3t6ND0Z11Q

 

その後もときどき思い出して聴いているギリシアのブズーキ奏者、オレスティス・コレトスの『Me Plimmirizei Fos』(2013)。このころまだサブスク・サービスはなかったし、ぼくも14年にエル・スールでCD買いました。ブログで一度書いたのは16年のこと。

 

季節に応じ表情を変える深い音楽で、冬には冬向けのいい感じになってくれるし、ちょうどいまの晩夏時期にもぴったりくるフィーリングをかもしだすので、このところまたくりかえしかけていたっていうわけ。ちょっと思い出して手短にメモしておこうかな。

 

このちょっとうらぶれた感、翳りでもって、終わりゆく夏を惜しむ寂寥がよく味わえるアルバムで、特に1、3、4、5、7、8、10曲目あたりかな、暗めで哀しげな地中海世界の退廃みたいなフィーリング、元気だった夏が去りかけて夕陽が傾いてきたような、そんな世界観に聴こえなくもありません。

 

アクースティク・ギター&ブズーキの音色と参加歌手(オレスティス自身も二曲歌う)の声が、そんな哀感を増強しているように思うんですよね。ラテン・テイストも加味された曲のメロディ・ラインがそもそもそんな動きで、最盛期は古代だから国家として日が傾いて長いギリシア独特のメランコリアみたいなものが、知らず知らずと音楽にもこうして表出されるのかも。

 

特にアルバム終盤二曲ではオレスティスがブズーキ演奏のみごとな腕前を披露しているような部分もあったりもします。哀感強めといっても、全体的に重くもしつこくもなく、不思議にさっぱりした聴後感を残すさわやかな風味もあるアルバムで、いまは晩夏だからこんなふうに聴こえますけど、秋には秋、新緑の春にはこれまたふさわしく鳴る音楽。だれもそんなこと言わないけどひそかな傑作かもしれませんよ。

 

(written 2022.9.10)

2022/08/26

大都会ジャカルタの夜の妄想お散歩BGM

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(2 min read)

 

v.a. / Lagu Baru Dari Masa Lalu, Vol.1
https://open.spotify.com/album/5b2swSWZfAc8EZ5v0VTzSi?si=lBLQQNYcTTGpqFk_LNkB6A

 

インドネシアついでということで、これも。やはり大都会ジャカルタらしい洗練された音楽で同じくEPですけれど『Lagu Baru Dari Masa Lalu, Vol.1』(2021)。エル・スールで見つけた去年聴いてはいましたが、なんだか後まわしになっていました。でもいまこの真夏こそタイミング。

 

そう、このアルバムの音楽はまさに夏向き。きのう書いたアルディート・プラモノと違い、こっちはぜんぜんレトロじゃなく、コンテンポラリーなR&B/ポップスなんですけども、都会的に洗練されていておしゃれな感じがするというのは共通項。

 

それもアメリカ合衆国発祥のいまや世界のどこにでもある21世紀型ポップスで、インドネシア色なんかはたぶんちっともありません。ぼくがなぜ聴いてみようと思ったかというと、ひとえにジャケットの雰囲気が都会的でいいなと感じたから、それだけ。ジャケ惚れというほどじゃないにせよ、それに近いものがありました。

 

Spotifyのトラックリストでミュージシャン名のところを見ても知っている名前はいませんが、エル・スール情報によれば「『プリマヴェーラ』も好評発売中のヴィラ・タリサや同国のR&B〜ポップ・シーンを代表するアンディエンなどの現在人気沸騰中の女性SSWたちがインドネシア・インディ・シーンの重要人物モンド・ガスカロ他とコラボレートしたナンバーを収録」とのことで、要は簡素なコンピレイションなんでしょうね。

 

ジャケがいい感じですから、それをながめてなんとなく都会の夜のネオンを目にしているような妄想気分にひたって、そうしながらこうした音楽を聴き、ちょっとおしゃれなムードを味わいながら心地よいひとときをすごすような、そんな楽しみのためのBGMとして格好じゃないでしょうか。個人的には四曲目がいちばん好き。

 

(written 2022.7.30)

2022/08/21

ジャケット・ルッキズム

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(3 min read)

 

がぼくには強くあると思うんですけど、美女やイケメンとかが写っていればいいということじゃありません。1950〜60年代ブルー・ノートのアルバム・ジャケットがそうだったように、おしゃれで都会的に洗練されていてやぼったくなくカッコよくきれいに見えるものがとっても好きだということ。

 

ときどき中身を聴く前からそうしたジャケットの印象でかなり判断しちゃってもいるし、すてきなジャケットだとなんだか音楽まですばらしく聴こえたりもして、だからある種のいけないルッキズムなんだと思うんですよね、見た目で価値を決めちゃうっていうのは。

 

もちろんですね、カッコいいジャケだからと思って聴きはじめたらずっこけたというケースも多々あり、その逆にジャケではピンとこなかったけど聴いてみたら中身は極上というものだってたっくさんありましたけどね。

 

問題は、評価の高い傑作、有名作とか、未知の新作でもいいぞと話題になっていて気になるとか、そういうのはジャケがどんなでもどのみち聴いてみるからいいんですけど、たとえばバンドキャンプの新作案内メールとかに載っているようなどこのだれだかちっともわからない作品のばあいです。

 

すなはちとっかかりがまったくないもの。そうしたアルバムって、ある程度、いや、かなりか、ジャケットの印象で聴くか聴かないかを決めちゃっているのがぼく。エル・スールのサイトに載る新入荷なんかでもそうで、いずれも余裕がないときはざ〜っと一覧し、どんどんページをめくるように次々ジャケだけながめていって、いいねと思えばSpotifyで検索しているといったような具合。

 

メールやサイトの説明文も読めばいいと思うのにそうせずジャケの見た目だけで決めちゃうこともあるっていう、だからルッキズムだっていうか、逃している作品がだいぶあるだろうと思います。そもそもいまのぼくはちっとも忙しくなんかないヒマ人で、時間ならたっぷりあるんだから、ますますもってホントなにやってんの。

 

上で四作タイルしたのは、ここ一、二年でジャケがすばらしいと思いそれだけで一目惚れしてしまったものの代表格。といってもシュバ・サランだけはまだ書いていませんが、一目で中身の音楽もすばらしいんだろうと確信し、聴いてみたらやはり傑作だったというアタリの作品ですね。

 

どういうジャケでぼくが中身も傑作なんだろうと思ってしまうかというルッキズムの具体例というわけです。(どういうのがきれいと思うかの尺度はひとそれぞれでしょうけど)ジャケの印象が初邂逅作品を判断する最も大きな要素の一つであるには違いないんですから、テキトーにぱぱっと済ませたりしちゃダメだというのは言えることじゃないかと思います。

 

だからといってぼくみたいに価値判断を大きく左右させてしまうのもちょっとどうかとは思いますけど、でも大事は大事、ジャケット・デザインの印象っていうのは。

 

(written 2022.7.25)

2022/08/14

ちょっとラテン・ジャジーなシルビア・ペレス・クルース〜『En La Imaginación』

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(2 min read)

 

Silvia Perez Cruz / En La Imaginación
https://open.spotify.com/album/2YIzYgjxMfVcKKOlcTnopt?si=eFUWtMadQO63E4eaXridiw

 

ぼくは好きなカタルーニャの歌手、シルビア・ペレス・クルース。その2016年作『En La Imaginación』は、なぜだかジャズ・ピアノ・トリオをしたがえてのジャズ・ヴォーカル・アルバム。なんでだ?知らんけど、こないだふと出会い聴いてみて、うんちょっといいじゃんって思えました。

 

伴奏はハビエル・コリーナ・トリオとなっていて、ジャケットに描かれているベース弾きがハビエルですかね。アルバムを聴いてもたしかにベースがかなり活躍しているような。ピアニストはややビル・エヴァンズっぽいスタイルで、それから曲によってはサックス一本がオブリやソロで参加していたりします。

 

最初なんでもないメインストリームなモダン・ジャズ・ヴォーカル作品みたいにはじまるんですけど、オッと耳を惹きはじめるのは4曲目「Belén」から数曲の流れ。ラテンというかカリビアンなリズムが活用されていて、軽いものなんですけど、けっこういいなって思えます。

 

アバネーラあり、ややタンゴっぽい(?)ものありと、リズムにアクセントが効いていて、個人的にはここらへんが本作の白眉。シルビアが好きといってもそんなに積極的にどんどん聴いているというほどじゃないので、ほかにこういうアルバムがあるかどうかわからないですけど、ちょっとおもしろいんじゃないでしょうか。

 

(written 2022.7.1)

2022/07/12

おだやかあっさり薄味の 〜 オマーラ・ポルトゥオンド

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(2 min read)

 

Omara Portuondo / Omara Siempre
https://open.spotify.com/album/4xOzHwJG1DbraOdfQnMfPC?si=rCzbud3hTcWKqqzsFB1Ufg

 

bunboniさんの紹介で知りました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-04-27

 

オマーラ・ポルトゥオンド(キューバ)の最新作『Omara Siempre』(2018)でいちばん好きなのは、やはり2曲目「Y Tal Vez」。1990年代の初演ではけっこうビートの効いた強い感じの曲だったのが、ここではふんわりしたボレーロへと変貌。

 

オマーラもフィーリンっぽく力を抜いて軽くすっと歌っていて、これこれ、こういうのですよ、いまのぼくがいちばん好きな音楽っていうのは。近年のグローバル・ポップスの潮流でもあって、最近ふだんからなんどもくりかえしていますように自分もトシとっておだやかで静かであっさり淡白な音楽がいいなと心から感じるようになってきました。

 

とはいえ、ここでの「Y Tal Vez」も、後半はモントゥーノみたいになってやや熱くもりあがるような感触もちょっとあるんですが、全体的にはあくまでクールです。同趣向のバラード系がアルバムに数曲あって、5、10、11曲目あたり。特にピアノ中心のしんみりした伴奏でつづる11「Yo Vengo A Ofrecer Mi Corazón」も絶品です。

 

bunboniさんが言うように、こうした表現は年老いて声が前みたいには出なくなってきたがゆえの枯淡の境地ということかもしれません。それにしては強いビートの効いた激しく快活で熱いソン・ナンバーなどもアルバムにいくつもあって、オマーラもリキ入れて歌っているじゃないか、枯れていないぞと感じる部分がありますけども。

 

さあ、キューバの大歌手オマーラ・ポルトゥオンドはどこまでやれるのか、いつまで元気で現役歌手として活動できるのか、87歳だけに不安もありますが、高齢なりのヴォーカル・スタイルを身につけたと解釈できるがゆえに、かえって楽しみでもありますね。

 

(written 2022.6.23)

2022/06/27

不思議とクセになる官能 〜 ラスミー

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(2 min read)

 

Rasmee / Thong-Lor Cowboy
https://open.spotify.com/album/3Y15o4O2ZzpyD4ebt3dyN4?si=wBjx5wpPTmWBYNM5Ngay6Q

 

bunboniさんのブログで知りました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-04-07

 

タイはイサーン地方出身のモーラム歌手、ラスミーの最新作『Thong-Lor Cowboy』(2021)は、なぜかニュー・オーリンズの先鋭新世代ジャズ・プロデューサー、サーシャ・マサコフスキーと組んでの、ハイブリッドでオルタナティヴな、クセになる不思議な甘美と官能に満ちた一作。

 

特に官能性というかセクシーさですね、ぼくが強く惹かれるのは。そのおかげで、なじみのないよくわからない音楽なのに、もう一度もう一度とくりかえし聴いてしまいます。そうした引力はイサーンの臭みの強いヴォーカル・ラインにだけでなく、打ち込みメインのサウンドというかビートにもあります。

 

サーシャ・マサコフスキーというのはまったく知らない音楽家なんですが(ラスミーもだけど)、本作ではシンセサイザーとプログラミングを担当、さらにニュー・オーリンズから鍵盤奏者、ギターリスト、ベーシストを連れてきていて、それでこのなんともいえない独特のサウンドをつくりあげているんですね。

 

ビートにメロウネスがこもっているというか、曲はラスミーの自作なんですが、こんなふうに仕立て上げることで、タイのモーラム音楽でありながら、新世代ジャズ・ヴォーカルの文脈でも聴けそうなハイブリット・ミュージックになっているのがすばらしいですね。

 

なにもわからない音楽なのに、不思議となんども聴いてしまうチャームを感じ、離れられないっていう本作、得体の知れないセクシーさに満ちていて、いまのところはそうしたわからないなりの解析できない快感に身をゆだねています。

 

(written 2022.6.21)

2022/06/23

カァ〜ッコいい!〜 ヨアン・ル・フェラン

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(2 min read)

 

Yohann Le Ferrand / Yeko
https://open.spotify.com/album/71whFKXlyWXyiJf47fkc3x?si=RpzDN9ULQcmeeWu5zeo94w

 

bunboniさんに教わりました。

https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-04-11

 

これ、Spotifyだと音楽家名のところが「Yohann Le Ferrand Yeko」になっていますけど、『Yeko』はアルバム名でしょ。いいかげんだなあ、Spotifyなのか提供したがわなのかわからないけど、サブスクではときたまあります。ちゃんとしてほしいよ。

 

ともあれ、ヨアン・ル・フェランは独学のフランス人ギターリスト。さまざまなバンドに参加して各地でツアーをくりかえしていたようですが、2012年にマリにおもむいたことが決定的なターニング・ポイントになったようです。

 

そこから10年という年月をかけてゆっくり誕生したのが新作アルバム『Yeko』(2022)で、といってもたった六曲23分しかないEPですが、中身は極上、とっても楽しくて、そのおかげもあって一瞬で吹き抜ける風のごとく。でもしっかりした手ごたえを残します。

 

bunboniさんは1曲目出だしのカッコよさを言っていて、たしかにこれにはシビレますね。ぼくがいちばん気に入ったのは2「Dousoubaya」。マリのラッパー、ミルモをフィーチャーしたアフロ・ヒップ・ホップで、これですこのノリというかグルーヴがいいんですよね。フランス人らしいドラマーによる生演奏ビートもうまあじ。サイコーです。

 

ママニ・ケイタが歌う4曲目「Konya」も、その塩辛い声で惹きつけられます。ママニはサリフ・ケイタのバック・ヴォーカルなどもつとめた経験があるそう。トラックはなんてことないマンデ・ポップですけど、ママニの声のトーンが好みっていうか、なんだか抵抗できない魅力があります。

 

ラスト6「Yellema」はコート・ジヴォワール出身の歌手カンディ・ギラが参加。これはもう断然バンド・アンサンブルがはじけていていいですね。特にヨハンの弾くクリーン・トーン(アルバム中ずっとそう)のエレキ・ギター・リフ反復がグルーヴィでノリがよく、リズム陣も冴えています。

 

(written 2022.5.11)

2022/06/05

ンゴニ・アンサンブルがカッコよすぎ 〜 バセク・クヤテ

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(2 min read)

 

Bassekou Kouyate & Ngoni Ba / I Speak Fula
https://open.spotify.com/album/2yhgRkaosqI6YcpPQGsTpR?si=iqtTNdJrQeeL19zcP-KMEQ

 

マリのンゴニ奏者、バセク・クヤテのアルバムでぼくがいちばん好きなのは2009年の『I Speak Fula』。グルーヴィで颯爽としていてカァ〜ッコいいんだもん。特に冒頭三曲のノリよい爽快なビート感とぐいぐい来る感じはたまりません。

 

ンゴニを筆頭に快速でからみあう弦楽器類とパーカッシヴなグルーヴ、そして気高い歌が織りなすサウンド・テクスチャーはまさに傑作の名にふさわしく、しかもマリ伝統音楽の集大成ともいうべきもので、その後の指標となるべき重要作だと当時位置付けられたかもしれません。

 

バセクもこのアルバム以後数作出していますけど、個人の感想としてはこれを超える作品があったと思えず、最新作はたしか2019年の『Miri』でしたっけ、かなりいいですけど、でもこのひとのンゴニや歌、そしてンゴニ・グループのカッコいいアンサンブル・ワークを聴きたくなったらぼくは『I Speak Fula』をクリックしています。

 

多彩なゲストをたくさん招いているというのも特色で、カセ・マディやトゥマニ・ジャバテもいるし、カラフルな音の色彩感と非日常的なハレの感触は、このアルバムの音楽がなにかスペシャルなものだというオーラとなって聴き手に伝わります。

 

電気アンプリファイせず、生楽器演奏だけで組み立てた結果のこの痛快なグルーヴ・フィールとおだやかであたたかい質感は、オーガニック・ミュージックのルーツがアフリカにあるだろうとの感想をいだかせます。

 

(written 2022.4.14)

2022/05/28

コスモポリタンなアフロ・ラテン・ポップ新世代 〜 フアニータ・エウカ

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(2 min read)

 

Juanita Euka / Mabanzo
https://open.spotify.com/album/27YMkY29ejf68IpDywP91w?si=sAehw273QJ-o0K9h6mXZeA

 

Astralさんに教えてもらいました。
https://astral-clave.blog.ss-blog.jp/2022-04-03

 

フアニータ・エウカはコンゴの新人歌手。育ちはブエノス・アイレスで、14歳からロンドンに住んでいるというコスモポリタン。デビュー・アルバム『Mabanzo』(2022)はそんなキャリアが存分に発揮された新世代アフロ・ラテン・ポップといえます。

 

これまでロンドンのアフロビート・バンドで歌っていたそうで、このアルバムでも基調になっているのはアフロビートですが、暑苦しさみたいなものがなく、ある種すずやかで軽やかなジャジーさや洗練を感じさせるあたりは完璧にぼく好みの音楽家。と同時にそれは2020年代性でもありますね。

 

さらにセリア・クルースがアイドルで、しかもブラジル育ちだけあるというラテン・ミュージック要素も随所に色濃くて、なかには都会的でおしゃれなボサ・ノーヴァを鮮明に感じさせる曲もあったりするのがおもしろいところ。

 

アルバムでいちばんのぼく的お気に入りは5曲目「Nalingi Mobali Te」。キューバン・ミュージック・ルーツなルンバ・コンゴレーズを現代にアップデートしたような感じとAstralさんは言っていますし、くわえてアンゴラのセンバのようでもありますね。ややアーシーに泥くさく、このトラックに乗せてパウロ・フローレスが歌っても違和感ないかもっていうくらい。

 

フアニータはこういったコスモポリタンな音楽混淆を意識的にがんばってやっているというんじゃなく、きわめて自然体に自分のなかにあるものからナチュラル&スムースに表出できているよなあとよくわかるのが、新世代到来を体現しているところです。

 

(written 2022.5.22)

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