カテゴリー「サブスク関連」の61件の記事

2023/03/28

サブスク、嫌いでいいけど、否定しないでほしい

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(4 min read)

 

音楽を、べつにどんなメディアで聴いてもいいと思うんで(公式であれば)、レコード、CD、カセットテープ、あるいはダウンローディッド・ファイルとか、定額聴き放題制のストリーミング(サブスク)でもいいんじゃないでしょうか。むろん生演奏に接することができれば最高の体験です。

 

録音音楽なら、同じ装置で聴くかぎり音質的に上記どれもほぼ差がないっていうのがぼくの実感です(オンボロ耳?)。さらに、あたまに残るかどうか、印象度や愛着の強さといった面においてもなんら違いはないと、経験上断言できます(個人の感想)。要は音楽生活がそれで満たされているか否か、慣れの問題にすぎません。

 

ですから、お財布事情や生活上の必要性、どれに慣れているか、愛好度が強いかといった個人的理由により、どのメディアでもいいので自分向きのものを選べればおっけ〜と思うんです。どれかに決めなくちゃなんない必要だってなくて、もちろん(サブスク頼みになった)ぼくだっていまだ複数の手段で聴き続けています。

 

ひとが違えば趣味でもなんでも千差万別なのであって、このメディアが自分向きだ、好きだという嗜好の違いはあるにせよ、これでなくちゃならないとかあんなのダメだとか、そんな他人の音楽ライフを否定するような発言を堂々とおおやけの場でなさるのはちょっとどうかと思いますよ。

 

それなのにこのごろは、サブスク派によるディスク時代遅れ発言がやや減少しつつあるいっぽうで、ディスク派のサブスク・サービス(とそれを利用しているリスナーたち)に対する攻撃が増しているようにみえていて、なんともウンザリ。昨年暮れごろからこの傾向が続いていますよね。

 

数日前もTwitterで露骨なのをおみかけしました。ぼくがフォローしているみなさんご自身はどなたも直接おっしゃらないんですけど、第三者のだれか知らないアカウントがそんなサブスク真っ向否定発言をしているのをリツイートなさっていたので読めてしまって、気分がダウン。

 

それによれば身銭を切っていない音楽が身につくわけないんですって。ハァ〜。こうなると、一個人の趣味嗜好という範囲を越えた、一種の差別発言ヘイト発言ですやん。なんか、ちょっと、ねえ。

 

一枚2500円くらいを出して買う音楽フィジカルと月額980円で無限に聴けるSpotifyで、身につくとかつかないとかそんな違い、あります?月〜金で毎日音楽ブログを更新している現在のぼくはほぼいつもサブスクで聴いて書いていて、そうであってもしっかり向き合って分析的にのめり込んで聴ける、沼にはまっちゃう実感があります。

 

そげなこと、ふだんからぼくの文章をお読みのみなさんならよ〜くご存知のはず。

 

でありますから、サブスクなんかじゃマトモに聴けるわけないのであるといったような発言をみかけると、鼻で笑っちゃうっていうか、あぁこのひとはなんにも知らないのであるなと思うと同時に、音楽で生きている人間としての人格を否定されたような気分になることもあって、まことに有害です。

 

(written 2023.3.21)

2023/02/10

Spotifyアプリを愛している

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(2 min read)

 

と言って過言ではないと思います。ディスク愛好家がレコードやCDといったフィジカルを愛するように、サブスク聴きがすっかり板についたぼくはSpotifyアプリに深く強い愛情を感じているんです。ディスクだってもちろん好きですが。

 

スポーツ選手は使用する道具やユニフォームを大切にして、肌身離さず愛でていますし、ぼくはといえばSpotifyにベッタリで日常的に愛しているわけです。主に使っているのは写真のとおりデスクトップ・アプリのほうで、モバイル・アプリはお風呂タイムと外出時のみ。

 

やっぱり使い勝手もちょっと違うし、個人的にとっても好きだと感じているのはデスクトップのSpotifyアプリ。日々使っていない時間がないですもんね。朝起きてMacBook Airのフタを開けたら一番に起動させるのがSpotifyでそのまま鳴らしはじめるし(前夜に『Morning』というプレイリストをつくっておく)。

 

そのまま寝るまでSpotifyで音楽聴きっぱなしで、これが途絶えることなんてちっともありません。愛しているといっても、もちろんSpotifyで聴くことを通して、アプリ(やフィジカル)のものではない音楽作品そのものを愛しているというのが実態なんですけど。

 

そして、レコード時代CD時代より、Spotifyを常用するようになってからのほうが音楽愛がいっそう深まって極まったというのが個人的には間違いなく、60歳でこんなことを感じているのってぼくだけかもしれませんよね。ディスクどっぷり世代なのにねえ。

 

もはやいまではサブスク以外で音楽を知り聴く方法がわからないと思うくらい。それくらい心身と不可分一体化しているのがSpotifyアプリ。中毒でしょう。Bear(テキスト書き)とかTwitterとか愛好アプリは数々あれど、ぼくのSpotifyに向ける愛は異常かもしれません。

 

(written 2023.2.1)

2022/12/27

過去に無法地帯だったYouTubeで

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(4 min read)

 

Miles Davis / Star People
https://www.youtube.com/watch?v=PsXqBdkaZbU

 

2010年にやりはじめ、いままでいくつアップロードしたかわからないYouTube音楽ファイル(ぜんぶで100やそこらじゃない)。そのうちコメント数最多なのがマイルズ・デイヴィスの曲「スター・ピープル」(1983)で、93個(2022年11月22日時点)。音楽への賞賛の声ばかり。

 

再生回数ならドクター・ジョンの「アイコ・アイコ」が約23万回でトップなんですが、そっちで見たって「スター・ピープル」は第三位の7万4千回ですし、どうしてこんなに人気なんでしょうね。ドクター・ジョンのほうは逝去と回顧で一気に再生数が伸びた感じでした。

 

「スター・ピープル」をアップロードしたのは2015年9月18日となっています。ブログをはじめた直後の時期で、筆力のおぼつかないぼくなんか音源共有の必要があるんですね。サブスク・サービスはまだなかったから、YouTubeでさがして見つからないものは自分でファイルつくって上げていました。

 

ブログ開始後のぼくのYouTubeチャンネルはそんなのばっかりで、すべては文章による説明力不足を補う目的で音源ファイルを貼っておきたいということでした。サブスクが普及し活用するようになって以後は自分でやる必要がなくなり。権利関係のしっかりしている正規サービスですし。

 

権利関係、なんてことを言いだしたら、ですからもちろんぼくは他者に権利があるCD商品音楽ばかり無断でアップしていたわけなので、グレーどころか真っ黒け。じっさいプリンスなどものによっては権利者に見つかってクレームされYouTube当局に強制削除されたものだってありました。

 

グレー(っていうかブラック?)な存在のままでいるのも個人的にイヤになってきて、権利関係の整った音源を、プライベートなブログだけど紹介したいという気持ちが強くなってきましたし、それになによりやっぱりサブスク・サービスの普及がぼくのなかではとってもデッカい。これで安心してご紹介できるなって。

 

そんなわけなんで、マイルズとかは(プリンスも多くのドクター・ジョンも)すべてがサブスクに乗っているんですから、なんだったらそっちでさがして聴けばいいでしょっと思うんです。なにもどこのだれだかわかんない日本人の無断アップロードで聴かなくたって。あるいはCD買うとか。

 

そのへんはですね、ひょっとしてやっぱり音楽もタダ聴きできるぶんにはなるたけそうしたい、その点サブスクはちょっとあれじゃないかとか、そういうふうにお考えになっているみなさんが世界中にあるいはたっくさんいるのかもしれないですよね。

 

もちろん今日ここまで書いたぼくのあたまにあるのは過去に無法地帯だった時代のYouTubeであって、最近は権利関係をちゃんとするようになりましたし、音楽家やレコード会社などが公式に作品を紹介したり新作を発表したりする場ともなっていますので、いまや事情は違っているんですけども。

 

ぼくの「スター・ピープル」だって、正規にこの音楽の権利を保有しているSMEへのリンクがいつごろか貼られているし、そのほか(ブートレグ音源以外は)どれもだいたい同様ですから、1再生いくらっていう勘定で権利保有者にお金が行くことになっているんだろうと思うんです。

 

だから、いいんですけど。YouTubeでどんどん聴いてもらって。アップローダーがぼくですけどね。

 

(written 2022.11.22)

2022/09/24

サブスクで「アルバム」はオワコン??

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(3 min read)

 

https://times.abema.tv/articles/-/10010818

 

リンクした上の記事だけでなく、音楽系サブスク・サービスの普及とともに「アルバムで聴く」というフォーマットは終わりつつあるようだという議論をときどき目にします。しかし、ホントにそうかな?というとっても強い個人的な疑念と実感をぼくなんかは抱いているんですね。

 

フィジカルだろうとサブスクだろうと、どう聴くかは自由で千差万別なんだから、そんな「いまはこういう時代だ」という考えというかフレームというか流れというか、そんなもん関係ねえっていうのがぼくの確固たる信念。実際かなりヘヴィなSpotifyユーザーですけど、全聴取時間の八、九割は音楽家サイドが提供したオリジナル・アルバムを聴いています。

 

Spotifyだと、なんでもプレミアムを登録しない無料ユーザーには(アルバム無視の)シャッフル聴きしか用意されていない時代もあったとかいうハナシを見ることがありますが、そうなの?たったの月額¥980なんだし、ぼくなんかいきなりはじめから有料登録ユーザーでそのまま現在まできていますから、なにも知りません。

 

Apple Musicはまた違うのかな、ちょっとわかりませんが、とにかく聴くときっていうかなにかのサービスを利用するときにいくらか少額でも対価を払わないと気が済まないっていう人間なもんで、それでも音楽系サブスクはレコードやCDをどんどん買うのと比べたらアホみたいに安価なんだから、と思えば毎月¥1000¥2000くらいはね。

 

そういうことをやらずに一円たりとも払わず楽しめるだけ楽しみたいたって、そうはいきませんよね。ってことはアルバム聴き時代の終了とか、プレイリスト聴き、シャッフル聴きっていうのは、要するにライトな音楽ファン向けってことで、真剣にというか熱心に追求したいというヘヴィ・ユーザーを念頭においた話じゃないんでしょう。

 

でもサブスクが(アルバムで次々と聴きまくりたい)ヘヴィな音楽聴きにの用途に向くようには設計されていないかっていうと、まったくそんなことはないよねっていうのを、だれよりもこのぼくがこの身をもって強く強く実感しているところ。そんなこと、ふだんからこのブログをお読みのみなさんはとっくにご存知でしょう。

 

サブスクならではの聴きかたっていうのもたしかにあって、たとえばSpotifyで毎週金曜更新の新着案内プレイリスト『Release Rader』なんかはマジで助かっている役立っているものですけど、それを流して気になったやつは結局そこからたぐって収録アルバムを聴きますし、えっみんなそうじゃないの?

 

なんだかんだいって SP → LP → CD と進んできた音楽産業のその物理フォーマットのアナロジーでサブスクも根本的には組み上がっているシステムなんで、サブスクではアルバム単位で聴かないのが流れとかなんてのはただの戯言とか思えないサブスクずぶずぶのぼくでした。

 

(written 2022.9.23)

2022/09/19

musicaholic

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(3 min read)

 

上のキャプチャ画像のとおり、Spotify AIの自動分析によればぼくは先月(八月ってことかな)497時間音楽を聴いたそうで、これ、31で割ると一日平均16時間強ということになります。起きている時間ほぼぜんぶじゃないか…。

 

これはSpotifyだけの数字。Apple Musicで聴いている時間もあるし(Amazon Musicは登録だけしてほとんど使っていない)、実はCDだってちょっとだけかけているので、あわせれば月約500時間くらいですか、うん、毎月だいたいそんなもんです。

 

もうこれは完全なるビョーキですよねえ。アルコールとか麻薬とかの中毒患者が、ちょっと血中濃度が下がるとガマンできず勝手に手が摂取に動くように、ぼくのばあいは音楽を絶やさず浴び続けていなければ死んでしまうっていう、そんな人間です。

 

こういうのって、経験的実感からすればサブスク・ユーザーのほうがなりやすいぞっていう気がしますよ。だってフィジカル購入だと枚数に応じて従量的に金額が増えていきますから限度があるっていうか、どっかで歯止めがかかりますが、Spotifyだとひと月¥980、たったそれだけ払えば無限に聴けちゃうんですから。

 

そんでもって先月はなんでもマイルズ・デイヴィス『イン・ア・サイレント・ウェイ』1曲目の「シー/ピースフル」をいちばん聴いて(理由があるのでそのうち書く)、12個の新しいプレイリストを作成したとのことです。こういったことをサービスのAIに自動把握されるのを嫌うかたもいらっしゃるのだろうと思いますけどね。

 

ぼくにとっては、趣味傾向をAIがつかむことで好みにそったオススメ・プレイリストを提示してくれたりするし、一度聴いた音楽家の新作が出ればお知らせが来て、なんだったら聴いたことなくたって同傾向の音楽ニュー・リリースは表示されるとか、そんなわけで趣味の充実に役立っているのは間違いないです。こうやって総まとめみたいなこともできる。

 

Spotifyにハマって以後は、それ以前に比してもさらに何段も音楽好きになってその充実度中毒度が増し人生がウレシタノシで、お金の倹約にもなってほかのこと(美容とか医療とか食事とか)にふりむけることができるようになっていっそうウレシタノシが増強され、そんな施術中外食中もずっと音楽を切らさず聴けるようになったし、もう言うことないじゃんね。

 

(written 2022.9.17)

2022/09/17

Play Next

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(4 min read)

 

っていうプレイリストをSpotifyでつくってあるんですが、なにかというと「次に聴きたいアルバム」をどんどんドラッグ&ドロップで(つまりパソコンで)放り込んであるというだけのもの。

 

次に聴きたい「曲」を予約するんならアプリの機能で用意されていて、操作すればいま流れている曲の次にそれを(アルバムを超えてでも)再生してくれるんですが、アルバム単位でそれができないんですよね。ぼくはアルバム主義人間。

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一度Spotifyのオフシャル・サポートに問い合わせもしてみましたが、今後の検討課題とさせていただきますとのご回答。しかしアルバム単位で次にどれを聴くかっていうのはぼくみたいな人間には必須なこと。サービス内でそれができず、ほかのテキスト・アプリでメモなりしておかなくちゃいけないっていうのはやっぱりちょっとね。

 

フィジカル時代だと次に聴きたいレコードやCDを並べて置いておくことでこれが実現できていました。そうしたやりかたは、実をいうといまから約40年前の大学生のころにジャズ喫茶で見て、覚えて真似していたものです。

 

それをずっと長年、2019年夏ごろにサブスクのみ人間に変貌するまで続けていました。同じことができないか、CDをいくつも並べておくようにSpotifyで次に聴きたいアルバムを五作でも十作でも準備しておくことができないかと、ずいぶん悩みました。

 

なぜこうしたことが必要かというと、思いついた瞬時にやっておかないと、どんどん忘れてしまうからでもあります。加齢で記憶力は低下の一途をたどり、いまや三秒前の思いつきだって「なんだったっけ?」になる始末。

 

レコードやCDを棚から取りだして部屋のプレイヤーそばに見えるように置いておけばこうしたことは防げますし、記憶力の落ちていない年齢だって枚数が多くなれば憶えておけませんし、なにより次になにを聴いたらいいか迷ったり悩んだりさがしたりせずにすんで、ディスク・チェンジの際の無音の時間を無為に過ごすこともなくなります。

 

こうしたことがサブスク・サービスでもできなくちゃ意味ないので、ぼくみたいに自宅ジャズ喫茶さながら一日中音楽を楽しんでいる人間にとっては。アプリ内では不可能と知り、ずっとテキスト・メモをしていました。それでべつに不便も不満もなかったんですけど、アプリ見ながら別なアプリで検索するというのだけがちょっと手間でですね(ものぐさ)。

 

そんなことであれこれ試してたどりついたのが『Play Next』(名前はなんでも)と名付けた一個のプレイリストに、あっこれあとで聴きたいなっと思いついたアルバムを見つけた瞬間に放り込んでおくというやりかた。次々と追加し、聴き終わったアルバムはデリートします(そうしないと長大になりすぎて、今度はスクロールの手間がかかるようになる)。

 

現状、これ以外に方法がないように思うんですけど、音楽サブスク・ユーザーでもっといいやりかたをご存知のかたがいらっしゃれば、ぜひ教えてください。

 

(written 2022.9.15)

2022/07/07

Spotifyに殺意をいだくとき(2)〜 リイシューものジャケット問題

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(4 min read)

 

さまざまな問題を感じながらも音楽を聴くのにこれ以上便利で使いやすく楽しいサービスはないので使い続けているSpotify。これのおかげで人生がすっかり充実するようになりましたが、やはりときたまギクッとすることがあります。

 

それはこないだふとウェザー・リポートの1971年デビュー・アルバムを聴きたくなってさがしたときのこと。出てきたのはこれ、これですよ。上にSpotifyアプリのスクリーン・キャプチャを貼っておきましたが、こりゃアカンやろう!このジャケット。

 

コロンビアの例のナイス・プライス・シリーズ(とかなんとか言っていたと思う)だったジャケットで、1990年代だったかなあ、これでめっちゃた〜っくさん出ていたんですよ、過去の名作リイシューCDが。オリジナル・ジャケットの外枠を赤い太線でぐるっと囲って。

 

オリジナル・ジャケットのデザインを破壊する行為で、なにしてくれてんねん!と当時から強い憤りを感じていました。ウェザー・リポートだけじゃなくウェイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』もマイルズ・デイヴィスの諸作もこの赤枠ジャケで出ていたんです。ほんと無数にあった。コロンビアの当時の過去作リイシューはぜんぶこれだったかも。

 

しかしそんな時代はもう過ぎ去った、コロンビア(レガシー)だってその後ちゃんとオリジナル・ジャケットを尊重したかたちでリリースしなおしているし、すっかり忘れていたんですよ、ヘドが出るほど大嫌いだったあの赤枠ジャケのことなんか。ぜんぶ買いなおしたので、大量に持っていた赤枠のやつは中古ショップへ売りました。

 

あんなイヤなこと、もうぜんぜん記憶の片隅にも残っていないくらいだったのに、それをSpotifyが復活させやがりくださりなさった!『ウェザー・リポート』(71)だけでなく、『アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック』も『ミスター・ゴーン』も『8:30』もこれ。どないなっとるんやぁ〜。

 

問題を切り分けるためApple Musicのほうでも見てみたら、なんとそれらはすべてまったく同様の赤枠ジャケなんですね。ってことはプラットフォームがわの責任じゃなく提供しているレコード会社に責があるんだと思いますけど、こんなんアカンって!

 

手当たり次第思いつくコロンビアの過去作をSpotifyであたってみたら、実はけっこうあります、このイヤなやつが。いったい1917年の商業的レコード録音発売開始当初からそもそも音楽や音楽家や作品を尊重しない態度が垣間見えてきたこのメイジャー、なにを考えているんでしょうね。

 

市場にジャケットが微妙に異なる複数のリイシューCDが存在しているばあい、購買者サイドが選択できます。気に入らなかったら別のちゃんとしたのを買えばいいだけ。でもサブスクだと「それ」しかないんですよね。イヤなジャケをガマンして見ないようにしつつ音だけ聴くしかない。

 

サービスの問題ではなく提供元のレコード会社がちゃんとしていないんであって、あるいはひょっとしてサブスク軽視なのか?といぶかりますが、普及してもうだいぶ経ったんだし、それでしか音楽聴かないっていう、ウェザー・リポートにしろそれで初めて出会ったという、そういうリスナーだったら戸惑うんじゃないですかね。オリジナル・ジャケットを見る機会でもあれば「あれっ?これ、赤枠がないよ、おかしいね」って思うかも。

 

それでいいのか、コロンビア?!

 

(written 2022.5.25)

2022/06/21

Release Rader

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(3 min read)

 

っていう毎週金曜日更新のSpotifyプレイリストで新着音楽をチェックしているんですが、これはユーザー各人のためにそれぞれあつらえられたもの。もちろんAIが自動でやっているんですけど。

 

なにかこうしたものがないとサブスク・サービス内で新作リリース到着を知る機会がないということで、ある時期に『Release Rader』の存在を知り、毎週末に定期チェックするようになりました。最初はメールで更新のお知らせが来ていたような。

 

『Release Rader』のおかげでニュー・リリースに気づくことができて、聴けばなかなかいいぞと感じ、そのままたぐって新作アルバムに行きついたり、あるいは一曲だけでも、それが結果的にそこそこのブログ記事に結実したりも多いのでいいと思います。

 

ユーザーのふだんの聴取傾向や好みを分析してなるべく合致するように、あるいはよく聴いている音楽家や音楽ジャンルなどを考慮してできあがるんですから、縁もゆかりもない、まったく聴いたこともないという分野のものが実はなかなか出てこない、そっちですぐれたニュー・リリースがあっても情報が入ってこないというのは、正直言って欠点ですけどね。

 

あちこち興味が拡散する人間には、そこだけがちょっともどかしく。チック・コリアとかウェザー・リポートとかその手の新作なんか教えてくれなくたっていいよ、自分でさがせるぞって思っちゃう。ほんとだったらゾクゾクする未知の音楽を推薦してほしいぞと『Relaease Rader』に望みたいんですが、そんなのプログラムが組めないでしょうから。

 

商売ってそんなもんではありますね。顧客のニーズというか、以前はこれを買ったとかこういうのをチェックしていているみたいだとか、その手のデータをもとにして、人力でも自動でも「次はこれ、どうでしょう?」と差し向けるわけで、それ以外にやりかたなんてなく、180度違う別のなにかを常にさがしている人間なんてそもそも少数派ですから、こぼれ落ちるしかないんです。

 

そんなこんなで、(ほぼ)完全にSpotifyでしか音楽を聴かなくなったぼくも、狭い一定傾向を囲い込むような聴きかたに徐々に移行しつつあります。そうするとこれほど便利で心地いいサービスはなく、同時にたいへんつまらなくも感じるので、適度に補うべくネットで情報をあさっていますね。

 

(written 2022.6.14)

2022/05/23

いつだって音楽なんかもひとり聴き(川柳)

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(4 min read)

 

Spotifyがないと、もはや生きていけない人間になっちまいましたが、このサブスク・サービスはときたまビックリするほどイヤなことをしてくれます。というのはちょっと前から宣伝されていたSpotify Duoのこと。

 

こういうプランができたというのをただ言っているだけだったから関係ないやと無視していたんですが、こないだなんかわざわざぼく宛のメールでお知らせしてくださりなさりやがったんですからね。日をおいて二通も。アホちゃうのんか。

 

いっしょに暮らす二人向けのプレミアム・プラン(プレミアムとはなんでもできる無制限のやつ、ぼくもこれ)というわけで、月額が¥980のままだから、バラバラに登録するより二倍お得というアピールなんですが、そんなもんねえ、こっちはず〜〜〜っとひとりだっちゅ〜ねん。だれかれかまわずこんなメールばらまかないでよ〜Spotify。

 

コミュ障でいつもひとりぼっちの人間をどうしてこんなふうにいじめるのか、神経をわざと逆なでしてくださっておられるんじゃないかと思うほど不快だったSpotify Duoプランお知らせの販促メール(二通)。二人住まいかどうかSpotify側は確認できないことだからしょうがないとは思いつつ、しかしこのデュオ・プランには重大な誤謬がふくまれているようにも感じます。

 

それは、音楽(映画でも絵画でも文学でも)ってものは基本「ひとり」でやる行為で、たとえだれかといっしょに暮らしていても孤独な営みなのだという根本が理解されていないかもと思えたこと。ふだんから熱心に音楽を聴いているリスナーには説明無用なことですね。

 

イベントやコンサートなどの会場で大勢のお客さんといっしょに一個の音楽を聴いているときだって、たしかにみんなで同じものを聴いてはいるものの、ひとりひとりがそれぞれバラバラでステージに正対しているわけなんですから。恋愛や性行為みたいな共同作業じゃありません。つまり、ライヴ音楽の観客は常に集団オナニー。

 

ここは音楽愛好において決定的な重大事項、本質です。そういえばずいぶん前、ぼくが大学生だった1980年前後あたりに大流行したソニーのウォークマンも、いまのSpotifyのデュオ・プランみたいに、一個の機械にヘッドフォン差し込み端子が二個付いているカップル用のモデルを宣伝していたこともありました。

 

なんかそんな映像というかテレビCMだったかもしれないんですが、当時見たようなかすかな記憶があたまの隅に残っています。仲のいいカップルが、一個のウォークマンで同じ一個のカセットテープ音楽を仲よく同時に聴ければ…、う〜ん、たしかに楽しいデートになるのかもしれませんけど。

 

この種の発想は、だからずっと前からあるにはあって、Spotifyが最近急にデュオ・プランを言い出したのだってべつに目新しい商売じゃないんでしょうけどね。どんなに仲のいい同居カップルだって、なにをどう聴きたいか?の好みはバラバラで、人間それぞれ志向性が千差万別だっていう、音楽聴きの根っこの原点を犯そうとするものではあります。

 

(written 2022.5.20)

2022/03/24

サブスクに載せたり消したりしないでほしい

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(4 min read)

 

2020年おおみそかにアップロードした記事「21世紀のベスト20」。これにどちらも選出したパウロ・フローレス(アンゴラ)の2013年作『O País Que Nasceu Meu Pai』とレー・クエン(ヴェトナム)の16年作『Khúc Tình Xưa - Lam Phương』は、その後一時期Spotifyで聴けなくなっていました。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2020/12/post-0be9ec.html

 

世紀ベストに選ぶくらいどっちも大好きでぼくのなかで評価が高いこの二作、もともとはもちろんSpotifyで聴けました。それでもってぼくも楽しんでいたというのに、しかし、しばらく経って両方とも消えたんです。

 

ときどきあるんですけどね、こういうことが、Spotify(や他の音楽系サブスクでも同じだと思う)では。なんなんでしょうね、一度入れたものをまた消すっていうのは。消えないものが大半ですけれども、なぜだか謎の消失現象がたまにあります。

 

なにかの権利関係のことかな?と推測するわけですが、そもそもそういったことをクリアした上でサブスクで聴けるようになるんじゃないんですか?あるいは音楽家本人の意向とか事務所、レーベルの方針とか、さまざまに考えられますけれども、もはや2020年代だというのにCDじゃないと聴けないなんて、あまりにも時代錯誤。

 

それぞれの人間にそれぞれの事情があって、ぼくのばあい引越した2020年7月から約一年間、住宅事情によりCDが手にとれない、ダンボール箱に入ったままという状態が続きました。その後もう一回の引っ越しですべてのCDをちゃんと出しましたけども、未整理のままなのは変わらず(やる気もなし?)。

 

それでも主だったものはパソコンのMuiscアプリ(旧名iTunes)にファイルとして入っていて、パウロ・フローレスもレー・クエンもCD買ったやつはぜんぶインポート済みの状態だったんで、だから聴こうと思えば不便はありませんでした。ですけどねぇ。

 

そもそもレコードやCDとして、あるいはストレージ内の実体ファイルとして、所有していないと聴けない音楽ってなんなんですか?パソコンだって一定期間で買い換えますから、その際に膨大な内蔵音楽ファイルを移行しなくちゃいけないのがウンザリ。物体の引っ越しも同様。

 

そこいくとSpotifyなどサブスクはネット環境さえあればいつでもどこででもアクセスし、聴けるんですよ、パソコンでもスマホでも。そんなサービスに存在しているか否かはめちゃくちゃ意味がデカいです。音楽ライフを左右するくらいに大きなことです。もういまやネット環境がない、まったく電波もないという状態は考えにくいですから。

 

しかもパウロにしろレーにしろ、聴けたのが一度消え、それがまたいま(2021年8月下旬)復活しているのはいいことですけど、しばらくのあいだどうしてこんな名作がSpotifyで聴けないの?とぼくは悶々としていました。

 

心臓によくないです。また消えるんじゃないかとビクビクしますから。お願いですから、一度聴けるようにしたものを(どんな事情があるか知りませんけど)消さないでほしい。リスナーとしては泣きたくなっちゃいます。戦々恐々の日々を送りたくないです。聴く方法が皆無になるわけじゃないにしても。

 

以前解禁になったジョアン・ジルベルト『三月の水』もいっとき聴けなくなっていたし、ずっと楽しんできたアンガームの2018年作、19年作だって消えて、また復活。ヒバ・タワジの『30』も数ヶ月間グレー・アウトしていたし。現在はぜんぶ復活していますけど、勘弁してください。

 

(written 2021.8.27)

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